データで語るドラフト・育成論

成績・データからドラフト候補や若手選手の育成状況についてまとめているブログです。

【ドラフト2020】セ・リーグ指名結果採点&考察

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2020年10月26日(月)、プロ野球ドラフト会議が行われた。

今年は新型コロナウイルスの影響があり、優勝チームも決まってないペナントレース中の開催となった。そして高校・大学野球含めたアマチュアの主な野球の大会が殆ど中止・変更・縮小されることとなり、それだけにプロ志望者もスカウトもどちらも大変な年だったと言えるだろう。

そのドラフト会議が終わり、各球団どういった指名ができたか。採点やどのような意図が見えたか等を考察していきたい。

今回はセ・リーグ編だ。

東京ヤクルトスワローズ

99点

■本指名

×早川隆久・投手(早稲田大)
×鈴木昭汰・投手(法政大)
1.木澤尚文・投手(慶應大)
2.山野太一・投手(東北福祉大
3.内山壮真・捕手(星稜高)
4.元山飛優・内野手東北福祉大
5.並木秀尊・外野手(獨協大
6.嘉手苅浩太・投手(日本航空石川高)

■育成
1.下慎之介・投手(健大高崎高)
2.赤羽由紘・内野手(BC・信濃
3.松井聖・捕手(BC・信濃
4.丸山翔大・投手(西日本工業大

投手を最重要としつつ、他ポジションもカバーした見事なバランス指名

ヤクルトについて、ドラフト前の戦力分析と指名予想では、今年も昨年に引き続き即戦力投手の指名が必要になると記載した。その予測通り、1位指名ではまず競合確実の早川に行き、外しても大学生左腕の鈴木、そこを外すと今度は木澤を指名した。即戦力投手を確実に1位で欲しい意図が伺え、2度外したとはいえ納得しやすい指名だった。木澤は外れ1位としても文句無しの投手なので、指名できたことはむしろ良かったと言えるだろう。

そして2位では大学生左腕の山野を指名し、上位で右左の即戦力投手を指名した。こちらも1位指名に引き続き即戦力投手を第一に考えた指名となった。右の木澤に対して左の山野を指名したことで、バランスも良い。そして3位からは一転、捕手・内野手・外野手といった野手指名へ切り替えた。捕手の内山中村悠平の後釜候補、野手の元山・並木エスコバーや山崎晃へ当ててきた指名で、レギュラー陣の競争の意図が見える。6位では次世代を考えた高校生投手の嘉手苅で、バランスも重視した。事前の指名予想でも、ヤクルトは投手が弱点だが即戦力投手ばかりに偏ってはいけないと懸念していただけに、野手や高校生も併せてバランス良く指名したこの点は、個人的に高く評価したい。育成指名でも投手・野手をそれぞれ併せて4人も指名して、これまでと変わって幅広く選手を獲得して育てていこうという意図が見えた。結果的に見れば、クジを2回外したとは思えないほど順調な指名になったと言えるだろう。特に不満は見当たらないが、敢えて言えば野手がやや守備型寄りになっていて、パワーヒッター系の野手の指名が無かったぐらいだ。ただ、こちらは村上がいるし、外国人野手の補強の目途も立っているのかもしれない。神宮なので打てることも大事だし、打って投手を助けることができるようオフに動く可能性はありそうだ。

 

ヤクルトのドラフト前戦力分析と指名予想↓

 

広島東洋カープ

99点

■本指名

1.栗林良吏・投手(トヨタ自動車
2.森浦大輔・投手(天理大)
3.大道温貴・投手(八戸学院大
4.小林樹斗・投手(智辯和歌山高)
5.行木俊・投手(四国IL・徳島)
6.矢野雅哉・内野手亜細亜大)

■育成
1.二俣翔一・捕手(磐田東高)

課題の投手陣立て直しの意図がこの上なくはっきり見える、スッキリした指名

広島についてドラフト前の戦力分析では投手陣が課題と挙げていたが、まさにその課題を埋めるべくした指名だったと言える。高卒では無く大学生や社会人など即戦力候補を狙う可能性が高いと言及していた通り、1位では単独で栗林を指名した。競合の早川では無く栗林を単独で指名できたのは、昨年森下を一本釣りした広島のドラフト巧者ぶりをまた見せることになった。

