横浜DeNA背番号59
高卒7年目の投手、平良拳太郎
元々は2013年に巨人がドラフト5位で指名した投手でしたが、その後2016年オフにDeNA山口俊が巨人へFA移籍を行ったことで、その人的補償としてDeNAへ移籍してきました。
巨人時代は高卒でまだ育成段階ということもあり3年間で1試合の登板に留まりましたが、DeNAに移籍して以降1軍初勝利を経験し、2018年から1軍登板数を大きく増やして、今は先発で5,6番目の投球回数を投げるまでになっています。
こうした現在の平良についてデータや指標からどういう評価ができるか、また今後どのようにして台頭していけるかを考えてみました。
平良の直近の成績・指標
まず始めに直近5年間の投手成績を見てみましょう。
平良は2016年オフに巨人からDeNAに移籍しましたが、移籍した段階ではまだ高卒3年目で1軍でも1試合に登板したのみでした。その後年数を重ねるごとに徐々に1軍登板数・投球回数も増やしていき、内容も良くなっています。2018年・2019年では先発ローテにも入り5・6番手には入ってきているでしょう。指標の中で特に成長が見られる点は、QS率・WHIP・与四球率ですね。
QS率は2019年で42.9%となっていますが、チーム内の先発投手で比較すると、
1位 今永 68.0%
2位 濵口 56.3%
3位 平良・東 42.9%
こうなっており、上位に入っています。昨年は8月後半から9月に調子を落として一気に成績が悪くなりましたが、そこに入るまでは6イニング前後を安定して投げることができていて、防御率も2点台をキープしていました。シーズン後半でバテてしまった感は否めないですが、課題が明確なのでスタミナさえキープできれば非常に安定した投手として期待できるでしょう。
平良の投球の特徴を挙げると、近年は与四球率が非常に良くなり制球が安定しています。与四球率だけで比較するなら2019年の今永や2018年の東よりも低く、チーム内で最も四球を出さない先発になっていると言えるでしょう。この四球の少なさは投球は低め中心でコーナーを狙って投げれる制球力の良さを表しており、直球・変化球ともに安定しています。奪三振率は先発としては並程度ですが、打たせて取るスタイルが定着していて、ゴロアウト率も高めです。
反面、被本塁打・被長打率がやや高く、球威がそこまで無いので甘く入った球を簡単に長打にされやすいという弱点もあります。精密さが活かせないと逆に大火傷しやすい性質はありますね。昨年シーズン終盤に成績が一気に悪くなりましたが、この理由として持ち前の制球力が崩れてきて与四球が増えたことと、それにより甘く入った球を打たれやすくなったことが挙げられます。
これらを考えると、平良の課題はシーズン通して安定して投げ切れるスタミナと、甘い球を外野に飛ばされやすい球威不足という2点なのは明白です。
平良の現在の立場とこれからの活きる道
今のところ平良は登板数・投球回数的には先発5・6番手というように見えますが、ラミレス監督のコメントを見ると期待度は高く、特に安定感はとても評価されています。平良は長所も課題もはっきりしていて、課題に関してはこれからもっと1軍で経験を積んでくれば改善できる余地があるため、将来的にも期待はとても大きいでしょう。
年齢的にもまだまだ若いですし、チーム内の先発を見てもこれからローテの主力となっていく期待を込めたい若さです。
主な先発の年齢
井納:33歳、今永:26歳、大貫:26歳
濵口:25歳、平良:24歳、東克:24歳
上茶谷:23歳
右腕だと井納が1人30代に入っていて、後に続くのが大貫・平良・上茶谷らになるので、次世代の右腕エースとしても期待は大きいでしょう。
今後、右腕エースとして平良が上り詰めていくために必要なこととして、1番に挙げられるのは上記で記載したようにシーズン通して安定して投げ切れるスタミナですね。
現時点で70イニングがMAXになってますが、先発の規定投球回は143イニングですので、今までの倍の投球回を投げれるスタミナが必要になります。そのため開幕からローテを死守し続けるような投球が求められるでしょう。また、1試合あたりの平均投球回ももう少し伸ばす必要があります。
1試合あたりの平均投球回
①今永:6.80
②上茶谷:5.54
③濵口:5.08
④平良:4.93
⑤井納:4.86
⑥大貫:4.44
このように、今永・上茶谷・濵口と比較するとやや少なく見えます。井納や大貫よりは多いとはいえ、平良はこれまで2軍で何年もローテで投げ続けてきていますし、井納や大貫よりも若いですからもっと投げれるようにならないといけないでしょう。投手交代のタイミングは監督の裁量に委ねられますが、スタミナに不安があると思われてしまうと早めの交代になるでしょうし、シーズン通してのスタミナと同様に1試合のスタミナも鍛えていってほしいですね。
このように投球回を増やしていけば、持ち前の安定感も更に光りますし今永と並ぶ右のエースとなる可能性も十分あるでしょう。長く2軍ローテで投げ続けてきたことで既に下地はできていると思いますし、近年のうちに実現させることも可能だと思います。
人的補償で移籍してきてからここまで順調に育っていますし、この調子で今後もさらに成長を続けてチームの右の先発の柱のような存在になって欲しいですね。
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