バウアーがDeNAに復帰するという報道が出た。
大半のベイスターズファンはこれに喜んでいるが、拒否反応を示す野球ファンも見かける。
この理由の一つとして考えられるのが、過去の米兵擁護の件だ。
これは過去に在日米軍の兵士が日本で交通事故を起こし、日本人2人が亡くなった痛ましい事件があったが、その米兵の被告が仮釈放された際にバウアーがInstagramで米兵に対して「Welcome home(おかえり)」とコメントしていた。
この件で日本人から「殺人犯を擁護した」「被害者の感情を踏みにじる行為だ」と非難にさらされた。
この件について、バウアーの行動が軽率だったことは疑いない。
しかし彼がそうするに至った背景なども考慮する必要があるだろう。
背景情報を踏まえて時系列でちゃんと見ていけば、印象が変わる人もいるのではないだろうか。
そこで、まとめてみることにした。
まず2021年5月、日本で米兵の運転する車が交通事故を起こし、日本人2人が亡くなった。この事件の裁判で、運転していた米兵のリッジ・アルコニスは過失運転致死傷の罪で禁固3年の実刑判決を受け、2022年7月に横須賀刑務所へ収容された。
しかし米国政府は日米地位協定を基に不当な拘束として身柄の引き渡しを要請し、結果として2023年12月に米国への移送が実現した(米国ではかなり米兵に配慮した論調だった)。
その後米兵はロサンゼルスの刑務所で服役していたが、2024年1月に仮釈放された。
日米の刑務所で併せて約1年半収容されて処罰を受けており、仮釈放も基準となる有期刑の3分の1以上が経過しての措置であり、特別扱いとは言えない。
そしてこの仮釈放後、バウアーがInstagramで米兵の投稿に対して「Welcome home」とコメントしている。
バウアーは米兵と個人的な知り合いで、米兵が逮捕された際には彼の子どもたちを気遣い、動画を送るなど支援していた間柄だった。
また、コメントは米兵の投稿への返信という形であり、父親が帰ってきた子どもたちの心情も踏まえたものだったのではないかと思われる。
しかし、このコメントがオープンな場で書かれたため、日本では一部の世論から非難が集まった。
この件についてバウアーは後に「日本の被害者やその家族を傷つける意図は全くなかった」と声明を出し、謝罪している。
日米での報道や刑罰制度の違い、バウアーと米兵家族との関係を考慮すると、単純に「殺人犯を擁護した」と一方的に断じるのは不適切ではないか。
日本人2人が亡くなったことから、バウアーのコメントは軽率だったと言わざるを得ない。
しかし、彼が置かれた状況や背景を考慮せず、犯罪者を擁護したと断じるのは、過度な非難にあたる可能性がある。
バウアーについてはこの件に限らず、事実と異なった認識をされやすい。それは彼が思ったことをすぐ口に出しやすい性格面の影響もあると思うが、事実は事実として捉えて客観的な評価をしていく必要があると思う。
【参考資料】
「擁護のしようがないだろ」元DeNAバウアーの“不適切発言”にファン落胆。炎上騒動に本人が謝罪「無神経に映ったことは理解しております」 | THE DIGEST
「2人死亡」日本で自動車事故起こした米軍将校の釈放にバウアー「Welcome home」発言 ファンも「ガッカリ」批判殺到 | Smart FLASH/スマフラ[光文社週刊誌]
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