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【横浜DeNA】セ・リーグDH制導入の解決策を提案

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セ・リーグDH制導入について、なかなか議論が進まないことから今後の解決策について提案をしてみました。

 

セ・リーグDH制導入議論の経緯についておさらい

ここまでセ・リーグにDH制を導入する動きが色々とありましたので、まとめてみました。

 

2017/9/13

オーナー会議でDH制導入を希望する意見が複数のオーナーから出る。セ・パの戦力均衡を目的。その後セ・リーグ理事会で本格的に検討することが決定

2019/10/24

日本シリーズ終了後、巨人の原監督がセ・パの実力差について、DH制の有無が差になっている可能性について言及

2019/11/11

セ・リーグ理事会が開かれる。原監督提案のDH制導入については議題に上がらず

2020/12/14

セ・リーグ理事会で巨人の山口オーナーが来季の暫定的DH制導入について提案。投手の負担軽減を目的に追加。反対多数で見送り

2021/1/19

セ・リーグ理事会で巨人の山口オーナーが来季のシーズン中期間限定でのDH制導入について提案。反対多数で見送り

 

経緯としては2017年の時点からセ・リーグDH制導入についてオーナー会議で話が出てきました。セ・パ交流戦で毎年パ・リーグが優勝していることを踏まえて、この時からDH制がリーグの実力差になっているという意見が出ていて、理事会でも議題として挙がっていました。ただ、反対球団もあって検討するということに留まり、決定はしませんでした。

その後2年を経て今度は日本シリーズ後に巨人の原監督が、メディア向けにDH制導入すべきと提言します。丁度日本シリーズソフトバンクが4連勝したこともあって、この原監督の提言がきっかけになり、ファンの間でもセ・パの実力差とDH制の関係について様々な意見が噴出しました。

ただ、この後のセ・リーグ理事会ではDH制導入について議題に挙がっていません。この辺りから巨人とセ・リーグ他球団とでDH制導入に対しての温度差が見えてきます。

その後1年を経て、2020年12月のセ・リーグ理事会で、巨人の山口オーナーが来季の暫定的なDH制導入について提案。こちらの提案理由は戦力均衡というよりも、コロナの影響で過密日程になることから、投手の負担軽減を目的とした提案になりました。ただ、12月のこのタイミングでは既に戦力補強が完了している球団もあり、DH制に対応した補強ができない球団もあることからまた反対意見が多数出て見送りになりました。

その1か月後の2021年1月の理事会でも、再度巨人の山口オーナーが提案。今度は2021年のシーズン中に期間限定でのDH制導入を提案。ただこちらは12月時点の提案と殆ど違いが無く、結局12月時点での反対意見を覆すほどの変更がされていないため反対多数で見送りとなりました。

 

提案されるも進まぬ理由と解決策

このように経緯を見ると、もう3年以上提案されてきていますが、なかなか話が進んでいない状態です。何故一向に進んでいないのでしょうか。考えられる理由は以下になります。

  1. 毎年オフシーズンの理事会で提案されるだけで、シーズンを挟むとまた白紙になっている
  2. 毎回提案される内容が、目的や条件について少し形を変えているだけで内容の進展がない
  3. セ・リーグ内部での下交渉や意思統一が不十分

これらについて、問題点と解決策を考えてみました。

 

①オフシーズンだけの議論でなく、シーズン中も議論を

1つ目については、せっかくセ・リーグ改革のための提案であっても、それがオフシーズンの理事会のみでの話になっているため、継続的な議論というものがされていないことです。こういった内容はシーズン中でもオフでも関係なく継続して議論していくべきものだと思いますが、毎年日本シリーズが終わってから思い出したかのように提案しているような状態で、これでは議論を深めることが難しいでしょう。賛成・反対どちらの意見でも、シーズン中を含めて導入を検討していくべきだと思います。

 

②反対球団の意向も盛り込み、ルールや導入時期の改善を

2つ目については、巨人が提案する内容が毎回同じようなものになっていて、内容の進展が無いことです。セ・リーグの早期DH制導入が難しいとなると、今度は2021年のみに限定した暫定的なDH制導入を提案し、それも反対されると今度は2021年の一部で期間限定の導入を提案という、単に期間を短くしたり理由を少し変えただけで本質的な部分が何も変わっていません。反対球団はコスト面や導入時期が理由で反対しているのですから、そこの問題点を払拭していくよう内容を改善していかないことにはいつまでも平行線のままになってしまうでしょう。早期導入にこだわりを持たず、時間をかけてもセ・リーグ全球団が納得いくようなものを作って欲しいと思います。

 

③メディア向けに話をするまえに、下交渉を行い意思統一すること

3つ目については、結局ここまで長引いているのはセ・リーグ全体での意思統一ができていないことが原因で、下交渉などもう少し上手くやってほしいということです。原監督もメディア向けにいきなり提言するのではなく、まずはセ・リーグの各球団に対して話を持ち掛けることからスタートさせるべきだったでしょう。今の様相だと、改革を提案している巨人vs意固地に反対している他球団、という風にも見られてしまっていて、それではますます対立するばかりで議論が進みません。パフォーマンスで無いのなら、表のメディアに出す前に各球団間で交渉を進めて意思統一すべきだと思います。

 

 1月の理事会で否決されたことで、2021年のDH制導入はひとまず見送られることが確実になりました。ですが議論自体は今後も継続していくべきで、また今シーズン終了まで全く進展が無いままだと、結局今回と殆ど変わらない状態をオフシーズンに見ることになるでしょう。そうならないことを願います。

自分個人としてはセ・リーグDH制導入は反対の立場です。DH制がセ・パの実力差となっているという意見には懐疑的ですし、それよりも3軍制や設備投資などソフトバンクの育成環境改善への取り組みに対して、セ・リーグが遅れをとっていることが実力差になっていると思っています。さらにDH制を導入した場合、そこで投手の打撃練習がストップするわけですから、仮にうまくいかなかった場合、再度DH制無しのルールに戻そうとしても非常に難しいと思います。

こういったことから反対の立場ですが、現在のDH制導入の議論自体はもっと進めていくべきだと思います。結局セ・リーグの環境を良くしていくことは大事ですし、6球団で意見交換しやすい環境にしていくことは今後の話でも良い影響になると思います。ただ、今は対立意識が強く見えて議論が進んでいないように見えますし、これでは今後新たな提案があったとしてもなかなか前に進めにくいでしょう。

セ・リーグの意識改革の一環として、このDH制導入が賛否いずれに決着がつくとしても、それが今後のセ・リーグにとって良い影響となって終わることを切に願っています。

 

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