球春到来!
2019年のプロ野球春季キャンプが始まり、いよいよシーズンへ向けて各球団がスタートした。今年はどんなシーズンになるのか期待に胸を膨らませているファンも多いだろう。そこで各球団のオフの動きや既存戦力で予想される変化から、戦力分析と順位予想を行ってみた。今回は東京ヤクルトスワローズの記事だ。
主な戦力補強・流出
【ドラフト】
1位 清水 昇 投手 國學院大
2位 中山翔太 外野手 法政大
3位 市川悠太 投手 明徳義塾高
4位 濱田太貴 外野手 明豊高
5位 坂本光士郎 投手 新日鐵住金広畑
6位 鈴木裕太 投手 日本文理高
7位 久保拓真 投手 九州共立大
8位 吉田大成 内野手 明治安田生命
【育成指名】
1位 内山太嗣 捕手 栃木ゴールデンブレーブス
2位 松本 友 内野手 福井ミラクルエレファンツ
ドラフトについての評価・考察は別記事に詳しく記載。
【FA・トレード・外国人補強】
獲得
スコット・マクガフ 投手
高梨 裕稔 投手
太田 賢吾 内野手
寺原 隼人 投手
五十嵐 亮太 投手
流出
ジョーダン・アルメンゴ 投手
マット・カラシティー 投手
秋吉 亮 投手
谷内 亮太 内野手
投手陣の立て直しにスアレス・マクガフを獲得
ヤクルトは昨年チーム打率がリーグトップで打撃で打ち勝つ戦い方をしていたが、反面投手陣の調子が上がらず1試合平均失点はリーグワーストの成績となった。この投手陣の調子の悪さの理由として外国人のアルメンゴが全く登板しなかったことや、カラシティーやハフが先発で厳しかったことも影響していて、そのために新外国人投手を2名獲得した形になった。
先発として期待されているのがスアレスで、昨年MLBで登板していないが、2016年には22試合(先発で10試合)に登板しており、2017年にはリリーフで18試合に登板した。奪三振能力はそこまで高くは無いが与四球率が安定している。150km前後の直球とツーシームが主体で、クセのある動く球を使って打たせて取るタイプだ。近年リリーフでの起用が多いが、先発も十分こなせそうな投球内容になっている。
マクガフはリリーフで期待されている投手で、昨年MLBでは登板しておらず3Aで43試合を投げ防御率5.55 与四球率2.78 奪三振率10.22の成績を残した。防御率がやや悪いところが心配だが反面、与四球率と奪三振率は良く特に三振を取る力が強みになっている。平均150kmの直球が主体で、シュートするクセのある直球で三振を取ることができている。日本で適応できれば三振の取れるリリーフで活躍できる力はあるだろう。
投手力改善のために先発・リリーフで力のある投手を獲得してくることができ、彼らがしっかり活躍すれば投手陣の立て直しも可能だろう。
先発と二遊間の層の強化に高梨と太田をトレードで獲得
ヤクルトは昨年オフに日本ハムと2対2のトレードを行った。秋吉・谷内を放出し、先発の高梨と若手ショートの太田を獲得した形だ。トレードの意図としては先発強化と二遊間の若手の層を厚くしたかったと思われる。高梨は昨年日本ハムの5番手の先発で、18試合に登板。110回を投げ 5勝7敗 防御率4.50という成績だった。やや防御率が高く負け越したものの110回を投げれる先発を獲得できたというのはヤクルトにとって大きいだろう。ヤクルトはブキャナン・原樹理・石川・小川などが先発にいるが、彼ら以降の先発がおらず昨年はカラシティー、ハフなどが投げていた。今年はカラシティーの代わりにスアレスが入る予定だが、先発に外国人投手を3人も起用するのは枠がもったいなく、高梨が5番手に入ることで先発外国人を2人にすることができるだろう。先発の頭数と外国人枠の活用に良いトレードになったと言える。
太田は昨年54試合に出場し、41打席 打率.194 OPS.542という成績だった。今年高卒5年目の22歳で、これから1軍で結果を残すことができるかどうか注目の選手だろう。打撃面はまだ1軍に対応できていないが、守備走塁はまずまずで西浦や川端のバックアップとして起用される可能性はある。レギュラーが固定されてるヤクルトだが、彼らの後継者として力をつけてこれると将来への投資になるだろう。
戦力外から寺原・五十嵐を獲得。再起が期待できる戦力補強
ヤクルトは戦力外からベテランの寺原・五十嵐を補強した。五十嵐は元々ヤクルトの投手で 2009年オフにメジャー挑戦して以来、10年ぶりの復帰となった。
寺原は今年36歳になるベテラン右腕で、ソフトバンク→横浜→オリックス→ソフトバンクと様々な球団を渡り歩いて活躍してきた実績豊富な右腕だ。昨年はリリーフで21試合に登板し、防御率2.39という成績で少ない登板数ながら結果を残していた。年齢的な衰えが心配ではあるが、まだ力のある投手でリリーフとして活躍が期待できるだろう。
五十嵐は今年40歳になるベテランでリリーフ一筋で19年結果を残してきた右腕でヤクルトからメジャー挑戦し、向こうで3年間登板した後、帰国してからはソフトバンクに所属していた。ソフトバンクでも好リリーフとして活躍したが、昨年は23試合に登板、防御率4.50という成績で結果を残せず戦力外となった。ヤクルトとしては10年ぶりに戻ってきたことで再起復活と、若手投手への好影響を期待して獲得したと考えられる。
ベテラン2人の獲得が、チーム全体へ好影響となることが期待される。
