データで語るドラフト・育成論

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【育成】日本ハム低迷要因の分析、スカウティングと育成の失敗か?

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11/18の東スポ記事で日本ハムの「スカウティングと育成」について厳しい論調の内容が書かれていた。

内容は上記リンクより参照できるが、元々日本ハムが掲げていた「スカウティングと育成」により球団を強くするという方針が今やどの球団でも共通認識になっていて、結果的に特徴のない球団になっているというものだ。

日本ハムの球団方針について

日本ハムの球団方針について自分は過去にとても称賛していて、特に日本ハムGMが高田繁~山田正雄の2005~2014辺りの状態は、ソフトバンクや巨人の「大型補強」と対等に張り合える「球団主導型・少数精鋭育成」の球団として、新しい強い球団の在り方を示していると考えていた。

ただ、2016年の優勝を最後にBクラスへ転落していき、現状のチーム状況を見ても正直ながら戦力の厚みが弱く、昇格が厳しい立場になってきている。今シーズンも5位で、主力選手が流出していく割に新しい選手の育成が滞っている状態で、新陳代謝が上手く機能していない状態のように見える。

何故このような状態になってしまったのか。

巨人・ソフトバンクはもう補強の球団では無い

強い球団にする方法、というのを考えると思い浮かぶのが「補強」と「育成」だ。

そして前者は巨人・ソフトバンクで後者が日本ハム、というような形で「昔は」考えられていた。

なぜ敢えて「昔は」という部分を強調したかというと、近年の巨人・ソフトバンクがこのイメージから大分変わりつつあることだ。具体的には3軍制として自前で育成することに本腰を入れ始めた部分がある。これも育成選手を大量に指名しているので補強の1つとして考えても良さそうだが、本質的には日本ハムが掲げていた「スカウティングと育成」に近いものになってきている。

代わりにFA補強が減った。巨人に関しては近年FA補強して活躍している選手といえば丸選手ぐらいで、あとは生え抜き・外国人・トレードで獲得した選手だ。トレードも補強の一種ではあるが、対価が伴うものなので少なくとも「金にものを言わせて」の補強では無い。今オフはこれからFA補強に動く可能性もあるが、少なくとも以前よりは執着しない球団になってきているだろう。その傾向は2019年オフにFA補強ゼロだったことからも見えてくる。ソフトバンクに関しては更に顕著で、現状の主力選手でFA補強選手はいない。内川選手が戦力外となったことでFA補強で強かった時代の終焉を迎えたとも言える。代わりに育成出身選手の台頭が目立つ球団になっている。

このように巨人もソフトバンクもFA補強→育成へモデルチェンジしてきて、それが成功しつつあるのだ。日本ハムの少数精鋭とは真逆の3軍制育成大量指名ではあるが、自前で選手を育てるという点は同じで、むしろキャパが広い分日本ハムよりも効率的な戦力強化をしやすくなっているとさえ言える。

では巨人・ソフトバンク日本ハムの差はそれだけかというと、ある1点に大きな違いがあって、そこが圧倒的ともいえる戦力の違いとなっている。

それは巨人・ソフトバンクは「戦力流出させない球団」になっていることだ。

巨人・ソフトバンクの戦力流出阻止

生え抜きでレギュラーとなった選手は大体28~32歳前後でFA権を取得し、それは巨人もソフトバンクも同様だが、この2球団はFA権を取得した選手の流出をしっかり抑えている。

巨人についてはチームの主力中の主力とも言える菅野と坂本だ。坂本は2016年オフにFA権を取得したが、行使せずずっと球団に留まっている。これによって10年以上もショートが不動のままこれたのは編成にとって非常に大きかったことだろう。無論年俸も5億(2020年)と高いが、しっかりと坂本を留められてることは大きい。菅野は2019年オフに国内FA権を取得したが、菅野ほどの実力ならそれまでにポスティングでメジャー挑戦する機会はいくらでもあっただろう。そこを流出させずに留めてずっと巨人のエースとして活躍してきたことは非常に大きい。この他だとFAの人的補償で移籍した内海や長野なども巨人時代はFA権取得後も留まっており、少なくとも1軍主力として活躍しているうちはしっかり残留させている。これが巨人が長期的な強さを維持できた要因と言えるだろう。

ソフトバンクに関しても、主砲の柳田は海外FA権取得前年の2019年オフに7年契約という超長期契約を結んでいる。抑えの森唯斗・ショートの今宮・外野手の中村晃などもFA権取得前年に4年契約を結んでおり、主力の流出阻止への力の入れようは凄まじいものがある。無論彼らにかける年俸も高くなり、契約期間中に故障や不調に陥るリスクもあるが、そういうリスクよりも流出阻止に力を入れていることで、安定した戦力を維持できている。

巨人もソフトバンクも、今は外から補強してくる資金よりも流出させない資金の方に力を入れていると言っていい状態だ。

これに対して半ばFA移籍やポスティングを容認する立場の日本ハムからは、ダルビッシュ・大谷・建山・田中賢などMLB挑戦組や、大野・増井・陽など国内移籍組もいて、主力選手の流出がやはり大きくなっている。

これも選手への自由意志を尊重する姿勢なので間違っているとは言えないが、戦力流出には違いなく球団としては流出した穴を埋める編成力が求められ、今のところそれが追い付いていない状態とも言える。巨人・ソフトバンクとの差はむしろここにあると言えるだろう。

復権するには重要選手の流出阻止と育成の特価

では巨人やソフトバンクには勝てないかというと、必ずしもそうではない。

戦力流出している球団は日本ハムだけではなく、同一リーグの西武などはもっと多いぐらいだが、西武の場合は自前の選手を何とか育て上げて戦力にできているし、FA権取得選手でも中村剛也栗山巧が残留していて、ベテランになった今も1軍戦力として活躍できているのが大きい。これがあったから18,19年にリーグ2連覇を達成しAクラス常連の球団になっている。スカウティングと育成という観点で見るならこの西武は参考にできるだろう。

セ・リーグでも広島はFA補強に頼らない球団だったが、主力の田中・菊池・丸や大瀬良・野村・九里など殆どの選手をFA権取得前までにレギュラーに定着させることで、16~18年の3連覇を遂げた。その後丸の移籍が痛く、優勝時のスタメン選手の離脱・不調などがあって低迷したが、優勝するまでの編成はしっかりしていた。

資金豊富でなくとも西武や広島のような編成で強くしていく手段はあるため、日本ハムも現在の「スカウティングと育成」をより煮詰めて特化させていけば、まだまだ飛躍の可能性を持っている。

是非また2005~2016年のような強い日本ハム時代を見せて欲しい。

 

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