データで語るドラフト・育成論

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【育成】高卒投手の指名順位と2~4年目成績

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 前回、大卒投手と高卒投手のどちらが1軍戦力になりやすいかの記事を書きましたが、

今度は高卒投手の指名順位と1軍登板のデータをまとめてみました。 

 

対象データは前回同様、2008年ドラフト指名~2015年ドラフト指名選手の1軍成績です。

【前回記事】

【育成】大卒投手と高卒投手はどちらが1軍戦力になりやすいか - データで語るドラフト・育成論

指名順位別の比較

高卒2年目

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 上位指名(1位、2位)、中位指名(3位、4位)、下位指名(5位以下)で分けて2年目の成績を比較してみましたが、この時点で上位指名と中位・下位指名で大きく差が出ているのが分かります。

まず1番の違いが1軍未登板の割合、上位指名は既に全体の7割が1軍登板を果たしていますが、中位・下位指名はまだ全体の4割弱しか出ていません。

そして1軍登板を果たした投手の中でも上位指名は全体の15%が100回or30試合登板以上ですが、中位以下の指名は0%です。

1軍主力級の登板である、規定投球回or50試合以上登板は上位指名で1割以上。

やはり上位指名は2年目といえど即戦力級の投手がいることが分かります。

中位・下位指名は2年目の時点ではまだまだ1軍戦力として考えることはできないですね。

 

高卒3年目

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高卒3年目の成績だと、上位指名では1軍主力級の割合が少し増えています。

1軍未登板の割合も増えていますが、まだ3年目の時点では色々と不安定なところがあるということかもしれません。

中位・下位指名は100回以上or30試合以上登板の投手が出てきています。

3年目からようやく1軍戦力に育ってきたという風に見えますね。

まだ6割近くが1軍未登板ですので、中位以下で3年目からの活躍に期待するのは難しいところですが。

 

高卒4年目

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高卒4年目だと流石にどの順位でも1軍戦力になる投手が出てきてます。

特に上位指名では1軍主力級の投手が2割近いですし、この時点で5人に1人はチームの主力になっていますね。

上位指名の中でも評価の高い投手は4年目からの活躍を期待しても良さそうです。

中位指名は3年目とそこまで成績は変わっていませんね。

逆に下位指名の投手の方が100回以上or30試合以上登板の投手の割合が大きいですし、中位と下位の差はそこまで大きくないのかもしれません。

中位・下位で4年目の時点でも未登板の投手は6割弱。

この頃から早いところでは高卒投手を戦力外にする球団も出てきていますし、中位・下位指名ということを考えても、4年目まで1度も1軍に上がれていないと厳しいかもしれません。

 

まとめ

全体で見るとこういう表になります。

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高卒投手の上位・中位・下位指名の主な違いは以下の通りですね。

  • 高卒で1軍主力級の活躍を見込めるのは上位指名
  • 上位指名は全体の7割近くが4年以内に1軍登板を果たすことができる
  • 中位指名でも4年以内に1軍主力級の活躍をする投手はいるが、確率は5%未満
  • 下位指名で4年以内の1軍主力級の活躍はほぼ見込めない
  • 中位・下位指名だと半分以上が1軍登板すら果たせず戦力外となりやすい

「入団してしまえば指名順位は関係無い」という話もありますが、現実的に上位指名と中位・下位指名でこれだけ差がついています。

入団時の能力の差もあるでしょうが、各球団が上位指名を重視して育成しているということも影響してそうですし、中位・下位指名にとっては厳しい環境になってることは間違いないですね。

逆に上位指名は大卒の1年目などに劣らず、早ければ2年目から1軍主力級の活躍ができる投手がいて、こういう投手を指名・育成できた球団は大きな強みになるでしょう。

ある意味博打的な要素が大きい高卒指名ですが、各球団がスカウト・育成をしっかり整備して1軍で活躍できる高卒投手を増やして欲しいところです。

 

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