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【育成】高卒2年目の選手を2軍で育てるべき理由【2021年】

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今年高卒2年目となる選手たちの育成方法について、考えてみました。

 

2021年高卒2年目の選手たち

期待できる選手は揃っている

今年高卒2年目の選手たち、つまり昨年の高卒ルーキー達ですが、彼らの中から今年1軍で活躍することができる選手はどのぐらいいるでしょうか?

まず、彼らについてですが、1年目の状態から考えると将来の1軍レギュラークラスを期待できる選手が現時点で何人かいます。

石川昂(中日)・紅林(オリックス)・黒川(楽天)・森(DeNA)・武岡(ヤクルト)らは期間は短いものの1軍でそれぞれ結果を残したりアピールすることに成功していますし、他にも井上(阪神)・長岡(ヤクルト)・韮澤(広島)・岡林(中日)・木下(広島)などは2軍で200打席以上経験をしました。コロナ禍で2軍の試合数が激減しましたが、それでもこれだけの高卒ルーキーを試合にしっかり出せていたのは非常に良いことだと思います。

おそらく彼らの中から、将来1軍でレギュラーを獲る選手が何人か出てくるでしょう。

石川昂井上スラッガーとしての素質が現時点ではっきり見えてきていますし、将来主軸打者に定着する可能性が高いです。紅林・黒川・森・武岡などは二遊間を守れる選手で、彼らも将来レギュラーを獲れる可能性を見せてくれました。他の選手もそれぞれ長所を持っている選手が多く、一芸を活かしたキープレイヤーになる可能性や得意なことを皮切りに一気に飛躍する可能性を持っています。

そんな将来の宝とも言える選手たちですが、彼らの高卒2年目としての今年の過ごし方はどうしたら良いでしょうか?

 

彼らができなかったこと、やり残したこと

期待できる選手が多い高卒2年目ですが、彼らは今までの高卒選手たちと1つ大きく違う点があります。

それは実戦経験の量です。

彼らの1年目、すなわち2020年ですが、この年はコロナの影響で1・2軍共に試合数が普段のシーズンから減らして開催されました。1軍では143試合→120試合へ、そして2軍では最大144試合→最大98試合まで減少しました。2軍の場合、雨天中止など開催できなかった試合は振替試合が無いのでさらに減少しました。

2軍で開催された試合数を平均で見ると、2019年には122.6試合だったのが2020年には77.5試合になっていて、約45試合の減少になっています。

この試合の減少というのは運営的な観点から見ても厳しかったですが、高卒ルーキー達の育成にも大きな影響を及ぼしました。

 

近年、各球団育成を重視するようになって高卒ルーキーでも積極的に試合に出して、実戦経験を積ませながら育てていくという方針を取る球団が増えてきました。この育成が更に強化されたのが巨人やソフトバンクの3軍制で、高卒ルーキーの実戦機会のために3軍で対外試合を組んで経験を積ませるということをやっています。

このように育成と実戦経験は切り離せない重要なものとなりつつありますが、その実戦経験が2020年はかなり少なくなってしまいました。分かりやすく打席数で表してみます。

2軍で300打席以上経験した高卒ルーキー人数

2016年 4人(400打席 1人)

2017年 5人(400打席 1人)

2018年 4人(400打席 2人)

2019年 10人(400打席 2人)

2020年 1人(400打席 0人)

2019年までは各年に複数名の選手が2軍で300打席以上を経験していましたが、2020年はたったの1人になっています。400打席以上を経験している選手も毎年いましたが、2020年は0人です。このように2020年は1人の選手に多くの打席数を与えるということが難しい年でした。

プロ野球のシーズンはレギュラークラスなら、1軍で500~600打席を経験するのは普通のことです。そのためこれだけ出続けて安定した成績を残すという体力や安定感というのが無いと務まりません。若手選手の場合、1軍でいきなりレギュラークラスの結果を残すことは難しいので、シーズン通して試合に出続ける体力や安定感は2軍で身につけることになります。

その機会を2020年の高卒ルーキー達はあまり経験できないまま、2年目を迎えてしまいました。これが今までの高卒ルーキー達と違う大きな差です。まずこの差を埋める必要があるでしょう。

 

2021年は将来レギュラーとなるために実戦経験を積む年

2020年の高卒ルーキー達はまず、1年目に経験できなかった分の実戦経験を積むことからスタートする必要があります。シーズン通して300~400打席を経験することは2軍でしかできないですし、それは1番成長しやすい高卒1・2年目のうちにやっておく方が良いでしょう。

結果を残せば1軍昇格というのはあると思いますが、その場合でも1・2軍で併せて打席数が300以上は経験できるような起用が望ましいと思います。

例を挙げると、村上(ヤクルト)・安田(ロッテ)・山田(ヤクルト)・筒香(元横浜)などは1年目に2軍で400打席以上経験していますし、鈴木誠(広島)・坂本(巨人)・浅村(現楽天)・大田(現日本ハム)・西川(日本ハム)・今宮(ソフトバンク)など主力級に育った打者たちも2軍で300打席以上経験しています。打席数(実戦経験)と育成というのは切り離せない関係になってきている以上、今年高卒2年目の選手たちには、1年目でできなかった実戦経験をまず積ませることが大事だと思います。

期待が大きい選手ばかりなので、つい早く1軍で見たいという気持ちもありますが、将来1軍レギュラーとなるための大事なステップと考えて、焦らず2軍で結果を残すことから見ていって欲しいと思います。実力のある選手なら、ここからしっかり1軍に上がってこれるはずですし、それを期待しましょう。

 

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