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【日本ハム】中田翔移籍から見えた対応・処遇の違和感

本記事は横浜DeNAファンである自分が、他球団の監督やフロントについて論評している記事になります。

読んでて不快になる方もいるかもしれませんが、一野球ファンの率直な意見として捉えて頂けるとありがたいです。

 

今季、日本ハムに所属していた中田翔がチームメイトに暴力行為を行ったことが発覚し、その後球団から自宅謹慎、無期限出場停止処分を受けました。

しかしその後急に巨人との無償トレードが発生し、無期限謹慎処分が解除。

巨人移籍後の中田翔はすぐ1軍登録され、1軍の試合に出場するようになっています。

一連の流れについて、時系列で記載するとこのようになります。

2021/8/4 中田翔の暴力行為が発覚、その後自宅謹慎

2021/8/11 球団が中田翔に無期限謹慎処分

2021/8/20 中田翔の巨人への無償トレードが発表

2021/8/21 中田翔が巨人1軍登録される。同日1軍戦に代打で出場

 

暴力行為が発覚してから約半月での巨人移籍で、この動きに対しては様々な意見があります。

挙げられている意見としては以下のような内容が多いです。

・移籍したことで謹慎処分が無くなって良いのか?

・何故謹慎を完了させずに移籍させたのか?

・謹慎処分以降、中田から日本ハムファンに対して謝罪が無い

・暴力を受けた被害者より加害者の救済ばかり考えてないか?

・巨人は中田翔の1軍登録が早すぎでは無いか?

・単に巨人が得をしただけになっている

コミッショナーはこの件で何も動かないのか?

 

これらについて、自分もそれぞれ意見は持っていますが、自分としてこの一連の流れで最も気になったのは、日本ハムの対応・処遇についてです。

それをまとめてみました。

 

日本ハムの対応・処遇についての違和感

①監督が中田翔の処遇について話している

この中田の暴力行為の件で最初に大きな違和感があったのは、栗山監督が中田翔の残留可否についてコメントを発したことです。

日本ハム栗山監督、中田翔放出の可能性示唆「正直、このチームでは難しい」 - プロ野球 : 日刊スポーツ

このコメント、栗山監督が中田の苦しい立場を語ったように受け取れますが、個人的には日本ハムの監督としてこうした発言をするのはおかしいと思いました。

その理由は日本ハムGMだからです。

GM制は簡単に言うと、選手獲得や放出など編成部門の仕事をGMが担当し、現場の指揮は監督が担当するという役割の分担が行われています。

今回の中田翔の処分には、日本ハムの吉村GMが最終決定者となっていたはずで、当然中田翔の残留・放出に関しても吉村GMに決定権があったはずです。

しかしその中田翔の残留可否について、吉村GMやフロントの発表の前に現場の栗山監督がコメントを発しました。

これは栗山監督の個人的な意見としてなのかもしれませんが、現場を預かる監督が一選手の処遇について、GM制なのにフロントの判断を待たずにコメントしてしまったのは組織として問題になりかねないと思いました。

 

そして栗山監督のその後の動きを知って、更に違和感が増しました。

 

②監督が謹慎処分中の選手の移籍を、特定球団に持ちかけている

原辰徳が明かした中田翔G移籍舞台裏 16日夜に栗山監督から相談の電話…主将の坂本勇人にはこの日の朝、LINEで説明:中日スポーツ・東京中日スポーツ

これは8/16に栗山監督が原監督に電話し、そこで中田のトレードの相談をしたとされています。

しかしこれは監督が独断で他球団へトレードを持ちかけたということになり、またしても編成権をもつGMの仕事を監督が行っていることになります。

もしかすると原監督とコネがある栗山監督に、日本ハムのフロントが話を進めるように依頼したのかもしれませんが、それだとしても現場の監督が1選手の処遇や移籍先まで関与していることになり、謹慎処分中の選手に対して行き過ぎた対応と言えるでしょう。

仮に中田翔以外の選手だったとしたら栗山監督は果たしてここまで動いたかということで、チーム内での暴力行為の加害者に対してのここまでの配慮は、チーム内の他の選手たちへ良い影響を与えるとは思えません。

 

そして外部的な面での問題は、この話を進めた相手が巨人のみになっていることです。

これでは特定球団への利益供与を行ったことになります。

中田は今季は成績が低迷しているとはいえ、まだ実力は十分あり特に本拠地が札幌ドームから変わるのなら打撃成績が改善する可能性が大いにある選手です。

今回の素行面での問題を抜きに、単純な戦力として見るなら巨人ならずとも欲しい球団は複数あったことでしょう。

ただ、それは同時に日本ハムでしっかりと謹慎処分を完了させて、公の場で再度謝罪会見を行った後、戦力外通告や契約解除を経てからが筋というものでしょう。

それを行わずに謹慎処分を途中で切り上げてまで巨人に無償トレードしたというのは、他球団から不公平と思われても仕方ありません。

 

栗山監督としては、長年見てきた中田翔に対しての思い入れがあったのかもしれませんが、しかしGM制下の監督の役割としても、現場のトップとしても、プロ野球界での他球団への配慮としても、今回の対応はどれも違和感ばかりです。

そしてこれらの動きを容認・公表している日本ハムのフロントは果たして、フロントと現場でしっかりと役割の線引きができているのでしょうか?

日本ハムの最近の順位は率直に言って、低迷しています。

その理由は色々あると思いますが、GM制で役割分担・統率が取れた動きができているのかという点も、気にする必要がありそうです。

 

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