2位・3位でも大学生の左腕森浦と右腕大道でバランス良く即戦力候補の投手を指名した。戦力分析通り、上位は投手力強化の意図がはっきり分かる指名になった。4位・5位でも投手でこちらは将来性を意識した指名で、小林行木も力のある直球が持ち味で将来のローテ候補として考えているだろう。最後の6位で内野手矢野を指名したが、こちらは今の二遊間の田中・菊池の後継者候補として、世代交代を考えた指名と言えるだろう。広島には小園・林・中神らこれから育ってくる内野手が多く、彼らと競わせるために身体能力の良い将来有望な矢野を指名したと考えられる。育成では捕手の二俣を指名したが、ベテランの石原が引退することもあり、この指名も納得がいく。投手強化を最優先として確実に指名できる投手をバランスよく指名した形で、補強ポイントを的確に抑えた良い指名となった。不満点は殆ど無いが、1点挙げるとしたら外野手の指名が無かったことぐらいだ。ベテラン松山がファーストを守り、同じくベテラン長野がまだ外野で起用されているため、世代交代を意識して高校生の外野手を1人ぐらいは指名しても良かったかもしれない。2位で元を狙っていたという話もあったが、それだとするとオリックスに先に指名されてしまったのは痛かっただろう。オフに何らかの補強があるか注目だ。

 

広島のドラフト前戦力分析と指名予想↓

 

横浜DeNAベイスターズ

99点

■本指名
1.入江大生・投手(明治大)
2.牧秀悟・内野手(中央大)
3.松本隆之介・投手(横浜高)
4.小深田大地・内野手履正社高)
5.池谷蒼大・投手(ヤマハ
6.高田琢登・投手(静岡商業高)

■育成
1.石川達也・投手(法政大)
2.加藤大・投手(横浜隼人高)

先発・内野の補強をしっかり抑え、層の厚さも意識した球団の意図が分かる指名

DeNAについては元々の1位予想ではとしていて、入札1位の予想は外したものの2位で指名するという、指名自体は当てることができた。そして1位指名の入江に関しても、「投手で1位なら入江」と予想していたのでこちらも文句無しの1位と言える。入江については春先までは不安定さがあったものの、秋の登板試合では非常に安定した投球ができていて、横浜のみならず他球団スカウト陣も変わりぶりに驚いていた。おそらくこの時の内容が1位入札への決め手となったのだろう。入札1位では直前まで楽天が入江指名の可能性が報道されており、早川か入江かという状態まできていた。楽天が最終的に早川指名したことで単独指名を勝ち取れ、これは大きかったと言える。牧が2位指名まで残っていたのは偶然と言えるかもしれないが、DeNAは牧について「佐藤と同等」との評価をしていたし、その牧を1位でいかなかったのは勇気が要ったことだろう。今永・東など先発が故障した影響で補強の最重要ポイントが先発になったためだが、おそらくは2位でも牧が残る可能性について少しは考えてたのでは無いだろうか。結果的にドラフト1位級の選手を2人指名する大成功となった。

DeNAのドラフト前の考察では「先発と遊撃手」という2点を補強ポイントとしていたが、同時に牧指名は柴田をショートに移すことでショートの補強となることも記載していた。まさにその目論見通りの指名と言えるだろう。3位指名で高校生左腕の松本、6位指名でも高校生左腕の高田を指名したが、こちらは現状伸び悩みの高卒投手陣に対してのテコ入れの意識が見える。今まで下位指名が多く育ちにくさもあったが、今回3位で大型で150km超えの左腕の松本を指名し、下位でも安定感の評価が高い高田を指名しバリエーションを増やした形だ。育成でも大学生の石川、高校生の加藤と2人の素材型投手を指名し、素材型投手を一気に4人を獲得し、今までと変わって将来性をとても意識した指名となった。リリーフ投手は1人指名する可能性があると予想していたが、その通り5位指名で社会人左腕の池谷を指名した。リリーフは左腕がエスコバー・石田頼りになっているため、的確な指名と言える。野手では4位指名で高校生の小深田を指名し、こちらはサード宮崎の後釜候補として考えているのが明白だ。昨年指名した田部と競い合わせる形で、後継者問題の解決を図っている。このように各補強ポイントに対しての指名が集中した形で、明確な意図が見える指名だった。捕手を指名しなかったが、こちらは事前の戦力分析でも指名の必要は無しとしていたところで、問題は無いだろう。外野手も無かったが、人数構成を考えたら高校生を1人は指名しても良かったかもしれない。ただ、下位で指名するよりかは来年のドラフトで指名するという考えなのかもしれない。

