データで語るドラフト・育成論

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【プロ野球2019】ロッテの戦力分析とドラフト指名予想

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9月に入りドラフトが間近に迫ってきました。

そこで各球団の戦力分析とドラフト指名予想をしていこうと思います。

今回は千葉ロッテマリーンズです。

現状の戦力分析

[先発投手]

若手の台頭で揃ってきた先発投手陣。ずば抜けたエースはいないが好投手の陣容

昨年までロッテはなかなか投打で結果を残せていないチーム状況だったが、今季はこれまでの苦労が実を結んだ形になったか、若手の台頭が目立った。涌井・石川・ボルシンガー・二木らが昨年まで投げていたが、それに加えて今年は22歳の岩下・21歳の種市がローテに入ってきた。今季は涌井・ボルシンガーの状態があまり良くなく防御率4点台で、二木もチーム内最多イニングを稼いでいたものの、結果を残せず8月に2軍落ちとなった。このような先発が不安定な状態になったが、石川・岩下・種市が何とか防御率3点台で踏ん張っている。特に種市はQS率がチーム内トップで安定した試合作りができていて、防御率も先発陣で1番良い。先発の指標となるSP RARを見てみると、チームではリーグ2位の数値で、個々で見るとWAR二木が2.7、石川種市が2.3になっている。ずば抜けて良い投手はいないものの、パリーグで2.0以上が14人いる中の3人が入っていることを考えると、頭数は揃ってきてると言えるだろう。他の先発だと小島・佐々木・土肥が投げていて、小島は4月に打ちこまれはしたものの8月から先発のローテに入ってきている。佐々木土肥は8月末・9月初めに登録抹消したが、防御率は2点台後半と3点台前半でそこまで悪くは無い。2軍では中村稔が好投していて、6月に1度だけ1軍先発があってその時は大量失点してしまったが、その後の状態を見るとこれから期待できる投手だろう。

このような投手陣を見てみると若手投手が段々育ちつつあり、とても良い状態になっている。そのためドラフトでは即戦力先発を指名する必要はそこまで無いだろう。しっかり育てられる環境が整いつつあるので高校生の高素材を確保しておくのが良さそうだ。

ドラフト重要度:中(1位~上位指名)

ドラフト指名対象:若手が育ちつつあるのでその流れに乗った高校生の素材型

 

[救援投手]

指標的にはリーグ下位も、比較的安定している投手が増加。運用の良さが光る

ロッテは抑えの益田とセットアッパーの東條・酒居が1軍で50試合以上登板していて、益田は一時は防御率4点台まで膨れ上がったものの現在は2点台前半に落ち着き、リリーフ陣トップの防御率・被打率・WHIPになっている。東條防御率3点台、酒居は4点台で盤石とは言えないが、開幕からずっと1軍で投げ続けておりリリーフの柱的な存在と言えるだろう。他には松永が40試合以上登板していて防御率2点台で、益田に次ぐ防御率になっている。ホールド数がチームトップで勝ちパターンを任される重要な役回りだ。20試合以上登板しているリリーフだと田中靖・東妻防御率2点台になっている。安定感はまだ上記のリリーフと比べて弱いが、彼らが1軍定着してくるとリリーフの層も厚くなってくるだろう。こういったリリーフ陣でロッテのリリーフ指標のRP RARではリーグ4位となっている。数は揃ってきているが、今季は唐川西野がリリーフで結果を残せていなかったり、種市の先発転向などシーズン序盤はやりくりに苦労していて、それが影響した形になっている。

2軍では成田・阿部・永野・山本・大谷らが登板数多くリリーフで投げていて、阿部は1軍に昇格してまだ試合数は少ないが抑えることができている。成田や山本もこれから1軍に上がってくる期待が持てる若手で、彼らの成長も楽しみなところだ。

現状、先発と同様リリーフ陣も補強は急がずとも頭数は揃っている状態だ。ただ成績的にまだ上を目指せる部分もあり、質の良い投手がいれば確保しておくのが良いだろう。種市のような高卒で早くから1軍で活躍できる若手もいるので、そういった素材型の投手を狙うのも良さそうだ。

