データで語るドラフト・育成論

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【ドラフト2019】巨人の指名結果と考察

2019年ドラフト会議の巨人の指名結果と考察です。

 

ドラフト指名結果

1位 堀田 賢慎 投手青森山田
2位 太田 龍 投手JR東日本
3位 菊田 拡和 内野常総学院
4位 井上 温大 投手前橋商高
5位 山瀬 慎之助 捕手・星稜高
6位 伊藤 海斗 外野・坂田南高
育成1位 平間 隼人 内野・徳島IS
育成2位 加藤 壮太 外野・武蔵HB

1位指名は入札で星稜の奥川投手を指名するも、3球団競合の末外してしまった。

外れ1位指名で東芝の宮川投手を指名したがこちらも2球団競合で外す結果に。

外れ外れ1位で青森山田高の堀田投手を指名した。

2位指名では高卒社会人で素材型の余地がある太田投手を指名。

3位指名以降は高校生の指名が続き、内野手の菊田、投手の井上、捕手の山瀬、外野手の伊藤とバランス良く指名した。

育成指名では独立リーグから平間内野手と加藤外野手を指名。全体的に投手を上位・野手を下位という形になり、素材型中心の指名になった。

 

指名について評価・考察

↓ドラフト前時点での戦力分析

http://www.hamanontan-baseball.com/entry/2019-draft-expectation-giants

 ドラフト前の補強ポイントとしては将来のエース級となる先発投手を最重要視していた。菅野・山口の後釜となり得る投手でこちらは補強では無く自前で揃えたいところだろう。そこでドラフトでも将来のエース候補として期待できる奥川投手にまず入札したのは間違っていない。その後、宮川投手に切り替え、最終的に掘田投手の交渉権を獲得したが、全て投手を指名したのは補強ポイントとして迷いが無く好判断と言えた。掘田投手は素材型だが、将来性のある投手で当然将来のエース候補として考えることができるだろう。

2位でも同じく投手で社会人投手の太田を指名した。1位指名を2度外したこともあって、堀田投手は素材型の余地が大きいためそれをケアする形で社会人投手を指名したのも、編成的な目線から良い指名と言える。当然、太田投手も将来のエース級として期待できる素質を持っている。

3位指名では高校生内野手の菊田選手を指名。彼の守備位置は三塁手と外野手だが、こちらも補強ポイントとして挙げていたポジションで、将来的にレギュラーを期待できる強打の三塁手候補を指名することができた。彼が順調に三塁手として育てば将来、一塁岡本、三塁菊田の内野陣を築けるだろう。

4位指名では高校生の井上投手。既に上位で投手を2人指名しているが、素材型の投手は確保しておきたいという思惑が見える指名となった。将来的に投手陣を盤石にするために必要な指名と言えるだろう。

5位指名では高校生の山瀬捕手を指名。捕手は近年補強しているポジションだが、そのせいか高校生捕手の指名が滞っていたので、長期的視野で育成できる捕手は隠れた補強ポイントと言えた。そこに当てはまる山瀬捕手を指名したのは好判断と言える。

6位指名では高校生外野手の伊藤選手で、強打のスラッガーとしての素質を持っている。巨人外野陣は高齢化が徐々に進んでいて、後継者がまだあまり育っていない状態で後継者候補が補強ポイントになっていた。伊藤選手はそこに当てはまり、こちらも良い指名と言える。欲を言えばセンターを守れる選手が欲しかったが、下位指名なのでこうした打撃に特化した選手になったのも悪くないだろう。

育成指名では2人で独立リーグの平間内野手と加藤外野手を指名した。支配下のみだと野手がやや手薄感があったため、育成でそこを補う形ができたのは良い。

全体的には素材型中心で、これは巨人の近年の指名と同様の流れに沿っている。巨人の場合は補強手段が多様でFAや外国人でも獲得できるため、ドラフトは即戦力候補でなく素材型指名で十分と割り切っている。あとは指名した彼らがどれだけ数年後に1軍戦力となっているかで、そこで成否が見えてきそうだが、少なくとも現時点では補強ポイントに沿った良い形での指名と言えるだろう。

 

2018年ドラフトの結果と考察はこちら

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【ドラフト2019】横浜DeNAの指名結果と考察

2019年ドラフト会議の横浜DeNAの指名結果と考察です。

 

