データで語るドラフト・育成論

プロ野球ニュース解説、ドラフト候補紹介、野球関連の持論・考察・寸評などを記事にしています。

【プロ野球2019】ソフトバンクの戦力分析と順位予想

f:id:hamanontan:20190224195220p:plain

球春到来!

2019年のプロ野球春季キャンプが始まり、いよいよシーズンへ向けて各球団がスタートした。今年はどんなシーズンになるのか期待に胸を膨らませているファンも多いだろう。そこで各球団のオフの動きや既存戦力で予想される変化から、戦力分析と順位予想を行ってみた。今回は福岡ソフトバンクホークスの記事だ。

主な戦力補強・流出

【ドラフト】

1位 甲斐野央 投手 東洋大
2位 杉山一樹 投手 三菱重工広島
3位 野村大樹 内野手 早稲田実業
4位 板東湧梧 投手 JR東日本
5位 水谷 瞬 外野手 岩見智翠館高
6位 泉 圭輔 投手 金沢星稜大
7位 奥村政稔 投手 三菱日立パワーシステムズ

 【育成指名】

1位 渡邉 陸 捕手 神村学園
2位 岡本直也 投手 東農大北海道オホーツク
3位 重田倫明 投手 国士舘大
4位 中村宜聖 外野手 西日本短大付属高

ドラフトについての評価・考察は別記事に詳しく記載。

【FA・トレード・外国人補強】

獲得

無し

 

流出

寺原 隼人 投手

五十嵐 亮太 投手

 

12球団唯一、外国人・FA選手・トレード等の補強なし

ソフトバンクはオフの補強はドラフト以外全く無かった。外国人選手に関しては昨年からの選手が8人全員残留し新規獲得の必要が無く、FAでは西武浅村とオリックス西の獲得に動いていたが、どちらも獲得できず補強は無かった。この動きについてはファンの意見は色々分かれそうだが、ソフトバンクはあえて補強しなかったとも考えることができそうだ。ソフトバンクの資金力を考えると補強の手段はいくらでもあるはずで、それでも動かなかったのはドラフトと自前の戦力の育成で大丈夫と考えたのかもしれない。実際、毎年育成選手を支配下登録して主力に育て上げるなど、内部での戦力補強が行えているし、3軍制の育成力自体が補強効果になってるとも言える。また、外国人が8人全員残留のところを考えると、彼らの中からシーズン中に故障したり不調になる選手が出てくる可能性もあるため、その場合にすぐに補強に動けるよう枠を空けておくために現時点での補強はしなかった、とも考えられそうだ。

この補強無しがシーズンにどう影響するか、注目して見たいところだ。

 

ドラフトでは即戦力投手中心指名。リリーフ陣の立て直しを図る

上記の通りソフトバンクの外部補強が無かったので、ドラフトのみが実質的な補強となった。そのドラフトでは主に即戦力投手中心の指名となった。これは昨年のソフトバンクのチーム防御率が4位で、特にリリーフ事情が苦しかったところを改善するためと考えられる。1位指名の甲斐野は新守護神となる可能性を持っていて、昨年急遽守護神を任された森唯斗や怪我で1年間リハビリをしていたサファテらと競うことができれば、ソフトバンクの7・8・9回の継投が盤石になるだろう。他にも杉山・泉・奥村などはリリーフなら1年目から活躍できそうなポテンシャルを持っており、起用の選択肢が増えるだろう。先発には社会人での実績・経験豊富な板東がローテ争いに入ってきそうだ。このようにドラフトで即戦力投手を豊富に指名していて、決して補強0とは言えず、むしろ彼らが活躍すればFAや外国人補強以上の効果が表れそうだ。

 

既存戦力の変化

4番を務めてきた内川が昨年は成績ダウン。打力を落とさず世代交代できるか

昨年ソフトバンクは4番打者に内川・柳田・デスパイネ・グラシアルなどが起用された。2016年までは主に内川が起用されていたが、昨年は打撃が伸び悩み打率.242 OPS.637という成績で、4番打者を務めるのは難しい成績になってしまった。内川は年齢も36歳になり、衰えが出てきたと見れる。そのため、ソフトバンクは2019年に新たに4番打者とファーストを用意する必要がある。現状ではファーストに中村晃が入り、レフトに外国人のグラシアルが入って、4番には柳田かデスパイネが起用される形になりそうだが、投手力が弱く外国人投手を5人も抱えているソフトバンクとしては、シーズン中に投手3人体制にすることも考えるべきだろう。その場合レフト入りそうな選手だと、福田秀・長谷川などが挙がってきそうだが、世代交代の意味を考えると20代の若い選手の台頭が望ましい。2軍で結果を残している釜元や真砂が今年1軍で結果を残せるようになると面白くなってきそうだ。ベテラン勢が豊富にいて、すぐ世代交代を考える必要は無いが、数年先を考えると今の内に若手が台頭するのが望ましく、そういった選手が出てくることが2019年の課題になってきそうだ。

 

