2021年シーズンへ向けて、選手1人ずつにそれぞれ期待することを書いていきます。今回は大貫 晋一 投手です。
2020年の振り返り
大貫は2018年ドラフトで3位指名された、社会人野球の新日鐵住金鹿島出身の投手です。ドラフト時は最速148kmでそこまで速い球を投げれるわけではなかったですが、直球の球質が良く、変化球が多彩でどれも制球でき、決め球のスプリットも持っている点がDeNAスカウトから評価されていました。体格はやや細身ですが都市対抗・日本選手権では完投するなどスタミナもあり、完成度の高い投手でした。
こういった特徴から大貫は即戦力の先発として見込まれていて、1年目の2019年から先発として起用されます。ですが調子の良し悪しがはっきりしやすく、良いときは6回まで安定して抑えるのですが、悪いときは早い回に打ち込まれて降板することがあり、その象徴的な試合だったのが2019.6.22で、この試合では何と1アウトも取れず4安打3四球で6失点するという大炎上を経験しています。
1年目はそのような調子で、15試合 66回2/3 6勝5敗 防御率5.00 WHIP1.59 QS率26.7%という成績で終えました。勝ち越してはいるものの内容が悪く、正直なところ先発の谷間ぐらいの役目でしか起用しにくい投手に見えていました。
そして迎えた2年目の2020年、この年は前年にあまり安定した投球ができていなかったことなども踏まえて開幕2軍スタートとなりました。2軍では割と良い成績を残していたので7月に入ると1軍昇格してきましたが、上がってきた当初も実はそこまで良い結果を残せていません。特に2020.7.10の試合では前年の大炎上の再現かのように初回から打ち込まれ、1回 被安打4 被本塁打2 四死球2 3失点という結果になってしまいました。この試合後ラミレス監督は大貫の2軍落ちを示唆していましたが、先発事情が苦しかったことからラストチャンスとして中4日で登板させることにしました。
この試合が大貫の転機と言える試合になります。4日前にあれだけ炎上した大貫が、この試合では抜群の安定感を見せて抑えます。8回 被安打3 被本塁打1 奪三振6 与四球1 自責点1という好投でこれにはラミレス監督も驚き、2軍落ちを白紙にさせることができました。
その後大貫は安定感抜群の投球を続けて、完投試合も経験しました。終わってみれば19試合 113回2/3 10勝6敗 防御率2.53 WHIP1.10 QS率68.4%と前年を大幅に上回る結果を残し、規定到達こそ逃しましたがチーム内トップの投球回、勝ち星で一躍エース候補に名乗りを挙げるまでになりました。開幕時点では思いもよらなかった活躍ですが、逆境を乗り越えてここまで結果を残すようになった大貫の努力は素晴らしいですね。
2021年に期待すること
2020年は先発の1・2番手と言われていた今永・平良が揃って故障離脱し、2018年に大活躍をした東もトミージョン手術で全く登板できる状態でなく、先発投手が混沌としていました。頭数が不足する事態にも直面しましたし、その中で大貫の活躍は希望の光とも言えるものでした。
その大貫に2021年も大いに期待したいので「25試合 160回 防御率2.00 QS率80.0% WHIP1.00」という成績を残して欲しいです。
完投経験がある大貫なら、長いイニングを安定して投げることが可能だと思います。なのでシーズン通してローテに定着すれば160回以上投げれると思いますし、その上で防御率2.00、QS率も高く毎試合安定して6イニング以上を投げれるようになることを期待してます。
大貫は派手さは無いものの淡々と抑える投球で、制球がよく打たせて取るタイプなことから球数も少なくでき、FA移籍した井納のようなイニングイーター能力を持っています。こうした投手が先発にいれば他の投手を助けることにも繋がります。
これに加えて今永・濵口・東などここ数年の先発は左のパワーピッチャータイプが台頭していましたが、右の技巧派タイプの大貫が台頭してきたことで、チーム内の先発が多彩になって良い競争意識を与えていることでしょう。
まだ実績が2020年だけなので、今後も安定して抑えていけるかどうかが重要です。21年は更に良い内容で大貫がDeNAの新しいエースとして注目されるような活躍を期待したいです。
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