ドラフト重要度:低(中位~下位指名)

ドラフト指名対象:好リリーフがいれば確保しておきたい。第2の種市の調査も

 

[捕手]

正捕手田村は今年も変わらず。他の捕手では柿沼の台頭があり田村と併用も見えてきた

 ロッテは2015年から田村を正捕手として起用してきて、今年も開幕から田村を起用していたが、5月に右太ももを痛め登録抹消する事態となった。約1カ月離脱していて、その後復帰してきてからはまたスタメン起用されていて、変わらず正捕手の座を守っている。打撃成績は打率.230~250、3本塁打OPS.600前後で攻撃面ではそこまで貢献できてはいないが、守備面ではUZRが高く捕逸・盗塁阻止率など捕手としての総合的な分野で高い数値になっている。現状他の捕手ではこの守備面が田村ほどの結果を残せていないため、田村が正捕手になっている形だろう。田村が離脱中は吉田・江村らが起用されていたが、田村が戻ってくると同時に起用機会は減ってしまった。代わりに6月以降、徐々に起用されるようになってきたのが柿沼で、8月には田村と併用されるまでになってきている。9月に入って柿沼が骨折で抹消となってしまったが、これだけ起用されたのは今年が初めてなので、これから期待できる捕手になってきたと言えるだろう。柿沼も打撃はあまり結果を残せていないが、守備指標では田村より守備機会は少ないものの、UZRや捕手の守備指標が田村と劣らないぐらい高い数値で、同じ守備型の捕手として台頭してきたと言えるだろう。

2軍では宗接・江村・柿沼が主に起用されているが、宗接・江村は打撃面で厳しい成績になっている。柿沼は2軍だと打率.300 OPS.900近くの打撃成績を残していて、今後打撃の向上も期待できるだろう。他にはベテラン捕手の細川がいるが、2軍でもあまり起用されておらず、やや厳しい状態と言える。

ドラフトを考えると田村を正捕手に、柿沼が育ちつつあるような形で1軍戦力としては申し分なくなってきてるが、捕手人数がベテランの細川を入れて6名という現状はやや少ない。細川以外は全員20代だが、25~28歳に密集していて年齢の幅も狭い。大卒でも良いので20代前半の捕手や、高卒捕手を獲得して将来を考えた構成にすることも大事だろう。

ドラフト重要度:中(中位~下位指名)

ドラフト指名対象:捕手人数の少なさが目立つため、若い選手を指名して年代を広く

 

[内野手]

二塁は中村奨で固定も遊撃は3人の併用起用。全員WARマイナスで起用に悩み

二塁手には昨年フル出場した中村奨が今年も定着し、チーム内では荻野・鈴木大地に次ぐWARとなっている。攻撃面では打率.236 15本 OPS.699とやや打率が低いものの長打で結果を残している形だ。守備のUZRは非常に高く、セリーグ含めた12球団のセカンドでトップのUZRになっている。特に守備範囲の広さがズバ抜けていて、この守備でレギュラーを獲ってるといっても過言ではないだろう。殆どの試合でスタメン出場していて、たまに鈴木大地がセカンドを守るぐらいだった。2軍では松田髙濱がセカンドで起用されているが、攻守両面でまだ中村奨には及ばない状態だ。年齢的にも中村奨と近いので、後継者として考えるのは難しく、他の若手の台頭を期待したいところだろう。補強やドラフト上位指名などはよほどの選手でない限りは、無理する必要はなさそうだ。

遊撃は今年藤岡・平沢・三木の3人が主に起用されている。開幕当初は昨年同様に藤岡が起用されていたが、5月に右太ももの肉離れが起きて2軍へ。そこで平沢三木が起用されるようになってきた。藤岡が戻ってきてからも3人体制で併用されていて、今一つ飛び抜けて出てくる選手がいない。藤岡に関しては今年は攻守で精彩を欠き、打撃面ではOPS.600超えがやっとで守備面もUZRは12球団ショートの中でもブービーの成績になっている。安定感・守備範囲ともに良く無く、これだとショートのレギュラーというのも難しくなってくるだろう。三木も攻守の成績はあまり良くなく、打撃は藤岡よりも下になっている。平沢は打撃があまり良くないが、守備ではチーム内ショート唯一UZRがプラスで、この中では良い方と言えるだろう。

