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【育成】戦力均衡?外国人ベンチ入り制限とDH制導入【2021年】

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コロナの影響で来日できない外国人選手が何人か出てきていますが、そうした状況への対応策として、開幕から一定期間、一律で外国人選手のベンチ入りを制限する案や、セ・リーグにDH制を導入して投手の負担軽減をするという案が出てきました。

 

外国人ベンチ入り制限

現在、国が緊急事態宣言期間中の外国人の新規入国停止の措置を講じた影響で、ビザが発給されていない外国人が日本へ入国することができなくなっています。これがNPBに所属する外国人選手たちにも当てはまり、春季キャンプが始まった現在でもまだビザ発給がされずに来日していない選手が数多くいることとなっています。

こうした状況を踏まえてNPBは戦力均衡策として、開幕から一定期間は外国人選手の1軍ベンチ入りを制限するというルールを検討しているということです。

プロ野球、外国人戦力差均衡策を検討 新規入国停止措置続く : スポーツ報知

 

これに関して、あくまで現在報道されている内容をベースに是非を考えてみると、少し問題があるように思えます。戦力均衡や公平性という観点では確かに効果はあると思うのですが、このコロナ禍で外国人選手がビザを取得するには少なからず、球団の努力などもあったはずで、その努力の有無や大小の差を考えずに画一的にしてしまうのは、そういった努力面を無駄にしてしまうでしょう。

あとは、コロナ禍で発生する球団間の戦力差は、どう公平にしようとしても出てしまうでしょう。昨年だとロッテがチーム内で感染拡大してしまい、シーズン中に感染した選手や濃厚接触者など、多数の選手を登録抹消しなければならなくなりました。このような事態が今年も発生する可能性は出てきますし、これは球団の努力云々の問題で回避できるものでも無いと思います。

コロナの感染という努力だけでどうにもならない問題に対しては戦力均衡策をとらず、外国人のビザ発行という球団の努力次第では少しは改善の余地があった問題に対しては、一律のルールを導入して戦力均衡させようとするのは、やや不公平感があるように思えます。

もちろん、外国人選手のビザにしてもやむを得ない事情で取得できなかったり、タイミングが少しずれて取れなかったということもあったと思いますので、こちらも一概にビザを取得できなかったのが悪いと断定することはできません。

ただ、そうしたコロナ禍での問題は今後もまだまだ発生する可能性があり、それに対して毎回すぐに対応ができるような状態になってない以上、下手に色々とルール導入して一部だけ戦力均衡を図るよりかは静観した方が逆に公平と言えるでしょう。

 

DH制導入

上記の外国人選手ベンチ入り制限のルール導入と同じタイミングで、またもやセ・リーグDH制導入について再度検討しているという話が出てきました。

背景としては上記と同じ理由で、外国人選手の来日が遅れて開幕に間に合わない可能性がある選手もいることから、DH制を導入して投手の負担軽減や「試合価値の向上」を目的として、DH制を導入するというものです。

セDH制導入再検討 緊急事態宣言延長、助っ人来日遅れで - 野球 - SANSPO.COM(サンスポ)

 

こちらに関しては、率直に意見を言うと外国人選手の状況とDH制導入について、関係性が見えてこないので個人的には賛同できません。

まず外国人選手は投手だけでなく野手もいますし、DH制を導入して投手の負担を軽減したとしても野手はスタメンで1人増えるようなものになるので、野手の人数的な負担はむしろ増えてしまいます。

ただでさえ外国人野手が来日できない上に、控えの野手から1人スタメンの選手を追加しなければならないため、野手人数が少なめな球団にとっては痛手になってしまうでしょう。この辺りをどう考えて導入しようとしているのでしょうか。

あと「試合価値の向上」というのが目的の1つにもなっているようですが、こちらは球界の誰がこのような発言をしたのか分かりませんが、このコロナ禍でも試合を成立させようと奮闘している選手・スタッフ・ファンなどに対して、今の状態が価値が低いとでも言いたいのでしょうか。あまりに配慮を欠いた発言だと思いますし、DH制導入というのが試合価値をそこまで向上させるものと考えてるのだとしたら、短絡的な考えと言わざるを得ません。

かねてからDH制導入については話題に挙がっていますが、提案する側が毎回毎回ルールの穴を狙ったり、このコロナを利用しているような印象になっていて、何も実りのある議論が進めていないように見えます。もしかすると真剣に考えた上なのかもしれませんが、ただ話題に挙げてプロ野球ファンを煽って導入に押し切ろうという風にも見えてしまいます。「試合価値の向上」を真剣に考えるなら、まず「DH制導入の価値」を多くの人に認知させ、セ・リーグ各球団間でもしっかりと交渉・議論を行って、統一した見解にするべきでしょう。

正直、今季の導入について今まで沢山の提案がありましたが、どれを取っても納得できるものはありませんでした。導入するとしたら準備期間が必要になりますし、今導入を焦るのではなく、将来的な導入へ向けて議論を重ねていくべきだと思います。

 

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