試合で勝つことを端的に表現するなら、「相手チームよりも1点でも多く得点して、試合終了を迎えること」ということになるでしょう。
野球の場合はその得点を増やす手段として、打者がヒットを打ったり四球を選んだりして、ランナーを増やしてホームに帰すことが一般的になります。
ただ、ランナーを出したからといって必ず得点するわけではなく、しかもランナーを出す方法や帰す方法には色々とあり、その中で効率が良いものと悪いものがあります。
つまるところ、得点を増やすにはランナーを出す方法を増やすことも大事ですが、効率を良くすることもより重要になってきます。
この効率の良い得点ができているチームはどこなのか、またどうやって効率のいい得点に繋がっているのかを調べてみました。
まずはセ・パの平均得点数を見てみます。
まず1試合当たりの平均得点を見ると、セは阪神、パはロッテが最も高いチームになっています。どちらも突出してリーグトップになっていて得点力の高さが武器にできているチームと言えるでしょう。逆にセの中日・広島やパの日本ハムは平均得点が低く、他球団と比べてもその低さは目立っています。
この平均得点の差は、打線が打てたり出塁できているかの違いなのでしょうか。
これを調べるためにチームの安打・四球・死球などの出塁数も見てみましょう。
このような結果になりました。セで平均出塁数が最も多いのはヤクルトで、2番目が広島でした。
ヤクルトは平均得点がリーグ2位だったので、平均出塁がリーグ1位なのは納得がしやすいですが、広島は平均得点がリーグ5位だったのに、平均出塁ではリーグ2位と高い位置にいます。
平均得点でトップだった阪神は平均出塁では広島よりも少ないリーグ3位になり、逆転現象が起きました。
パはロッテが平均出塁もトップで、続いてソフトバンクになっていて、日本ハムが1番少ないという平均得点ととほぼ同じ結果でした。違いがあるとすると、オリックスが平均得点3位だったのが平均出塁4位になっています。
こう見るとセは平均得点と平均出塁で違いがあり、パはそこまで違いが無いという結果です。
効率的かどうかを見るために、1得点するのにいくつ出塁しているかを表す出塁/得点比率を算出しました。
これを見るとセは阪神は1得点するのに出塁数が2.5人ですが、広島や中日の場合は3.6~3.7人となっています。阪神に比べて1人以上余分に出塁させないと、阪神と同じくらいの得点を稼げないということになります。
ここが阪神と広島・中日とで、効率的な得点ができているかどうかの違いになるでしょう。
パは平均得点、平均出塁数がトップのロッテがこちらでもトップになっていて、出塁多い上に効率よく得点もできているという、非常に良い状態になっているのが分かります。
逆に日本ハムは得点が少ないのは、出塁数が少ない上に効率も悪いという状態で、なかなか厳しい状態なのが見えます。
パ・リーグに関しては出塁数が得点効率への影響が強いと言えそうですね。
ここまでが球団ごとで効率的な得点ができているかの違いになります。
セ・リーグの広島が平均出塁が高いのに、平均得点が低いという状態になっているので、これについて原因を更に調べてみることにしました。
調べていた中で、興味深いのが安打に対しての長打の割合でした。
こちらが長打の割合を算出した結果になります。これを見ると、巨人・阪神・ヤクルトという平均得点数上位の球団が、長打の割合もそのまま上位になっています。
広島はこの長打の割合が1番低い結果になっていました。
実際、1つの安打で2塁や3塁まで進める方が、得点しやすくなるのは当然だと思いますし、ランナーが複数出塁していた場合に長打を打つことで、1点だけでなく2点や3点にもなるので、長打はやはり得点効率を高くしていると言えるでしょう。
広島は特に、出塁数はリーグ2位なのにこの長打の割合がかなり低く、上位と10%以上の開きがあります。10安打打って広島は2つ長打が出るのに対して、上位球団は1つ多く出ているようなもので、これが得点数の違いとなって現れているのでしょう。
パ・リーグも見てみると、こちらはロッテが突出しています。ロッテは得点効率に関する出塁や長打の要素が全てリーグトップになっているので、打線の状態が非常に良いことが伺えます。
ただ、得点数が少なくても投手力が良く失点が少ないチームにすることで、勝ちに繋げることもできます。中日は今そのような形で、交流戦で勝ち星を増やすことができています。なので得点効率を上げることは、勝つための1つの手段として考えた方が良いでしょう。
その上で、得点効率を良くするためには出塁能力と長打が大きな影響を及ぼしていて、得点を増やすためにはこれらを改善していく事が大事になりそうですね。