フェニックスリーグが始まっているが、その中で最も注目を集めているDeNAの選手がいる。
それは勝又 温史 外野手だ。
何故勝又が注目を集めているのかというと、フェニックスリーグで結果を残せているのはもちろんのことだが、勝又は今シーズンまで投手として登板していたからだ。
勝又、戦力外通告から野手転向
10月頭に勝又がDeNAから戦力外通告されたことが発表された。高卒3年目の投手に対して戦力外通告を出したということで、厳しい判断と受け取ったファンも多かったが、その後すぐに育成再契約の方針であることも報道される。
そしてその理由が、野手転向のためということだ。
投手としての勝又は3年目まで1度も1軍登板が無く、2軍でも被安打・与四球の多い投手だった。1年目に怪我で長期離脱していて、その際に肘を痛めたのかフォームが大きく変わっている。これによって投球フォームがなかなか安定せず、厳しい状態だった。
野手転向は本人の志願なのか、球団からの打診なのかは定かでは無いが、一度戦力外にして育成再契約をするということから、おそらく球団から打診されたものだと思われる。戦力外にすることで他球団と交渉する期間があり、その際に投手として見込んで獲る球団があれば、そちらも許可するということだろう。
ただ、DeNAとしてはもう勝又を野手として見て打撃練習をさせていて、戦力外通告した選手だがフェニックスリーグにも外野手として出場させている。
投手から野手に転向してまだ日が浅いが、それでもフェニックスリーグでは10/19までで21打数9安打(打率.429)と野手顔負けの結果を残していて、育成再契約だが今最もファンの期待を集めている選手と言える。
育成外野手保有の意図は
そんな活躍している勝又が来季から育成外野手となったが、DeNAになってから実は育成外野手というのは初めて保有することになる。
これまでの育成契約は殆どが投手で、捕手で2人、内野手で1人を指名したが、外野手は1人もいなかった。
育成外野手は新しい取り組みだが、この指名についてはドラフト後に三原球団代表や進藤編成部長がコメントを残している。
-育成も含めて外野手が多いが
育成の野手に関しては、今年取ろうと元々準備していた。けが人も結構出て、ファームの試合で外野手が足りないシーンもあった。育成の野手の層を厚くしておこうとした。
育成1巡目の村川凪(徳島インディゴソックス)はリーグで40盗塁をしたスピードスターであり、また3巡目の大橋武尊(茨城アストロプラネッツ)も28盗塁に加え守備力にも長けた外野手である。2巡目の東出直也(小松大谷高)は抜群の肩を持つキャッチャーである。
「村川選手と大橋選手はトップクラスの脚力を持つ選手で、チームに求められる必要な部分なので指名をしました。また東出選手は強肩も魅力なのですが、甲子園では非常に粘りのあるしぶといバッティングをしていたのが印象的でした」
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2人の話を合わせると、今季2軍で外野手が不足したことで、捕手や内野手を外野で起用することになったことを問題視していることが分かる。また、チームで足を使える選手が少ない点も考慮している。
実際、今季は2軍で外野手が0人という期間があって、その際に捕手の東妻・益子・戸柱・嶺井や、内野手のデラロサ・田部・伊藤裕・田中俊・中井らが1度は外野手として出場している。本職でないポジションを守らせるのは不慣れな怪我のリスクがあり、また2軍の育成方針とも合わないため、問題だったと言える。
ただ、この時は乙坂・神里・蝦名らが怪我で離脱していたこともあり、また1軍登録の外野手がかなり多かったことも影響していた。なので足りないからと言って支配下の外野手を増やすと、平常時には逆に人数過多になってしまうため、枠に制限のない育成選手で指名したということだろう。
これはコロナ禍で1軍選手登録人数を29人から31人まで増やせるようになったことも、影響していると言えそうだ。これは実質的に2軍の選手が2人減ることを意味していて、2軍の運用にも影響が出ることになる。
これらの要素があって今回、ドラフトで育成外野手として村川と大橋をを指名したと考えられる。
村川と大橋はどちらも俊足を売りにしている外野手で、同じタイプの選手を重ねて指名した形になった。これは2人を競わせるためという理由もありそうだが、同タイプでなかなか1軍に定着できていない関根や宮本に対してハッパをかける意味もありそうだ。
DeNAは桑原・神里の後釜のセンター候補の台頭が弱く、そろそろ後釜の準備が必要になってくる。急を要するポジションでは無いため支配下で指名する必要は無いが、育成で指名して候補を増やしたいと考えて指名したとも考えられる。
来季からの2軍外野起用は
ドラフトでは本指名で大学生外野手の梶原を指名していて、育成外野手2人指名と勝又の外野手転向も合わせると、外野の人数は育成選手を含めて13人まで増えることになる。
ここまでの人数にすれば1軍登録外野手が例え7人だとしても、6人が2軍で残ることになり少々の故障者やアクシデントにも対応できるようになるだろう。
今季のDeNAの外野手は細川が最年少だったが既に高卒5年目を迎えていて、1軍出場も果たしている。他の外野手を見ても全員1軍を経験していて、2軍の試合は若手の育成用というより、1軍で結果を残せない選手の調整用の意味合いが強かった。
なので今回のドラフトで指名した外野手や勝又は、来季すぐに2軍の試合で育成できる環境になっている。
フェニックスリーグで結果を残している勝又や、ドラフト6位の梶原は2軍で多く試合に出ることは間違いないだろう。育成の村川や大橋も積極的に試合に出していけるはずだ。
野手転向の勝又と、足のスペシャリスト2人という育成の外野手としてはなかなかインパクトのある指名になっていて、彼らが今後結果を残して支配下登録を掴んでくると、DeNAの外野陣は今よりも更に競争が激しく、強固な外野陣になってくるはずだ。