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【横浜DeNA】DH制導入について、セ・リーグで統一見解を【考察】

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ここ最近、またセ・リーグにDH制導入すべきか否かについての話が出てきていますが、内容が本来の本質の議論からズレてきているのではないかと思いましたので、改めて意見を書いてみたいと思います。

 

何のためにDH制を導入したいのか?

元々はセ・パの実力差についての話だったはず

まず、セ・リーグのDH制導入については去年以前からも話は出ていましたし、去年の日本シリーズ終了時点から巨人の原監督が強く要望したことから大きな議論となっていきました。

その際、原監督がDH制を導入する理由として挙げていたのが、主に以下の内容です。

  • セ・パの野球の違いから実力差がついている
  • 投手は打者に厳しいボールが投げられるようになる
  • 興行として投手の打席はファンも見たくない

 総じて言えば、技術面や野球のレベルの差がパ・リーグと差がついているので、その差を埋めるためにDH制を導入したいという話でした。

この件について、自分はDH制の有無の差だけが現在の実力差を生んだわけでは無いという理由で反対という立場で、その理由も記事としてまとめていました。ただ、DH制による打者起用の差についても理解はしていましたし、今後も多様な意見を出して議論していくべきだとも考えていました。

どうやったらセ・パの実力差を埋められるかは、今後のプロ野球界にとって非常に重要なことだと思いますし、突き詰めて考えることでセ・リーグ全体の実力アップにも繋がると思うので、反対の立場ですが積極的な議論は今後もしていって欲しいです。

 

コロナを理由とした急な来季導入提案

しかし、最近のDH制導入の議論については、このセ・パの実力差という観点と全く違う方向で話が出てきています。

まず発端は12月15日のセ・リーグ理事会で巨人の山口オーナーが突然、来季のDH制導入を提案したことです。提案した理由としては大きく分けて3つあり、以下の通りです。

  1. コロナ禍での投手の負担軽減
  2. 野手が1人多く出場できることの打撃強化
  3. 投手が打席で打撃を放棄するのはプロスポーツに反する

1つ目についてはこのコロナ禍によって、過密日程になったことが投手の故障者増加に繋がっている可能性があるとしています。確かに巨人の発表したセ・パの投手の故障者の数を比較するとセ・リーグの方が多いですが、正直現段階においてコロナの影響でセ・リーグに怪我人が増えたと結論づけるのは、憶測の域に過ぎないでしょう。

確かに今季は投手の負担が増えた可能性はありますが、打撃や走塁の影響がどれほどかは分からないですし、過密日程なら週6日の登板間隔がずっと続いていたことも、疲労の原因になったはずです。提案文を見ても、科学的な根拠に基づいたものとは読み取れなかったですし、もう少しはっきりとした原因が特定できないと納得しづらいものだと思います。

また、投手の負担軽減を考えるなら、1軍登録者数やベンチ入りできる投手を増やすようにするなどの方が、影響も少ないし導入しやすいはずです。そもそも今季は特別ルールとしてこれらに加えて延長10回までや、外国人1軍登録人数を5人とすることなども導入していますし、決して何もやっていないということでは無いです。それでも怪我人が増えたということなら、まずこれらの導入したルールの見直しなどから考えていくべきでしょう。

 

2つ目・3つ目について、読んだ時の正直な感想を言うと「何をいまさら…」という気持ちがとても強かったです。そもそもこれらは来季導入する目的になっていないですし、DH制による実力差の話もまだ議論中で結論が出ていないもののはず。来季導入しなければならない理由になっていません。投手の打席についてはそれこそ何十年も見続けてきていたことで、覇気がない、矜持が無いなどというのはこれまでの歴史を冒涜するに近い発言でしょう。オーナーは球団側の人間なのですから、それなら投手にも打席に立った際は集中するよう厳命すべきですし、打撃の良い投手を増やす努力をまず自球団からすべきです。ルールを変えるのではなく、ルール内で最善を尽くすことを球団に厳命しなければならない立場でしょう。

来季から導入するための提案理由がこういったものなのは、正直なところお粗末すぎます。何よりもう12月中盤で各球団、来季に向けた戦力補強を進めている段階です。もう補強が完了している球団も出てきています。戦力補強を進めている他の5球団からしたら、いきなりDH制導入を提案されても、DH要員の補強をしてきていなかったのですから、まさに寝耳に水でしょう。

巨人はこれから外国人選手を獲得するようですし、仮にDH制導入が決まったらDH要員として外国人を獲得することができるわけで、巨人のみが一方的な利益を受けるように見られてもおかしくありません。

 

セ・リーグで足並みを揃えることから始めるべき

結局、理事会では来季のDH制導入は承認されませんでしたが、巨人の山口オーナーはその後も、来季のDH制導入について提案していくことをスポーツ紙のインタビューでコメントしています。

このように熱意を持って提案していく姿勢は良い部分もあると思いますが、現状で来季の導入が否決されたわけですし、根拠や理由が不十分だったわけでまず提案内容を見直すべきです。そして、セ・リーグ全体での足並みを揃えることから準備するべきだと思います。

現在、またDH制導入についての議論が出ていて、野球解説者や元選手たち、選手会などでもこの話題が挙がっています。ただ、最初に挙げたように将来的なDH制導入と、来季のDH制導入については意味合いが全然異なりますし、そもそも来季は性急すぎて理事会で反対となったわけです。ただ賛否で意見を述べるのではなく、いつ導入するかという話もセットで考えなければならない問題ですし、それが無ければ前に進めることができないでしょう。

 この件について他のセ・リーグ球団に対して対案を出して欲しいという意見も出ていますが、そもそも導入する理由の根拠が現時点では弱いことや、各球団の事情を考慮していないで導入しようとしていることが反対に繋がっているわけで、提案理由の弱さと議論不足が原因と言えると思います。

根拠や理由がよく分からない提案に対して「賛成か反対か?その理由は?」と聞かれても、「もう少し具体的に話してくれ」としか言えないでしょう。対案を出せという前に、提案内容を見直した方が良いです。そこからセ・リーグ内でも調整ができるようになって、対案を出し合って議論という形に進められると思います。

 

まとめ

個人的にはセ・リーグのDH制導入は反対の立場ですが、最終的にセ・リーグの各球団が納得した上で統一した見解でDH制導入に踏み切るのであれば、自分も納得して受け入れる気持ちです。ただ、今回の巨人のみDH制導入へ動いて、他の5球団と全く歩調が合っていない動きを見ると、DH制を導入するかどうか以前の問題が見えてしまいます。セ・リーグは意見のすり合わせもできないリーグなのかと見えてしまうわけです。

これは巨人だけの問題では無く、他の5球団にも責任はあります。各球団チーム事情は抱えていると思いますが、セ・リーグとして今後どうやってパ・リーグに対抗していくかをもっと真剣に議論していくべきだと思いますし、そういう意識で動いていかないとパ・リーグに勝てるようにはならないでしょう。

意見をぶつけ合って、すり合わせて、そうしてセ・リーグを発展させていって欲しいと思います。

 

【DH制やセ・パの実力差についての記事】

 

 

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