育成指名から支配下登録での台頭が目立つが、反面ドラ1が伸び悩む

ソフトバンクといえば育成指名選手支配下登録に引き上げ、しかもチームの主力としてしまうところが1番の強みと言えるだろう。千賀・石川柊・甲斐らは育成出身だが今やチームに欠かせない主力になっている。だが反面、ここ数年のドラフト1位指名選手の伸び悩みも見過ごせない事態になってきた。2014年の松本直樹、2015年の高橋純平、2016年の田中正義らはドラフト1位指名ということを考えたらもう1軍で活躍しててもおかしくないだろう。彼らが指名順位通りの活躍ができていれば、投手力がもっと強くなり昨年リーグ優勝できた可能性もあっただろう。育成からの昇格選手が多いため戦力は盤石そうに見えるが、こういったドラ1の伸び悩みなどの綻びが優勝への最後の詰めの甘さになっているかもしれない。3軍制を敷いてどこよりも選手育成に力を入れている球団なので、より良い選手育成にしていって欲しい。

 

投手では大竹、野手では牧原ら若手がレギュラー奪取へ

昨年台頭してきた選手といえば、投手だとシーズン途中から支配下登録され、11試合48回2/3を投げ防御率3.88の結果を残した大竹で、野手では主にセカンドで59試合264打席に立ち、打率.317 3本 OPS.775の成績を残した牧原だ。昨年大竹は中田賢の調子が悪い代わりに先発ローテに入り、しっかり結果を残してシーズン終盤までローテを任されることになった。中田賢が36歳ということを考えるともう先発ローテで計算するのは難しく、今年は大竹が開幕からローテ入りしてくることが期待されているだろう。牧原も昨年のシーズン前半は本多・川島らベテランが1軍セカンドを守っていたが、2人ともなかなか結果を残せず彼らの代わりに牧原がセカンドのスタメンに入り、そこから結果を残してレギュラーとなった。ともにベテランとのレギュラー競争に勝った形で、こういった世代交代ができるとチームは長期的に強い状態を維持できるだろう。彼らが今年もしっかり活躍してレギュラーに定着することで、補強は無くとも投打で昨年以上の力のあるチームになっていくことが可能だろう。

 

予想レギュラー

先発:千賀・バンデンハーク・石川柊・武田・東浜・大竹

中継ぎ:加治屋・モイネロ・嘉弥真・岡本・サファテ・甲斐野

抑え:森

赤字は補強選手、緑字はドラフト指名選手

 

先発は5人が昨年のローテを守ったメンバーで、最後の1枠に大竹を入れた形にした。中田賢が2017年から成績が悪化しており、年齢も考えるとそろそろローテを守るのは厳しくなってくるだろう。先発候補では他に外国人のミランダ・スアレスや松本裕が入ってくるだろう。ローテは盤石だが控えの先発が外国人頼りで、先発が崩れた場合にチーム全体に影響を与える可能性がありそうなのが不安材料と言える。

中継ぎは昨年の主なメンバーに加えて怪我から復帰のサファテと、ドラ1の甲斐野が入ると考えた。サファテは万全なら抑えも可能だが、最初はあまり無理をさせずに昨年結果を残した森が抑えを務める形になるのではと考える。他の中継ぎ候補として二保・高橋礼・松田や、ドラフト指名の泉・奥村などがいるが、リリーフ主力と比べると格落ちな印象があり、彼らが安定しないと崩れる可能性も出てくるだろう。

 

【野手】

捕手:甲斐

一塁中村晃

二塁:牧原

遊撃:今宮

三塁:松田

左翼:福田秀

中堅:柳田

右翼:上林

指名デスパイネ

赤字は補強選手。緑字はドラフト指名選手

レギュラー野手陣の変更点は中村晃が本格的に一塁起用され、レフトに福田秀や長谷川が入ってくる形になると考えた。グラシアルがレフトに入るのが打力的には一番だが、投手陣の外国人起用が2人になると厳しく、投手3野手1の体制になると考えた。中村晃がレフトの場合はファーストは福田秀・明石が入ることになりそうで、この辺りは選手の状態を見ながら柔軟な起用が求められるだろう。他に不安材料として松田が35歳で昨年ほどの結果を残せない可能性がありそうだ。仮に松田が怪我したり成績が一気に落ちた場合はサードを他の選手にすることを考えなければならないが、その場合高田・西田らが候補になり、打撃面の低下は避けられないだろう。レギュラー陣の実力が高い分、不慮の事態への対処が非常に難しくなってくる。

 

順位予想

上記の戦力分析を踏まえてソフトバンクの今年の順位を予想する。

2位

レギュラー陣が本来の実力を発揮できれば優勝も、不慮の事態への対処が鍵

ソフトバンクのレギュラー陣の実力はパリーグでもトップクラスで、普通に運用すれば上位は間違いない。だが1軍の成績を見ると特定の選手頼りになっている印象が強く、そういった選手が怪我なり不調になった際に一気に戦力ダウンする可能性がある。外国人選手も数が多く実力のある選手が揃っているが、枠を考えると4人までしか使えず、チーム状況に応じた起用が難しくなりそうだ。こういったレギュラー選手の頑張りで持ちこたえてる感がとても強く、指揮官としてはもう少しチーム全体の層を厚くすることを意識した方が良いだろう。采配次第で優勝か2位かが決まってきそうだ。

 

上がり目

大竹・牧原ら世代交代のレギュラーが誕生し、成長が期待できる若手が出てきた

 

下がり目

一部のレギュラーの活躍頼みで、怪我などで穴が空いた場合に大きく崩れる可能性

 

 

【12球団順位予想記事まとめ】

【スポンサーリンク】