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【育成】高卒ルーキーの2軍投手成績とその後の傾向調査

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高卒1年目の2軍成績とその後の成績の傾向について調査をしてみました。

打者の成績についてはこちら

※対象:2015年~2020年 高卒1年目投手・投球回9以上

防御率0点台、1点台の投手と成績(山本由・奥川・堀など)

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2軍とはいえ1年目から防御率0、1点台で抑えている投手は、将来的に1軍での活躍が大いに期待できるように思えます。そうした結果を残した投手たちの実際の顔ぶれを見てみます。

すると1番最初に挙がってくるのが山本 由伸(オリックス)です。

山本と言えば高卒2年目の2018年から1軍に定着しました。当初はリリーフでの起用で、54試合登板し防御率2点台、32ホールドと盤石のセットアッパーとして結果を残していました。2019年からは先発に転向し、20試合,143回と規定投球回に到達して防御率1.95、QS率80%といきなりエース格の結果を残しました。

高卒2年目から1軍主力となり、リリーフでも先発でも結果を残すという活躍ぶりは近年の高卒投手の中でも別格と言える存在でしょう。

その山本は1年目の2軍でもやはり別格でした。防御率0.27 WHIP0.65 K/BB14.00 被安打率5.35など、どれも見ても非常に良い指標となっています。ここまで結果を残せていれば1軍でも通用するのはもはや当然と言えます。まさに指標通りの成長・活躍をしたと言えるでしょう。

榊原(オリックス)も2019年には1軍先発として13試合に登板し、防御率2点台の成績を残していますし、早期に1軍で結果を残すことができました。2020,2021年は伸び悩みましたが、また返り咲く可能性は十分にあるでしょう。

堀(日本ハム)も2019年に1軍で先発・リリーフ併せて53試合に登板し、2020,21年でもリリーフとして1軍に定着しています。堀の場合は1年目から2軍で奪三振率10点超えの結果を残していますし、リリーフ適性が高かったのでしょう。

2019年ドラフトの大注目高校生投手の奥川(ヤクルト)も1年目は非常に良い成績です。全指標とも山本由伸に匹敵する数値ですし、2年目から1軍ローテで起用されていて今後エース格になる可能性は十分にあるでしょう。

高橋昂(広島)は2年目の2018年から1軍先発で起用されています。1年目の2軍成績が良かったことからの抜擢だったと思いますが、現在まだ1軍定着はできていません。ただ2021年は前半で先発ローテで登板していますし、ここから1軍定着していく可能性はありますね。

田中瑛(日本ハム)は2年目に右肘手術を行った影響でまだ1軍で主だった結果を残せていません。1年目に2軍で好成績を残せたので、復活して1軍昇格を期待されているでしょう。

飯塚(DeNA)は1年目に右肘手術を行い、登板数はかなり少なめです。2年目以降は2軍で安定した投球ができていましたが、1軍でなかなか結果を残せず、2軍でも好不調の波が激しかったりと1軍戦力になりきれていません。1年目に2軍で好成績を残しましたが、伸び悩んでしまっています。

 

1年目2軍で防御率が0~1点台の成績を残したとしても、その後1軍でローテ定着や重要なポジションを任されるようになるかというと、なかなか難しそうです。

山本(オリックス)のように圧倒的な成績なら可能性も高くなりますが、彼の場合は指標を見るとWHIP・K/BB・被安打率・与四球率なども非常に優秀な数値なので、これらも含めて良い指標というのが後の1軍活躍の条件になりそうですね。

逆に他の指標が目立たない場合は飯塚(DeNA)のように伸び悩む可能性があるので、内容面はやはり重要です。

堀(日本ハム)のような奪三振率が非常に高い場合はセットアッパーや抑えとしての将来性も出てくると思うので、やはり活躍できる投手になるには防御率とプラスの大きな要素が必要になるでしょう。

 

 

 

防御率2点台の投手と成績(宮城大・今井・高橋純・遠藤など)

