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【横浜DeNA】本指名で捕手を指名しなかった意図考察

今年のドラフト会議でDeNAの本指名は投手4人、内野手1人、外野手1人という内訳だった。

事前の予想では捕手を指名する可能性が高いと読んでいたが、結果として本指名では1人も無かった。(育成2位で高校生捕手の東出を指名)

 

 

現状の捕手の状態を見ると、30代の伊藤光・嶺井・戸柱のうち伊藤光と嶺井は今シーズンでそれぞれ手術しており、成績も芳しくない結果になっている。そして高城は第3捕手で試合には殆ど出ていない。

今季から山本を1軍で起用し出しているが、守備面はともかく打撃では打率.150を切っていて投手並みの成績になっている。まだ1軍が不馴れなことも影響したと思うが、厳しい結果だ。

全体で見ても捕手の打撃成績はリーグワーストで、打率は.200を切り、出塁率は.250前後で、打撃での貢献があまりできていない。

正直なところ、野手の中でもかなり厳しい状況のポジションと言えるだろう。

 

DeNA捕手陣1軍打撃成績(10/15時点)】

伊藤 192打席 打率.213 出塁.294 2本 OPS.582
戸柱 125打席 打率.237 出塁.268 3本 OPS.641
山本 104打席 打率.140 出塁.184 1本 OPS.377
嶺井 _80打席 打率.189 出塁.250 0本 OPS.493
高城 __7打席 打率.250 出塁.500 0本 OPS.750

 

こうした捕手の状態にも関わらず、本指名がなかった。捕手はドラフト以外では補強しにくいポジションで、特に打てる捕手ともなれば市場に出てくることは滅多にない。

実質的には現有戦力でやりくりしていく以外にないだろう。

果たしてこの捕手陣で大丈夫だろうか?

この捕手を指名しなかった意図について、捕手を指名予定だったが指名できなかったパターンと、元々捕手を指名する予定は無かったパターンの2つを考察してみた。

 

 

①捕手を指名予定だったができなかったパターン

まず、入札1位指名で小園健太を指名し、くじを当てたことについては球団としてはまさに望み通りの結果と言える。なので捕手指名を考えていたとしたら2位指名以降だったのは確実だ。

2位指名は大学生投手の徳山を指名した。この2位指名も元々のDeNAの指名予定でほぼ間違いないと思われる。
何故なら2位指名はDeNAが1番最初で、他の球団に先駆けて指名することができるからだ。仮に2位で欲しい捕手がいるのなら、このタイミングで指名すれば良かったという話で終わる。この時点では高校生捕手の松川こそ指名されてしまったが、まだ他の捕手は全員残っている状態で、選ぼうと思えば好きな捕手を選べた。
しかしそれをせずに、大学生投手の徳山を指名したということは、この時点で捕手指名の優先度はまだ高くなかったということだろう。

となると3・4位指名で、おそらくここで捕手を指名する予定があったと思われる。
理由としては2~3位指名の間で他球団の捕手指名が集中したことだ。

楽天2位 安田 悠馬(愛知大)
オリックス3位 福永 奨(国学院大)
西武3位 古賀 悠斗(中央大)

DeNAの3位指名がまわってくる間に、この3人の大学生捕手が指名されている。3人共大学生捕手の中では評価が高い選手たちで、DeNAのスカウトの視察情報も出ていた。打撃の良い捕手がこの2~3位の間で一気に指名されてしまった。
この中の1人をおそらく指名したかったのではないだろうか。
ただ、2~3位の間でこのように大学生捕手や、他にも外野手が多く指名されていたこともあって、高校生遊撃手の粟飯原や先発型の大学生右腕の三浦が残っていた。この2人を指名して、先発の強化と次世代内野手を補強できたのは良い判断だったと言える。

4位以降での指名の可能性については、おそらく無かっただろう。他球団を見ると中日が4位で高校生捕手の味谷を指名し、広島・阪神がそれぞれ7位で高校生捕手(高木翔斗・中川勇斗)を指名している。DeNAが高校生捕手を欲しかったとしたら、動けるチャンスはいくらでもあったため、指名していないのは元々下位で指名する予定は無かったということだろう。

高校生捕手は育成で東出を指名したことで補完できているし、これは元々の予定だったはずだ。

なので指名する予定だったとしたらおそらく3位・4位で、ここで指名できなかったのは2~3位の間で欲しかった捕手を指名されてしまったということだろう。

 

 

②捕手をもともと指名する予定ではなかったパターン

このパターンの場合、現在の捕手陣で来年も大丈夫という公算があるということだろう。

となると誰に期待をしているかが注目だが、これは山本と益子の2人と考えられる。

30代の伊藤光、戸柱、嶺井は計算しやすい捕手だが、年齢的にここから大きく飛躍するとは考えにくい。高城も第3捕手であまり試合に出なかったことから、大きな飛躍を見込めるとは考えづらい。東妻はまだ2軍で育成の必要がある。

となると、山本と益子の2人に絞られる。

まず山本については、今季は1軍で30試合近くスタメンマスクを被る機会があった。バッテリーを組んだ投手は京山・ロメロ・坂本・宮國らが主で、京山やロメロが後半に成績が良くなっている点を見ると、投手の力を上手く引き出せるようになってきた。

このまま守備面が改善すれば、守りに関しては信頼が置けるようになるはずで、来年も何人かの先発のバッテリーを担当することになるだろう。

打撃に関しては守備が安定して余裕が出るようになってきたら、改善を期待したい。もともと山本は去年まで2軍でも打撃は悪くなく、1軍に上がってきたときは少ない打席ながら結果を残すことが多かった。

その打撃を取り戻せれば、攻守両面で貢献できて、今回打撃の良い捕手を指名する必要がなかったと言えるはずだ。

 

益子に関しても今年は2軍では捕手陣最多出場していて、打撃も好調で主軸を任された時期もある。高卒3年目の捕手としては十分な結果で、来年も同様に結果を残せていれば、1軍に上がってくるチャンスがありそうだ。

 

DeNA捕手陣2軍打撃成績(10/15時点)】

益子 240打席 打率.235 出塁.307 6本 OPS.682
東妻 183打席 打率.153 出塁.208 1本 OPS.441
戸柱 111打席 打率.245 出塁.306 0本 OPS.600
嶺井 102打席 打率.283 出塁.323 3本 OPS.780
高城 _56打席 打率.234 出塁.339 0本 OPS.573

 

益子が1軍に上がった場合、2軍で育成する捕手が東妻のみになる懸念があるが、その時は育成2位指名した東出にも実戦の機会を与えることができるだろう。

わざわざ育成で捕手を指名したのは、益子の次の捕手を育てることを意識した可能性もあり、益子がこの先1軍に上がっていけば、捕手育成が順調と言うことになる。

なので今回のドラフトで捕手の本指名がなかった意図としては、山本と益子が来年1軍で出場機会を増やせる公算があったということだ。

 

DeNAはこの先5年以内には1軍捕手の陣容がガラリと変わる可能性があり、その時に1軍に上がっているのは山本や益子であることを期待したい。

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