 

横浜DeNAのドラフト前戦力分析と指名予想↓

 

阪神タイガース

99点

■本指名

1.○佐藤輝明・内野手近畿大
2.伊藤将司・投手(JR東日本
3.佐藤蓮・投手(上武大)
4.榮枝裕貴・捕手(立命館大
5.村上頌樹・投手(東洋大
6.中野拓夢・内野手三菱自動車岡崎)
7.高寺望夢・内野手(上田西高)
8.石井大智・投手(四国IL・高知)

■育成
1.岩田将貴・投手(九州産業大

佐藤も凄いが、その後の投手・野手指名は期待以上。見事以外の言葉が無い指名

阪神についてはドラフト前の指名予想では、固定できていないセカンドと糸井の後釜のライトを懸念材料として挙げていた。今ドラフトでは野手を指名する際どちらかを指名してくると考えていたが、今ドラフトNo.1の外野のスラッガー佐藤輝に入札指名し、4球団競合の末見事引き当てることができた。

2位では社会人左腕の伊藤を指名し、こちらは先発で西・青柳・秋山らに続くローテの一角としての期待が高い。3位では最速155kmの佐藤蓮で、こちらは藤川が引退し能見の退団が確実視されているため、リリーフの頭数が減ったところを埋める的確な補強となる。4位の榮枝については、こちらは事前の戦力分析で自分が見逃していた。梅野が盤石とはいえ、梅野以外の捕手がなかなか厳しい現状を考えると、梅野が怪我した場合のリスクが高い。それを考えれば榮枝の指名は的確と言える。5位の村上はドラフト前に怪我をしてしまった投手だが、怪我から治れば先発ローテの一角に入ることが期待される。阪神はセカンドが懸念材料になっていることを指摘していたが、6位中野と7位高寺はまさにそこを埋めるべく指名したと言えそうだ。中野は攻守で即戦力級の評価があり、来年開幕からセカンドに定着している可能性もあるだろう。高寺は高校生ショートで、小幡・遠藤などといった若手内野陣と競わせて次世代内野陣の層を厚くする目的が見える。8位の四国ILの石井は最速150km超えの球威、育成1位の大学生投手の岩田は変則の左サイドと、どちらも一芸に秀でた投手でモノにできれば面白い。1点だけ気になったのは二遊間の選手を上位で指名しなかったことだ。佐藤を1位指名したため、2位や3位でも即戦力型の内野手を指名するのはバランス的に難しかったかもしれないが、やはり現状で唯一固定できていないセカンドについては、今後も課題となってくるかもしれない。

 

阪神のドラフト前戦力分析と指名予想↓

 

中日ドラゴンズ

99点

■本指名

1.高橋宏斗・投手(中京大中京高)
2.森博人・投手(日本体育大
3.土田龍空・内野手(近江高)
4.福島章太・投手(倉敷工業高)
5.加藤翼・投手(帝京大可児高)
6.三好大倫・外野手(JFE西日本)

■育成
1.近藤廉・投手(札幌学院大)
2.上田洸太朗・投手(享栄高)
3.松木平優太・投手(精華高)

3年続けての長期戦略。Aクラスのその先の常勝を見据えた指名

今年も中日は高校生の1位指名となった。地元愛知の高校で、今ドラフト高校生No.1投手と評価の高い高橋を一本釣りできたことは、愛知全体を大いに沸かせたことだろう。根尾・石川・高橋をしっかり育てた場合、中日は数年先どころか10年先まで見据えた長期的な強さを手にすることができるだろう。