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高卒1年目で防御率2点台の成績を残すのもなかなかの実力があるように思えますが、こちらの顔ぶれを見てみましょう。

今井(西武)は指標を見ると被安打率や与四球率が割と高めですが、それを上回る奪三振率の高さが目立ちます。今井は2年目から1軍定着に成功しましたが、内容的にはこの2軍の指標の通りに1軍でも与四球多めでランナーを貯めやすいです。ただ、奪三振能力もあるのでそれで抑えているという感じですね。三振を取れるという武器があるのはやはり強いです。

宮城(オリックス)の1年目は突出した成績というわけでは無いですが、バランスが良くK/BBが少し高めになっています。その投手が2年目に1軍ローテに完全定着して、同じチームメイトの山本(オリックス)と最多勝争いするぐらいになっているので、まさに飛躍と言えるでしょう。1軍成績も1年目2軍成績と近い内容で、被安打・与四球数が少なく奪三振数が多めの非常にバランスの良い指標です。持ち味をしっかり発揮して1軍定着を掴んだと言えます。

遠藤(広島)は今井や宮城と比べると一歩遅れますが、それでも2年目から1軍でリリーフとして34試合に登板したり、3年目には先発で19試合に登板するなど早期に1軍戦力になっています。遠藤の1年目はWHIPが1を切っていて、被安打数・与四球数が共に少なく、ランナーを出さない投球が上手くできていました。こういうタイプは実戦向きで早期に1軍を狙いやすいのかもしれません。

大江(巨人)は2020年から1軍リリーフに定着しています。奪三振能力はそこまで高くないのですが、被安打が少なく対左打者との相性の良さを買われて起用されています。この辺りは1年目2軍成績とも似ていて、1年目から順調に成長して結果を残せていると言えます。

安樂(楽天)は2年目に1軍ローテに入ってくるなど順調な状態でしたが、3年目の開幕前に大腿二頭筋を負傷し、そこから調子を落として4年目には右肩を痛めるなど故障が続いて成績を落としていきました。しかし2020年からリリーフで復帰して安定した結果を残し、2021年も開幕からリリーフでフル回転の働きができています。故障離脱が多かったことを考えると、復帰してきてリリーフで活躍できたのは良かったですね。リリーフ適性があり奪三振数を稼げています。

塹江(広島)は4年目の2019年から徐々に1軍で登板するようになっていき、2020年には52試合に登板して19ホールドを挙げるなど、中継ぎの一角としてフル回転の活躍をしました。1年目2軍成績では被安打が少なくまとまった感じでしたが、元々は速球が武器の投手でリリーフ向きなタイプでしたし、それが上手くはまった形ですね。

逆に1年目に好指標を残しているにも関わらず伸び悩んでる投手もいて與那原(巨人)・高橋(ソフトバンク)・寺島(ヤクルト)・藤平(楽天)などがその例ですね。

彼らはいずれも2軍成績が良く、指標面でも複数の指標で良い結果を残せていました。原因を調べてみると、與那原(巨人)は右肘靭帯損傷(トミージョン手術)を経験していて、復帰後も右肘を痛めるなど怪我に苦しんでいます。

高橋(ソフトバンク)は2015年ドラフトで3球団競合1位指名の末にソフトバンクが獲得した投手でしたが、実質的に1軍で投げれるようになったのは2019年までかかりました。その2019年はリリーフで45試合に登板して防御率2.65と安定はしましたが、2020年は1軍登板無しと定着できていません。1年目成績だと防御率が良く被安打も抑えた投球ができていますが、奪三振数や与四球数はそこまで良くないタイプでそれが伸び悩みを生んだ可能性はあります。

寺島(ヤクルト)は2016年にヤクルトに単独1位指名された投手で、プロでもすぐ活躍できる完成度の高さを評価されていました。ですがはっきり1軍で結果を残せるようになったのは2020年までかかり、しかも先発では無く中継ぎの一角止まりになっています。1年目の指標はかなり安定していて、奪三振も稼げていて確かに即戦力向きのように見えますが、逆にこれらが小さくまとまってしまって伸び悩んだようにも見えます。

