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【野球】横浜はどうやって低迷期を脱出できたか?

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横浜DeNAベイスターズの直近4年間の成績を見ると、

2016 3位

2017 3位

2018 4位

2019 2位

このような順位になっています。優勝こそできてませんが、少なくともAクラスに居れるだけの戦力を有しているチームといえるでしょう。

しかしこのような成績になったのもここ最近で、2008年~2015年までの8年間では最高順位が5位でそのうち6位が6回というリーグの中でも最弱と言える成績でした。

このようなチームがどうやってAクラスに昇格できるほどの戦力になっていったのか、低迷期と現在と何が違うのかをポジション別で考察していきます。

 

先発

低迷期(2008~2015年)

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先発を見ると、三浦大輔1人に頼り切っていたことがはっきりと分かります。
暗黒期の8年間の全てに先発6番手以内に入っており規定投球回も4度到達していて、まさに孤軍奮闘でした。これを35歳~42歳という大ベテラン期にやっていたんですから、凄いことですね。

その三浦に次いで先発登板が多いのが、小林太・高崎・井納になります。彼らはこの期間でトータル3年間先発に入っていましたが、三浦の半分にも満たなかったです。井納は2013年から入団なのでルーキーから3年連続出ていて、この後の2016年以降も先発ローテに入っているので十分活躍してると言えますが、井納より指名順位が上の社会人ドラ1だった小林太や高崎が長く定着できていませんでした。他にも逆指名の2位だった吉見や、後に問題となった自由枠の那須野あたりも、なかなか先発で安定していなかったのが響きました。

このようにドラフト上位指名の大卒や社会人がなかなか先発で定着できていなかったのは、低迷時代の象徴と言えるでしょう。

直近(2016~2019年)

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先ほどの低迷期と比べると期間は半分ですが、この中で3年間以上先発で活躍した投手を挙げると、石田・井納・今永・濵口と4人もいます。山口・久保も2014年からトータルで3年間先発ローテに入ってるので、含めれば6人になります。低迷期の半分の期間なのにより多くの先発を定着させていて、なおかつ彼らは多くがまだ20代中盤でこれからまだ先発ローテで活躍できる投手たちです。

先発の層が格段に厚くなっているのが、これを見れば分かりますね。

 

中継ぎ・抑え

低迷期(2008~2015年)

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低迷期のリリーフ事情を見てみると、抑えに関しては山口が2009~2012年の間で定着していて、中継ぎも2009年あたりから真田・大原・藤江・加賀など3年以上定着していた投手が出てきており、そこまで悪い形ではないですね。

短期間でも江尻・篠原・菊地・林・長田など登板数多く主力として活躍した投手がいて、新しい投手が出てきやすい状態になっていました。

山口が抑えから先発へ転向した後も、ソーサ・三上と抑えが変わりましたが、2015年から山﨑康が定着して抑え不在の期間もそこまで長くありません。

これを見るとむしろ良くまわせていたと言えるのではないでしょうか。

直近(2016~2019年)

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2016年以降は山﨑康が完全に抑えに定着してるのが大きいですね。山口の抑え時代よりも安定感があり、不安が解消されています。

他にも三上が2014年含めてトータルで4年リリーフで活躍してますし、外国人のパットンも3年連続入っていて過去の外国人リリーフと比べても長く定着しています。砂田や三嶋などもまだ若くこれからもリリーフの主力として期待が持てますし、2015年までと比べると新戦力の台頭がやや少ないですが、安定感のある投手たちになっています。

 

捕手

低迷期(2008~2015年)

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低迷期の捕手事情を見てみると、正捕手がなかなか定着できてないことが伺えます。初期は武山・細山田らが起用され、2012年のDeNAになって以降は鶴岡・黒羽根・高城らが起用されていますが、正捕手として定着した期間というのはどちらもかなり短く1~2年で交代しているのが現状です。

こうなっているのも、攻守両面で安定した捕手というのがなかなか出てきてないことが理由で、また1軍抜擢で育てようとしていた捕手がなかなか育っていませんでした。細山田や高城はルーキー時代から1軍で抜擢していましたが、どちらもその成果が得られず、どちらも戦力外やトレードで球団を離れています。(高城は再獲得しましたが)

