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【横浜DeNA】宮崎敏郎6年契約!三浦監督の現役時代級の評価の真意は?

今季FA権を取得した横浜DeNAの宮崎敏郎内野手(32)が、FA権を行使せずに球団と6年契約を結んだことが10/29に発表された。

6年という超大型契約は三浦監督の現役時代に結んだ契約(2003~2008)に並び、DeNAになってからは最長になる。

宮崎はサードを守る内野手で来年33歳になる。ここから6年契約ということは、38歳まで戦力として見るということになる。

そこまで宮崎を球団が評価した意図とは何だったのだろうか?

 

 

バットコントロールが球界トップクラス

宮﨑の打者としての特徴と挙げると、打率が常に3割前後で安定している点だ。加えて三振がとても少なく、毎年球界トップクラスの三振率の低さを維持している。つまりボールにバットを当てる技術が非常に優れているのだ。

バットコントロールが優れている野手は、高齢でも現役を続けている選手が多い。具体例を挙げると内川 聖一(39)、青木 宣親(39)、福留 孝介(44)、糸井 嘉男(40)などだ。彼らに共通するのは30代前半でも後半でも打率3割以上の成績を残せていることで、年齢によるパワーの劣化に関係なくバットコントロールが上手く打率を残せることが武器になっている。

宮﨑は首位打者のタイトルを獲得した経験があり、去年も今年も打率3割以上の成績を残している。上記のベテラン選手たちにも引けを取らないバットコントロールと言えるだろう。

そのため、彼らのように30代後半になっても活躍を期待できる。福留や糸井を例に挙げれば、40歳になってもまだ現役で活躍を続けられる可能性がある。そう考えるとこの6年契約は長すぎでは無く、6年後には丁度良かったか、むしろ足りないと感じる可能性すらあるはずだ。

 

次世代三塁手の育成

宮﨑自身が長く活躍できるという期待値だけでなく、宮崎が残ることで次世代三塁手の育成をじっくり行えるのも大きなメリットだ。

DeNAは現在宮崎の後釜といえる三塁手がまだ台頭してきていない。候補としては伊藤裕・牧・小深田などが比較的若い世代でいるが、伊藤裕は伸び悩み、牧はセカンドで結果を残し、小深田はまだ高卒1年目なので育成期間を要する。

彼らの中から将来的に三塁手のレギュラーが出てくる可能性はあるが、現在はまだその計算が立たないため、これから育成と見極めが必要になる。そうした状態の時に宮崎にFAで出ていかれてしまっては育成も見極めも時間が足りなくなり、急場をしのぐしか無いような場当たり的な起用になってしまうだろう。

それを避けるためにも、宮崎の残留は必要だった。しかも長く契約することでしっかりと育成と見極めができるようになる。宮崎を残留させることで、三塁手が長期的にも安定することに繋がる。

 

マネーゲーム対策・年俸の高騰を防ぐ

「(DeNAは)マネーゲームをしない」というのは去年の梶谷・井納がFA権を行使した際の三原球団代表の発言だが、要は査定基準を逸脱した高額年俸を提示しないという意味だ。これは梶谷・井納が移籍したことでファンから批判される発言にもなってしまったが、今季の梶谷・井納を見ると正直移籍先の年俸と釣り合っていない成績になっている。

なのでDeNAの提示額が適正だった可能性は高く、コスパ的には正しい選択だったと言えるだろう。ただし、戦力流出していることには変わりないので、いくらコスパが良くてもできるだけ流出を避けるようにする必要はあるはずだ。

そのためにどうすれば良いかが、今回の宮崎に対して現れていた。

宮﨑がFA権を取得した段階で、球団側はすぐに残留要請を行っている。そして他球団ではおそらく提示できない6年という超長期契約を提示した。それを聞いて宮崎は球団が自分を高く評価していることへの驚きと嬉しさと、先行きへの安心感を得られたはずだ。

選手が何年先まで活躍できるか見極める目を球団側がしっかり持ち、その予測の範囲いっぱいまで契約期間とすることで、コスパ的にも問題ない条件提示ができる。6年契約決定後の宮崎の話だと、年俸はまだ決まっていない状態で残留を決断したということなので、やはり契約期間が決め手になったはずだ。これは今後、FA権を取得する選手への残留要請でも活用できるだろう。

マネーゲームに対する良い対抗策となることを期待したい。

 

 

昨年FA権を取得した2人が揃って移籍したことで、ファンとしては辛い思いを味わったが、この宮﨑残留によって今後のFA権取得選手に対しても残留の可能性が出てきた。

これはとても嬉しいことだ。

コスパを意識することは重要だが、戦力流出し続けるのは問題なので、今後もなるべく流出しないような球団づくりができれば、安定した強さを維持できる球団になるだろう。

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