藤平(楽天)は2年目に1軍先発で14試合を投げるなど、ローテの一角として結果を残しつつありましたが、この年がピークになってしまい以降1軍で結果を残せていません。1年目成績はどの指標も良くすぐに1軍で通用するような結果を残せていましたが、1軍ではその良さをなかなか発揮できず、むしろ球威や制球が悪くなってしまいました。元々の能力自体は高かったはずですが、ここまで伸び悩んだのは故障などの理由がありそうです。

市川(ヤクルト)・沼田(巨人)はまだ3年目なので、現時点での評価は早計でしょう。

 

2軍とはいえ防御率2点台というのは高卒1年目としてはかなり良い方だと思いますが、それでもその後の内訳を見ると、大成した投手とそうでない投手で分かれます。

今井や宮城などは2軍での良さをそのまま1軍でも発揮できたことで1軍でも結果を残せていますし、遠藤・大江なども同じような形で早期に1軍で役割を与えられるようになりました。

ただ、逆に2軍での良さを発揮できないで伸び悩んだ投手も多く、典型的な例としては高橋(ソフトバンク)・寺島(ヤクルト)・藤平(楽天)などでしょう。彼らはドラ1で入団して、入団時はかなり注目を集めていた投手でした。そして1年目2軍成績を見る限り、順調なスタートも切れたと言えます。ただその後に伸び悩んでしまい、今も1軍定着ができていません。高卒投手の場合はなかなか先読みがしづらいことが見えてきます。

 

防御率3点台の投手と成績(戸郷・梅野・高橋光成など)

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防御率3点台の投手だと、上記までの投手達に劣るかと思いきや、まず戸郷(巨人)が出てきます。

戸郷(巨人)は2年目の2020年から1軍ローテに定着し、19試合 107回2/3を投げて防御率2.76という成績を残しました。1年目の2軍成績を見ると、奪三振率の高さと与四球率の低さが目立ちます。1軍では与四球数はやや増えましたが、奪三振率が高くそれが戸郷の持ち味となっています。

高橋 光成(西武)も1軍ローテに定着した投手です。戸郷と同じく2年目から1軍ローテに定着し、当初は防御率・被安打率・与四球率が高めで内容面はまだ改善が必要な投手でしたが、その後1軍・2軍を行ったり来たりして内容を改善していき、4年目の2019年から先発ローテに定着しています。1年目2軍成績だとそこまで良い指標ではないので、成長ぶりが凄いですね。

梅野(ヤクルト)は1年目2軍成績はどの指標も正直良いとは言えない状態でしたが、リリーフとして2年目から1軍で積極的に起用されるようになり、3年目には1軍で68試合に登板しています。セットアッパーなどの大きな場面を任されることは少ないですが、それでも1軍のリリーフの一角をしっかり任されてずっと1軍に居れるのは流石と言えます。

小野(楽天)はドラフト2位指名で1年目から2軍で積極的に起用されていましたが、楽天時代の4年間はなかなか1軍で結果を残せませんでした。2軍成績を見ても突出して良いと言える部分が少なく、持ち味が発揮できていない印象です。ただ、2019年オフにロッテへ人的補償として移籍した翌年の2020年は1軍で40試合に登板し、活躍の道が開けました。奪三振数や与四球数が1年目から大分改善されたことや、ロッテへ移籍したことでチャンスが広がったことなどが理由と言えそうです。1年目からの成長がはっきり見えますね。

望月(阪神)・垣越(中日)はまだ1軍で結果を残すに至ってません。望月は1年目に2軍で63回1/3も投げていて、最速150km超えの球速が武器で将来性を期待されていましたが、その後なかなか1軍定着できずにいます。課題としては制球面もありますが、球速の割に三振が少なく、球威で圧倒できてるような状態ではなさそうです。