既存戦力の変化
ベテランが多数を占めるレギュラー陣。若手の台頭が急務
昨年のヤクルトの打撃成績はリーグ2位の得点数で打撃力を売りにしたチームとして2位に上がったが、レギュラーメンバーを見てみるとベテランがかなり多い。
青木(37)・畠山(36)・雄平(34)・坂口(34)・バレンティン(34)ら打線の半数以上がベテランの年齢に達しており、彼らが結果を残したことで2位浮上となったが、年齢的な衰えを考えると今年も彼ら全員が同じような結果を残すことは難しくなってくるだろう。彼らが衰えてきた時に代わりに台頭する若手が出てきて欲しいところだが、20代の若手を見るとまだ1軍戦力として定着できる選手が少ない。上位打線を任されてるベテランが多いだけに、ここが崩れるとヤクルトの打線に大きく影響が出てしまうだろう。
若手だと村上・宮本・山崎晃・塩見らが2軍でも結果を残してきているので、彼らが現レギュラー陣の後釜として実力をつけてくることが求められる。
ヤクルトの若手で昨年最も2軍で活躍したのは、高卒ルーキーの村上だった。高卒1年目で427打席 打率.288 17本 16盗塁 OPS.879という成績で、高卒1年目の筒香や森友哉に匹敵する結果を残した。高打率で本塁打数・盗塁数も多く、将来上位打線を任させる存在になる可能性がとても高い。これだけ2軍で結果を残せると、今年は1軍昇格の機会も増えてくるだろう。守備は主にサードを守っていたため、1軍でもサード起用の可能性が高いが、ヤクルトのファーストが坂口や畠山などベテランが守っているため、彼らの後継者としてファーストでの起用もあり得るだろう。仮に今年1軍で結果を残して定着すれば、ヤクルトにとって長く活躍が期待できる打者になり大きな戦力アップとなる。
先発投手陣がやや弱くドラフト・外国人頼みの現状
打撃面の良いヤクルトだが、反面先発投手力が弱く昨年の1試合平均失点はリーグワーストだった。外国人も投手3名で、昨年は先発にブキャナン・ハフ・カラシティーを起用していて先発の頭数が少ない。2軍で先発として育てている若手は寺島・高橋奎二ぐらいで、あとはベテランの山中・館山などになる。先発投手の若手も頭数も足りてない状態と言わざるをえない状況だ。1軍先発の石川も今年で39歳になり、投球の衰えはどうしても現れてくる頃だろう。昨年のドラフト指名の清水や久保が先発として目処が立ち、外国人のスアレスが先発で結果を残してくれないと、シーズン中の先発運用が厳しくなることは間違いない。今年は投手陣の立て直しや、若手先発育成が最も重要になりそうだ。
予想レギュラー
先発:ブキャナン・原樹・石川・小川・高梨・スアレス
中継ぎ:近藤・ハフ・中尾・風張・大下・坂本光
抑え:石山
※赤字は補強選手、緑字はドラフト指名選手
先発陣にトレードで獲得した高梨と新外国人のスアレスが入ってきそうだ。この他にはドラフト1位の清水や若手の寺島・高橋奎二、ベテランの山中・館山も候補に入ってくるだろう。
中継ぎは昨年とあまり変わらないが、秋吉の代わりとしてドラフト3位の坂本光に1年目からフル回転してもらうことになりそうだ。他にもドラフトで指名した久保や、戦力外から獲得の寺原・五十嵐、そして星・中澤・梅野などが控える形になるだろう。
抑えは昨年から引き続き石山に託す形になるだろう。
【野手】
捕手:中村悠
一塁:坂口
二塁:山田
遊撃:西浦
三塁:川端
左翼:バレンティン
中堅:青木
右翼:雄平
※赤字は補強選手。緑字はドラフト指名選手
昨年結果を残したレギュラー野手陣が、そのまま今年もレギュラーとして起用される可能性が高いだろう。だが坂口・バレンティン・青木・雄平がベテランの年齢で彼らの成績が落ちたり怪我した際にどうするかが大変だ。現状だとファーストは畠山・荒木などのベテラン勢が代わりとなり、外野は山崎晃・塩見などの若手やドラフト指名の中山が候補になってくるだろう。世代交代に対応するための若手がまだ実績・経験が少ない選手ばかりで、今年はベテラン勢を起用するだけでなく、若手も起用して育てていくことが大事になってくるだろう。
順位予想
上記の戦力分析を踏まえてヤクルトの今年の順位を予想する。
4位
頭数の少ない先発陣やベテラン頼りの野手陣などの不安材料を払拭できるか
昨年から順位を落として4位と予想した。理由としては全体的な層の薄さがあり、レギュラー陣(主にベテラン勢)の活躍で支えられている状態になっていて、主力の衰えや怪我に対処するのが厳しい状態になっていることが挙げられる。昨年も開幕してから交流戦までは点を取れず、逆に点を取られての負けが多く最下位に沈んでいた。交流戦以降、投手陣が踏ん張り打線も活気を取り戻してきて2位まで浮上できたが、1つ間違えれば最下位転落の危うさを持っているチームと言える。ベテラン頼みのチームでは若手の成長が無いとジリジリ戦力ダウンしていくことにもなり、今年は若手が活躍し現レギュラー陣の後釜に相応しい選手が出てくることが期待される。若手が台頭してくればAクラスも優勝もあり得るチームだ。
上がり目
昨年2軍で素晴らしい活躍をした村上や、山崎晃・塩見などの若手の台頭
下がり目
投打で若手が出てこないことには、頭数が揃わずジリジリとBクラス転落へ
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