扇の要といえる捕手がこう育っていないのはやはり低迷期の理由の1つと言えるでしょう。

直近(2016~2019年)

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2016年以降もまだ長期固定できている状態にはなっていませんが、嶺井や戸柱といったドラフト指名組が1軍に定着しているのと、高城がずっと2~3番手に定着していることで人数的な部分では固定化されてきました。そして2018年から伊藤光をトレードで獲得したことで、今後は伊藤光を中心とした捕手陣を構成する目途が立ってきたと言えるでしょう。

 

内野手

低迷期(2008~2015年)

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低迷期の内野を見ると、あまり長続きしている選手がいないのが見えます。

8年通して1軍に定着していたのは石川のみで、低迷期に唯一試合に出続けた選手と言えます。

前半は石井琢・仁志・佐伯らベテランの力を借りていた感じで、ここからの世代交代がやや大変そうでした。その中でも内川・村田・藤田ら生え抜きの次世代レギュラー候補がいましたが、2011年までに内川・村田がFA移籍、藤田はトレードで移籍しており、世代交代すべきタイミングで主力を失うという事態になっていました。この辺りは編成面での失敗というか、1からの立て直しを迫られた感じです。2012年以降は中村紀・梶谷・渡辺直人・内村らを積極登用するもそれぞれ2年程度しか定着せず、2015年まで石川以外レギュラーの定着ができていません。

こういった形で低迷期は世代交代に苦労していたのが分かります。

直近(2016~2019年)

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直近4年間は低迷期と比べるとレギュラー定着がされてきたのが分かりますね。

ロペスが2015年から5年連続ファーストに定着、セカンドは石川の後釜がまだ定着していませんが、柴田がショートのバックアップと兼任してセカンドもできています。ショートは2017年までは倉本で2018年からFAで獲得した大和が定着。サードも宮崎が2017年から定着しており、低迷期と比べてかなり安定した布陣になっています。

とはいえロペス・大和・宮崎らは30代なのでそろそろ次世代候補が必要になってくるので、そこに対応できることが大事ですね。

 

外野手

低迷期(2008~2015年)

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低迷期の前半は金城・吉村・打川・下園・スレッジら安定した打者が1軍定着してますが、内川がFA移籍、吉村がトレード、金城・下園が年齢による衰えとなってきて2011~2012にかけて戦力の入れ替えがなかなか上手く行ってない感じですね。ですが後半は荒波が台頭してセンターに定着し、筒香がレフト・梶谷がライトに定着したことで新しい形が出来上がってきてます。世代交代があったとはいえそこまで大きな停滞は無く、比較的安定している外野と言えそうです。

直近(2016~2019年)

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最近の外野はレギュラーがしっかり固定されてきてますね。筒香がレフトに定着、桑原が荒波の後継者としてセンターに定着、ライトには梶谷とソトがレギュラーになってますし、神里もセンターで結果を残し2019年にレギュラーを掴みました。筒香がメジャー移籍しましたが、後継者として指名された佐野は2019年に筒香の控えとして結果を残してますし、層も厚くなってきています。

 

まとめ

低迷期とAクラス昇格後の各年代の1軍主力選手を見てみましたが、こう見ると低迷期の象徴としては先発・捕手・内野あたりがやはり弱かったですね。先発と捕手に関しては経験値不足・数不足がはっきりしてて、三浦以外で1軍を任せられる選手がいない状態が何年も続いてました。内野も後継者候補はいたものの、戦力流出・トレード・外野コンバートなどがあって、石川ぐらいしか1軍にいれる選手がいませんでしたね。

リリーフは割と戦力の台頭が多く、少し不安定ではあるものの数は何とか補えていました。外野も世代交代の時期はやや苦労したものの、その後すぐにレギュラーが定着したのは大きいですね。

現状はレギュラーが揃ってきましたが、捕手や内野は今後もまた世代交代がありそうですし、そこで上手くできるか気を付けるところになってくるでしょう。

 

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