垣越は1軍登板が無いまま2年目のオフに戦力外通告を受け、育成契約となっています。かなり早い戦力外通告で2021年はまだ3年目なのに一気に苦しい立場になってしまいました。2年目には1・2軍どちらも登板無しという状態だったので故障の可能性もありますが、育成契約となったことで早めに結果を残さないといけなくなりましたね。

藤井(広島)は残念ながら2020年オフに戦力外通告を受けています。1年目の2軍成績はそこまで悪くなく、むしろ奪三振を稼げていましたが、2年目以降は被安打と与四球が多くなって2軍でも不安定な投球が続いていました。1軍昇格時もそれが出てしまって、なかなか改善できずに戦力外になってしまいましたね。

 

このメンバーだと戸郷は元々2軍で結果を残せていて、そこから1軍先発に定着しましたが、高橋光成や梅野は2年目以降に改善したことが大きく、小野はトレードがきっかけで1軍で活躍できるようになりました。本人の頑張りや環境面で良い結果に結びついたと言えますね。

ただ望月・垣越・藤井はなかなかその改善が見られず、1年目2軍成績よりもむしろ悪化してしまっています。成長で明暗がはっきりしていますね。

 

防御率4点台の投手と成績(小笠原・山本拓・京山など)

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防御率4点台はこれまでと比べるととても人数が増えてきます。高卒1年目の平均的な成績がこの辺りと考えられそうです。

この中で1軍で結果を残している投手を見てみると、小笠原(中日)が1軍先発で何年か結果を残しているのと、山本(中日)京山(DeNA)が1軍で起用された回数が比較的多いです。

小笠原(中日)は2015年に中日がドラフト1位指名をした投手で、1年目の2016年から1軍で先発として起用されていました。2、3年目も1軍で100イニング以上投げるなど、先発ローテの一角に定着していて、高卒投手で早期にこれだけ起用されている時点で成功といえるでしょう。ただ、順調だったところに左肘のクリーニング手術が入ってしまったことで、2019年、2020年は登板数が激減しました。しかし2021年は完全復活した様子で、開幕から6月までローテに定着しています。
1年目の2軍成績を見ると、どの指標も良いわけではなく、むしろ長所が見えづらい感じでした。ただここからすぐに1軍で先発として起用されだしてくると、試合を作れる能力が高く先発の割に三振が取れる点などが武器となっています。なので1軍で投げているうちに開花したのかもしれません。

山本(中日)は高卒2年目の2019年後半から1軍で起用が増え、しかも先発を任されていました。この年に9試合 45回1/3を投げて防御率2.98という成績を残したことで、首脳陣から評価が上がり2020年は開幕ローテ入りを果たしました。
しかしそこから結果を残せず、前年から成績が悪化して先発を外れたことで1軍から遠ざかってしまいました。ただ高卒2年目から1軍で登板機会があり、短い期間ですが結果を残した経験もあるので、今後また台頭してくる可能性はあるでしょう。

京山(DeNA)は1年目は2軍で99回1/3も投げるという、歴代の高卒ルーキー投手の中でもトップクラスの投球回数でした。この経験が活きて2年目の開幕ローテに抜擢されることとなり、2年目のシーズンは1軍で13試合59回を投げました。ただこの時点ではまだ投球に課題が多く、被安打・被本塁打の多さや制球の不安定さなどが目立ち、結局ローテ定着とはなりませんでした。
その後も毎年1軍に上がってくるのですが、不安定さが目立ってもう一歩のところでローテに定着できていません。2軍成績は年々改善して今は安定した成績を残せるようになっていますが、1軍の壁をなかなか乗り越えられない状態です。

この他の投手に関しては、まだ1軍でそこまで投げれてない状態で、今後の台頭待ちになっています。

やや1軍で台頭する投手が少なくなってきており、やはり1年目の成績とは言えその後の成長への影響は少なからずありそうです。唯一台頭してきた小笠原(中日)は1年目からの成長が大きく、これは早期に1軍ローテを経験したことが影響しているのかもしれません。