ドラフト指名結果

1位 森 敬斗 内野桐蔭学園
2位 坂本 裕哉 投手立命館大
3位 伊勢 大夢 投手・明治大
4位 東妻 純平 捕手智弁和歌山
5位 田部 隼人 内野・開星高
6位 蝦名 達夫 外野・青森大
7位 浅田 将汰 投手有明

1位指名は高校生ショートの森を単独1位指名に成功。

2・3位指名では即戦力候補の大学生投手を左右で指名。

4位指名は高校生捕手、5位指名では高校生内野手、6位指名では大学生外野手、7位指名では高校生投手を指名。

全ポジションをバランス良く指名した上、即戦力が欲しいポジションと素材型が欲しいポジションのバランスも非常に良く、綺麗さすら感じられる指名となった。

 

指名について評価・考察

↓ドラフト前時点での戦力分析

http://www.hamanontan-baseball.com/entry/2019-draft-expectation-baystars

 ドラフト前の補強ポイントとして挙げていたのは安定感のある先発、次期ショート候補として期待できる内野手、主軸候補として期待できる外野手らを補強ポイントとして挙げた。こうした考察をしていたが、1位指名では次世代ショートとして期待が持てる高校生遊撃手の森を単独指名し、まず1つの補強ポイントをしっかり埋めた形になった。森を指名できないと高校生ショートの指名は3位以降になる可能性が高かったので、単独で森を指名したのは会心の選択と言えるだろう。

2位では大学生左腕の坂本・3位では大学生右腕の伊勢、という左右の即戦力候補の投手を指名し、こちらも十分補強ポイントに合致している。1位で投手指名しなかった分、ここでしっかりと手厚く指名したのは良い判断と言えるだろう。

4位では高校生捕手の東妻を指名した。捕手は補強の優先度が低いと考えていたが、西森が戦力外になったことや伊藤光の残留濃厚(10/23時点残留確定)のことから、高校生捕手を指名するのは間違っていない。おまけに東妻はショートの経験もあるので、将来内野へのコンバートの可能性も持てるため理に適った指名と言える。

5位では高校生内野手の田部を指名。同じ高校生内野手の森と被るが、ポジション的には二塁や三塁を守る可能性が高く、打撃の良い内野手は欲しい為こちらも十分補強ポイントに合っている。

6位指名では大学生外野手の蝦名で、こちらが将来の主軸候補として期待が持てる外野手の指名になるだろう。下位指名でやや優先度が低いようにも見えるが、強打のスラッガーで将来の主軸への素質は十分と考える。現外野陣に少ない右打ちという点もプラス要素で、悪くない指名になった。

7位指名では高校生投手の浅田で、素材としては下位指名とは思えないほど楽しみな投手だ。現時点の補強ポイントには直接絡まない指名だが、こういう素材型こそ下位で指名すべきで良い指名と言える。

全体的にはやはりバランスの良さがとても光り、補強ポイントもしっかり抑えた綺麗な指名となった。競合を避ける形になったが、逆に避けなければこれだけの指名はできずに終わった可能性が高く、スカウト・編成の手腕が存分に発揮されたと言えるだろう。戦力外を考えるとまだ野手補強も可能で、ドラフトで素材型多めに指名した分はFAや外国人補強の指名も考えていそうだ。

 

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【ドラフト2019】広島の指名結果と考察

2019年ドラフト会議の広島指名結果と考察です。

 

ドラフト指名結果

1位 森下 暢仁 投手・明治大
2位 宇草 孔基 外野・法政大
3位 鈴木 寛人 投手霞ヶ浦
4位 韮澤 雄也 内野花咲徳栄
5位 石原 貴規 捕手・天理大
6位 玉村 昇悟 投手・丹生高
育成1位 持丸 泰輝 捕手旭川大高
育成2位 木下 元秀 外野敦賀気比
育成3位 畝 章真 投手・香川OG

1位指名は事前の公言通り即戦力投手の森下投手を指名し、単独指名での獲得に成功した。

その後2位では大学生外野手の宇草を指名、3位では他球団と比べても比較的高い順位での高校生投手を指名し、4位は高校生内野手、5位で大学生捕手、6位ではまた高校生投手とバリエーション豊富な指名になった。

即戦力としては投手と外野手に重点を置きつつ、中位以降で次世代の強化を全体的に意識した指名と言えるだろう。

 

