データで語るドラフト・育成論

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【ドラフト2021】横浜DeNAの今季の振り返り

10/9時点、まだ今シーズンは終了していないが、DeNAは優勝の可能性が消滅しCS進出も限りなく低い可能性を残すのみになっている。

ドラフト会議を10/11に迎えることもあり、現時点でDeNAの今季の振り返りをしてみることにする。

 

 

今季の振り返り

三浦監督就任1年目の今季は非常に厳しい船出となった。冒頭のように優勝消滅・CS進出絶望的、最下位濃厚にすらなってしまっていて、昨年から順位を落とす可能性が非常に高い。

なぜこのように成績が落ち込んでしまったのか。

要因は、主に以下の2点だと考える。

①故障者多数・外国人来日遅れによる頭数不足・不安定

②1点を取りに行く野球が逆に効率の悪い結果に

 

①に関しては開幕から苦しい運用を余儀なくされていた。

今永・東ら過去に2桁勝利を挙げた経験がある主力投手が、昨年の手術の影響で揃って不在。新外国人で先発として期待されていたロメロや、コスパの良い先発のピープルズが来日遅れで不在。今挙げただけでも先発から4名がいないという状態だ。

この上さらに開幕直後に平良が故障離脱。(その後トミージョン手術)

開幕ローテで計算していた大貫・上茶谷・京山らも不調での発進となった。今シーズンはまだ終わっていないが、月間成績で見ると投手成績は3・4月が1番悪く、頭数・コンディションともに最悪な状態でのスタートになってしまったと言える。

- nf3 - Baseball Data House DeNA - 投手成績一覧(月別) -

 

打線でも影響は大きく、月間成績は3・4月が最も悪く、チーム打率・1試合当たりの本塁打数は他の月と比べてもワーストになっている。これはソト・オースティンという外国人主力打者の来日が遅れたことも大きいが、日本人選手でも3・4月に打率3割を超えている主力は佐野のみで、桑原・大和・神里・戸柱・嶺井など主力の大半が3・4月がワーストの成績になっていた。

- nf3 - Baseball Data House DeNA - 打撃成績一覧(月別) -

 

投打ともに最も悪い状態が開幕直後にきてしまったことで、ここで借金15という取り返し用のない結果を生み出してしまった。逆に3・4月以降は投打ともにリーグ上位の成績になっていたため、昨年までと比較してもこちらが本来の戦力・成績と言えるだろう。来年はDeNAだけ外国人不在という事態は無くせるはずだし、開幕前の調整も万全な状態にしてもらいたい。

 

 

 

②に関しては、三浦新監督が最初に掲げた方針がDeNAの現状と噛み合わなかった。三浦監督の方針は「1点を取りに行く野球」でキャンプ時からバント・進塁打の練習を行っていた。その結果犠打数は確かに増やすことができたが、そこから効率的な1点を取るということまでに繋がっていなかった。

効率的な得点ができていたかについて、出塁数/得点数で算出してみると以下のようになった。

 

【2020年、2021年の得点効率・得点数の比較】

2020年出塁/得点:1444出塁(安打+四球+死球)/516得点 ≒2.80

2020年得点/試合:516得点/120試合 =4.3

 

2021年出塁/得点:1546出塁(安打+四球+死球) 526得点 ≒2.93(10/9時点)

2021年得点/試合:526得点/132試合 ≒3.98

 

2020年は1得点を挙げるのに必要な出塁は約2.80だったのに対し、2021年は約2.93になっている。つまり1得点に必要な出塁数が2020年より増えていて、むしろ非効率になってしまっている。犠打数は昨年と比べると確かに増えた。(51⇒76) しかしそれが逆に仇となってしまった可能性は否定できない。

1試合当たりの得点も2020年は4.3点だったのに対し、2021年は約3.98点にまで下がっている。得点効率の悪化と平均得点数の悪化がデータとして出ており、これは三浦監督の目論見から外れてしまった結果といえる。

仮に2020年と同じ得点効率だったなら、552得点(+26得点)を見込めていて、勝ち星をもう少しは増やすことができただろう。
この点に関しては新任監督として現場への不慣れさも考慮に入れたいが、来年以降は今年の反省を取り入れて更なる効率化を考えてもらいたい。

 

オフの補強ももちろん大事だが、①、②を踏まえると調整や采配面でもまだまだ改善の余地がある。今季はもう終了目前なので仕方ないとしても、来季からはまたAクラス、そして優勝争いへと絡む結果を残せることを期待したい。

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