 

防御率5・6点台の投手と成績(平良海・及川・阪口・藤嶋など)

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防御率5・6点台の投手達となると、1年目から2軍でプロの壁に当たっているという印象が付きそうですが、実際どうでしょうか。まず、この中で後に大成したとはっきり言える投手だと、平良 海馬(西武)が挙げられるでしょう。
平良(西武)は2020年から1軍セットアッパーとして圧倒的な安定感を見せつけ、被安打少なく奪三振が非常に多い投球ができています。被安打の少なさ、奪三振数の多さは1年目の2軍成績からも表れていて、当時から圧倒した投球ができていたのが分かります。この時は制球がバラバラで与四球数が非常に多いですが、1軍で改善してきたので一気にセットアッパーで通用する投手になりました。

藤嶋(中日)は2年目から1軍に昇格して、先発・ロングリリーフ・セットアッパーなど様々な場面で起用されていました。どの役割でも安定しているのが藤嶋の特徴です。スタミナがあり奪三振が多めで、いざとなった時に切り抜ける能力が高いです。ただ右手の血行障害の手術をしていることで、その影響か1軍での登板数はそこまで多くなく、様子を見ながら起用しているように見えます。元々の2軍成績では与四球率の低さが目立っていて、たしかに1軍でも制球面ではそんなに苦になっていないです。そして奪三振率を上げてきたことで1軍でも通用する投手になりました。

阪口(DeNA)は1年目は2軍で先発として起用されてきて、82イニングも投げています。この時点では指標面はどれもそこまで良くないですが、2年目以降で成績が改善してきており、1軍でも登板機会が増えています。4年目の2021年は前半戦に先発ローテに入ってきましたし、先発としての安定感が身についてきました。指標的にどこか突出して良い部分があるわけではないですが、直球の球威や球種の豊富さなど持ってる武器を駆使して試合を作れるようになっています。もう少し指標面でも特徴が出てくると、それを武器に1軍定着も狙えそうです。

及川(阪神)は2021年時点はまだ高卒2年目なので、現時点で実力を評価する段階では無いとは思いますが、2年目にして早くも1軍で積極的に起用されています。1軍では7月中旬までの14試合に登板して防御率1点台とかなり好成績を残していて、リリーフとして1軍でも十分通用しています。内容的には被安打数がかなり少なく、奪三振数が多いというのが特徴です。
1年目の2軍成績を見ると、はっきり言って真逆で被安打数が多く三振が全然取れていないという状態でした。この状態からたった1年で1軍でも通用する武器になるほど大幅に改善させているので、何がきっかけでここまで変化したのか興味がありますね。まだ高卒2年目ですし、今後も1軍で結果を残し続けられれば球界でも注目されるような投手になってくるでしょう。

その他の投手だと1軍で登板した経験のある投手は何人かいますが、まだ1軍戦力として定着している投手は少ないですね。指標的にも1年目から劇的な改善が無い限りはなかなか1軍に呼ばれる実力にならないと思いますし、そうなる投手は希少ということでしょう。

 

五輪代表にも選ばれた平良(西武)は1年目から制球を改善して、持ち味をフルに発揮できるようにしたのが大きいですね。投手の場合は1年目の状態から大きく変わる可能性があり、それを首脳陣が気付いて改善したり抜擢できるかが大事になりそうです。

そういう投手が増えてくれば、平良のように飛躍する投手がどんどん出てくるでしょう。

 

防御率7点以上の投手と成績(石川直・アドゥワなど)

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防御率7点台以上となると、成績面はそこまで参考にならなくなってきますが、逆にこうした状態から改善して1軍戦力となった投手は凄いと言えるでしょう。
この一覧でそれにあたるのは石川直(日本ハム)が挙げられます。