指名について評価・考察

↓ドラフト前時点での戦力分析

http://www.hamanontan-baseball.com/entry/2019-draft-expectation-carp

 ドラフト前に書いていた広島の補強ポイントは投手が先発・リリーフどちらもで、他には會澤がFAする可能性を考えた捕手指名や、菊池のメジャー挑戦を考慮した内野手指名などを挙げていて、他球団と比較しても補強ポイントは割と多めの考察としていた。そのため指名のバランスの難しさがあり、そこを補えるかが焦点となった。1位指名では大学生投手の森下を1本釣りに成功し、非常に幸先の良いスタートとなった。先発は補強ポイントだが質の良い投手の指名が求められていたため、森下は最も条件に合致した投手と言えるだろう。

2位指名では大学生外野手の宇草を指名した。正直補強ポイントとしては弱い外野手の指名だが、二塁も守れる可能性を持っており、また外野手の戦力外人数が2人なので人数的な面を考えての指名と思われる。3位指名では高校生投手の鈴木寛を指名。リリーフタイプの投手の指名が必要かと思われたが、代わりに次世代のローテに入ってこれる力を持っていると考えられたのだろう。

4位指名では高校生内野手の韮澤を指名。菊池がメジャー挑戦する可能性を考えると、セカンドを守れる選手が必要で、韮澤は高卒なのですぐには1軍に出場できないと思われるが、将来的なことを踏まえての指名と考えられる。5位指名では大学生捕手の石原を指名した。會澤がFA権を行使するのならもっと上の順位で捕手指名が必要だったが、残留が確定したため石原は戦力外の船越分の枠に入る形だろう。6位指名では高校生投手の玉村を指名し、次世代への期待を込めた指名が伺える。

育成では高校生捕手の持丸、高校生外野手の木下、独立リーグから畝投手を指名したが、人数的な部分で不足に陥らないための指名と考えられそうだ。捕手は坂倉が外野にコンバートする可能性があり、そうなれば人数は1人減る。高校生外野手も赤松と岩本が戦力外になったことで2名必要だ。香川OGの畝投手は父親が広島の畝コーチで、縁的な意味も含めての指名だろう。

全体的には全てのポジションを指名し、最低限カバーできた指名と言えるだろう。菊池メジャー挑戦や守護神の固定ができなかったことなどを考えると、ドラフトでもこれらの選手が必要かと思われたが、今後の補強や既存戦力の向上に自信あっての指名と考えられる。

 

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【ドラフト2019】中日の指名結果と考察

2019年ドラフト会議の中日指名結果と考察です。

 

ドラフト指名結果

1位 石川 昂弥 内野・東邦高
2位 橋本 侑樹 投手・大阪商業大
3位 岡野 祐一郎 投手東芝
4位 郡司 裕也 捕手・慶応大
5位 岡林 勇希 投手菰野
6位 竹内 龍臣 投手・札幌創成高
育成1位 松田 亘哲 投手・名古屋大

1位指名は公言通り地元東邦の石川内野手を指名し、3球団競合の末見事に引き当てた。

その後2・3位を大学生と社会人の即戦力タイプの投手を指名。4位で大学生捕手を指名し、5・6位では高校生投手の指名となった。

1位指名で次世代スラッガーを獲得した一方、2位以降は投手陣の強化の意識がしっかりと現れていて、捕手も力のある選手を獲得した。

育成指名では名大から指名し、こちらも地元を意識した指名といえる。

 

指名について評価・考察

↓ドラフト前時点での戦力分析

http://www.hamanontan-baseball.com/entry/2019-draft-expectation-dragons

 ドラフト前に書いていた中日の補強ポイントは投手が最重要で捕手・外野手も補強ポイント、逆に内野手は優先度をかなり低く見積もっていたが、実際は高校生内野手の石川を1位指名した。この点は補強ポイントとしては疑問が付いたが、昨年の根尾と同様にドラフト競合クラスの野手を獲得して数年後の野手の盤石化を図ることや、地元の大型内野手を逃したくないという球団の意思が感じられ、そこは汲むべきところだろう。またナゴヤドームにホームランテラスを設置するという話もあり、そうなればチームを引っ張れる強力な打者が必要になり、石川はその役目に相応しい打者と言える。

 