2位のは最速155kmと力のある直球を投げる大学生右腕で、先発・リリーフのどちらでも見込め、来年からでもローテとして定着するか、リリーフエースとして活躍するか、どちらかになれると期待しての指名だろう。3位には高校生ショートの土田で、こちらは1軍では京田がいるものの2軍ではショートで根尾・三ツ俣・石垣・石川も起用している状態のため、なかなか固定して育てられる選手がいない。守備の上手さに定評のある土田を獲得し、彼らと競わせる考えが見える。4・5位は高校生投手で、左腕の福島と右腕の加藤はどちらも力のある球を投げ、1位の高橋と競い合って欲しい期待が見える。6位の社会人外野手の三好は投手としても最速144kmで肩が強く、打撃では鋭い打球を広角に打ち分ける力がある。育成では投手を3人指名し、今季は素材型投手を沢山集める方針がはっきり見える。いずれも長期的な強さを持ちたい意図が分かり、ここから1人でも多く1軍で活躍できるようになれば、Aクラス常連へと定着することも可能だろう。マイナスの1点は、今季不安だった外野手の補強をもう少し意識しても良かったのではないだろうか。3位で大学生か社会人の外野手、6位で高校生ショートという方が、優先度的には合っていたと思われる。ただ、土田への評価の高さや、三好を即戦力として見込めているのだとしたら、その評価でこのような指名順になったのだと納得はできる。

 

中日のドラフト前戦力分析と指名予想↓

 

読売ジャイアンツ

99点

巨人
×佐藤輝明・内野手近畿大
1.平内龍太・投手(亜細亜大)
2.山崎伊織・投手(東海大
3.中山礼都・内野手中京大中京高)
4.伊藤優輔・投手(三菱パワー)
5.秋広優人・内野手二松学舎大付高)
6.山本一輝・投手(中京大
7.萩原哲・捕手(創価大)

■育成
1.岡本大翔・内野手(米子東高)
2.喜多隆介・捕手(京都先端科学大)
3.笠島尚樹・投手(敦賀気比高)
4.木下幹也・投手(横浜高)
5.前田研輝・捕手(駒澤大
6.坂本勇人・捕手(唐津商業高)
7.戸田懐生・投手(四国IL・徳島)
8.阿部剣友・投手(札幌大谷高)
9.奈良木陸・投手(筑波大)
10.山崎友輔・投手(福山大)
11.保科広一・外野手(創価大)
12.加藤廉・内野手東海大海洋学部)

課題の投手陣の強化と、大幅な血の入れ替えを敢行して長期的な強化

今年のドラフトでは事前に即戦力外野手の指名を公言していて、その通り佐藤を指名したがクジは外してしまった。しかしそこからすぐ即戦力投手へ方針を切り替えた。外れ1位の平内は最速156kmの直球に多彩な変化球を操り、おそらく先発で菅野・戸郷に次ぐ3番手に入ることが期待されているだろう。

2位では6月にトミージョン手術を行った山崎伊織を指名した。これに関しては驚いた人も多いだろう。実戦登板は早くとも再来年からになりそうだが、完治して元の投球ができればドラフト1位級は間違いないため、ある意味戦力に余裕がある巨人だからこそできた指名と言える。この他、大学生以上の投手では4位で伊藤、6位で山本を指名していて、伊藤は最速155kmの球威が武器の即戦力リリーフ候補、山本は左腕で最速147kmだが肘を柔らかく使ってノビのある球を投げる。この2人も来年いきなり1軍の可能性があるだろう。野手では高校生内野手を2人指名し、中山は身体能力が非常に優れたショートで、秋広は2m100kgの巨漢の投手兼一塁手で投手としても野手としても可能性が広い選手だ。将来的に中山は坂本の後釜のショートへ、秋広は大型スラッガーで一塁のレギュラー定着となれば理想的だろう。8位指名では大学生捕手の萩原を指名したが、強肩強打が売りで大城とも競い合える打力が期待できそうだ。巨人の場合、投打でレギュラー陣は固まっているため、そこにぶつけて競い合わせるような選手を指名した形と言える。

また今季は育成で12人も指名したことが特徴的だった。巨人の育成選手は今季21人いるが、この指名人数を考えると半数以上の入れ替わりは確実だ。全体的な指名を見て、1点だけ不満があるとすれば外野手の指名についてだ。佐藤を外した後に本指名では1人も指名せず、育成でようやく1人のみというのは、ドラフトで外野手を補強する意図は無いということだろう。佐藤を外した穴埋めをどうするかについて、オフの補強で答えが見えてくるかもしれない。

 

巨人のドラフト前戦力分析と指名予想↓

 

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