石川直(日本ハム)は1年目2軍成績を見ると12試合 20回を投げていて、この頃から先発よりもリリーフで起用が多いです。ただ指標的には良いとはいえず、特に被安打数が非常に多く打ち込まれやすい投球をしていました。
ただここから2年目になると2軍で被安打数を減らして、奪三振を増やすことができるようになっていき、3年目から1軍で登板が増えてきます。そして迎えた4年目には1軍の抑えを任され、52試合に登板して防御率2.59という安定した成績を残します。投球としては奪三振数が多く抑え向きな投球ができています。5年目の2019年は前年を上回る60試合に登板し、完全に1軍の主力として定着していました。
その後トミージョン手術の影響で2020年以降は1軍登板無しになっていますが、復活してくればまた1軍で抑えやセットアッパーを任される可能性は高く、既にその能力と実績を有していると言えます。

アドゥワ(広島)は2年目の開幕1軍に選ばれ53試合に登板しました。シーズン終盤まで抹消は無く、2年目から1軍リリーフでフル回転できたのは大きな結果と言えます。3年目には先発に入って、19試合 91回2/3を投げて先発ローテの一角としての仕事を果たしました。1年目の2軍成績だとアドゥワは奪三振能力の高さが見えますが、1軍では奪三振率はそれほど高くなく、打たせて取る投球が主体になっています。ただ先発だとペース配分を考えるからか被弾も多く、1軍で更に結果を残すには内容面の改善が求められそうです。
こうした投球改善のためか、4年目の2020年は2軍で先発として登板していましたが、シーズン中に右肘を痛めて10月に手術することとなりました。5年目の2021年はリハビリで前半戦は実戦復帰できていません。
早期に1軍でリリーフとしても先発としても沢山投げることができましたし、能力的にはかなり高いものがあると言えるでしょう。それだけに手術は痛手ですが、リハビリを経て復帰してくれば手術前より更に投球が改善される可能性も十分あります。

櫻井(DeNA)・齋藤(オリックス)・高橋樹(広島)・土居(ロッテ)らは上記2人ほど1軍で結果を残せてはいませんが、徐々に1軍での登板機会を増やしています。まだこれから1軍主力投手になる可能性を持っているでしょう。他の投手達にしても、既に戦力外となった投手は何人かいますが、プロとして通用しないと思えるような投手はそこまで多くないですし、1年目の2軍成績だけでは判断できない部分があります。

 

1年目の防御率や指標が悪くとも、石川直のように1軍で抑えを任されるまでに成長した投手がいますし、アドゥワのようにリリーフでも先発でも結果を残せた投手もいます。この防御率帯の投手を見ても、これから成長が見込めそうな投手は何人かいますし、この1年目の成績からどう改善するかの方が重要と言えそうです。

 

上記以外の投手たち

ここまでが1年目の2軍成績をもとにした投手たちの評価ですが、高卒投手の場合1年目に2軍で殆ど投げずにシーズンを終えた投手も多いです。

2015~2020年に1年目を迎えた高卒投手たちの中でも、58名が9イニング未満の投球回数になっています。彼らは1年目に投球回数が少なかったからといって、後の成長が無かったかというとそういうわけでは無く、高橋奎(ヤクルト)・種市(ロッテ)など1軍先発としてローテに入った経験のある投手もいますし、佐々木 朗希(ロッテ)のような超大物ドラ1もいます。1年目に2軍での登板が少なかったからといって、そこまで心配する必要は無いでしょう。

 

まとめ

野手の場合は2軍での打席数や成績が後の活躍と関連しやすい傾向が見えましたが、投手に関してはそこまで傾向は見えませんでした。成績が悪かった投手でも、後に安定してきて1軍戦力となるケースが何人もありますし、指標別で見ても長所・短所がその後の1軍成績に反映されるわけでは無く、2年目以降にいくらでも変わる余地があることが分かります。

とはいえ、山本(オリックス)・堀(日本ハム)・今井(西武)・宮城(オリックス)のように1年目から好成績を残している投手たちもいますし、良い部分に関してはポジティブに受けとめても良さそうです。

以上が高卒ルーキーの2軍成績とその後の傾向の調査結果になります。

 

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