2・3位指名では大学生の橋本と社会人の岡野投手を指名し、こちらは現状の最優先補強ポイントに合致した指名と言える。左右の即戦力でどちらも先発タイプで考えることができるため、現状の中日投手陣に打ってつけの補強といえる。指標で見ても先発投手陣は見た目の成績よりも悪く、更にホームランテラス設置となれば今度は投手陣が厳しくなるのは明らかで、彼らにしっかりと戦力になってもらいたいところだ。

 

4位指名では大学生捕手の郡司を指名した。事前情報では中日は高校生捕手を指名するという話も出ていたが、現状石橋を2軍で育てていることや、1軍の試合に出れる武山や杉山が戦力外になったことを考えると、むしろすぐ1軍で起用できる捕手の方が望ましく、郡司捕手の指名は的を得ていると言えるだろう。打撃に不安のある捕手陣だが、郡司は慶大で4番を打っており、打撃の底上げも期待できるだろう。

 

5・6位では高校生投手を指名。中日は山本・清水・勝野など期待できる若手投手はそれなりにいるが、ここに更に若手投手を加えることで将来を意識していることがはっきり見える。育成では地元名大の松田投手を指名。国立の名大からの指名は地元色を反映した意図もあるだろうが、他球団スカウトも視察にくるほどの投手のため、将来的な戦力としても十分に考えた指名と言えるだろう。

 

全体的には例年の通り期待の高校生を指名しつつも、補強ポイントである投手・捕手は大学生・社会人など即戦力向きな選手を指名していて、バランスの良さが見えた指名だ。昨年根尾・今年石川と2年連続競合クラスの野手を獲得できており、彼らをしっかり育てて将来の主力にしていくことを、今後1番重視しなければならないだろう。

 

2018年ドラフトの結果と考察はこちら


【ドラフト2019】ヤクルトの指名結果と考察

2019年ドラフト会議のヤクルト指名結果と考察です。

 

ドラフト指名結果

1位 奥川 恭伸 投手・星稜高
2位 吉田 大喜 投手日本体育大
3位 杉山 晃基 投手創価
4位 大西 広樹 投手・大阪商業大
5位 長岡 秀樹 内野・八千松陰高
6位 武岡 龍世 内野八戸学院光星

1位指名は公言通り奥川投手を指名し、3球団競合の末見事に引き当てた。その後2~4位まで全て大学生投手で、投手補強を最重要視した意図がはっきりと読める指名。5・6位に将来性のある高校生内野手を2名指名し、計6名の指名となった。育成指名には参加せず。

 

指名について評価・考察

↓ドラフト前時点での戦力分析

http://www.hamanontan-baseball.com/entry/2019-draft-expectation-swallows

 ドラフト前に書いていたヤクルトの補強ポイントは投手であり、ドラフトでも最優先で補強すべきポイントとして挙げていた。

その補強ポイントをしっかり抑えるドラフトができたのは評価できるだろう。

1位指名の奥川も1年目から活躍する見込みがあり、2位~4位の吉田・杉山・大西は全員大学生投手でどれも素材型ではなく即戦力として見込めそうな投手ばかりだ。

高校生投手の指名は1位の奥川以外無かったが、逆にこれも評価できる点と言える。

現時点で高校生投手を複数名指名しても投手の駒不足で早い段階から1軍に上げねばならなくなり、育成環境が整っているとも言い辛い。

今年のドラフトで即戦力投手を揃え、素材型の高校生投手は来年に指名するという形でも十分だろう。

 5・6位で高校生内野手を指名したが、内野手についてはドラフト前戦力分析で課題に挙げていたところで、ショートが固定できないことやサードも心許ないこと、そして山田の後釜候補についても考える必要がある点を記載していた。

今ドラフトでは大学生や社会人の内野手は指名していないため、これら課題について即効性のある対応ではないが、それでも課題を意識して将来を見据えた指名になっているのはとても評価できる。

捕手と外野手の指名は無かったが、自分の戦力分析でも指名優先度は低かったため、マイナスにはならない。

捕手は中村が正捕手で定着していて、他にも若手捕手が多い状態になっているし、外野手は山崎晃・塩見・中山らが今年一定の成果を残しており、ひとまず彼らが次世代外野陣の候補になっていきそうだからだ。

全体的に補強ポイントと優先順位を的確に抑えていて、奥川を引き当てているのを含めてもこれ以上の指名というのは想像がつかない。

それぐらい良い指名と言える。あとは彼らをどう起用していくか、育てていくかで、高津新監督の手腕が試されるだろう。

 

2018年ドラフトの結果と考察はこちら

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