2軍では茶谷が積極的に起用されていて、打撃はOPS.700手前ぐらいの成績だが守備は安定してそうだ。ショート候補は全員20代で年齢的にまだこれから成長が見込める選手も多いが、質的な意味ではもう少し1軍に対応できる選手が増えてきて欲しいところだ。将来安田藤原が1軍に上がってきた時に同じ年代の選手がいればチームは盤石になってくるし、将来レギュラーとして活躍する期待が持てる選手を指名しておきたいところだ。

ドラフト重要度:上(上位~中位指名)

ドラフト指名対象:安田・藤原らと一緒に将来レギュラーを獲れる可能性のあるショート

 

三塁は補強のレアードが本塁打数2位の大活躍。一塁も鈴木・井上が打撃で活躍

昨年まで鈴木大地が守っていたサードはオフにレアードを獲得したことで、今季はレアードが定着した。そのレアードが獲得して即結果を残す大活躍で、現在チームトップの本塁打数でパリーグでも2位の位置にいる。守備指標のUZRも範囲はそこまで広くないものの堅実な守備で失策が少なくプラス評価だ。これだけの結果を残したレアードは来年も残留が確定になるだろう。31歳という年齢を考えるとすぐに成績が落ちる可能性も低く、来年もサードを任されるはずだ。2軍では高卒2年目の安田が固定で起用されている。守備率はそこまで高くないものの、OPS.800超えで打撃面では将来サードのレギュラーを任せられそうな期待が持てる。来年3年目なのでそろそろ1軍経験をさせる段階にきていて、上手くいけばレアード安田へ世代交代できて、より盤石な体勢になるはずだ。

一塁に関しては今年は鈴木大地が起用されている。元々ショートやセカンドを任されていて、昨年はサードに定着していたが今年はファーストと、内野全般を守らされるようになった。鈴木大地の打撃力は昨年までは実はそこまで高く無く、ファーストとしては物足りない形になるかと思われたが、蓋をあけるとその不安を一蹴した。打率.300前後、15本塁打OPS.850前後という主軸として全く不足の無い打撃で一気にファーストに定着した。4月は昨年ファーストを任されていた井上が絶不調だったこともあり、井上の穴を見事に埋めた形になった。その後井上が徐々に状態を戻してきて本塁打も量産できるようになると、それぞれファーストと指名打者で併用可能となってきてこれがロッテ打線が強化されていった。鈴木大地井上レアードでチームの本塁打数トップ3となっていて、打撃重視の一・三塁で現状彼らに代わる選手はいないため、補強の必要派無さそうだが、1つ懸念が鈴木大地のFA権取得だろう。今年これだけ結果を残したことで、他球団が鈴木獲得に名乗りを上げるかもしれない。ロッテとしては鈴木の役割は非常に大きいため、手放したくないところだ。万が一に備えて鈴木大地の後釜をドラフトで指名するのもありそうだが、その場合はどうしても二遊間守れて守備面重視のユーティリティプレイヤーで、一・三塁の選手としては外国人などになるだろう。

ドラフト重要度:低(下位指名or指名無し)

ドラフト指名対象:一・三塁はチームの攻撃の柱で補強を意識する必要は無し

 

[外野手]

センター荻野が今年は規定打席に到達も両翼に不安あり。荻野も怪我の心配が付き纏う

ロッテは今季荻野が待望の規定打席に到達した。これまで成績は良かったものの怪我などでなかなか規定打席に到達することができず、ファンも荻野自身も悔しいシーズンを過ごしてきたが、プロ入り後10年目にしてようやく達成することができた。その荻野は今季、過去を振り返ってもキャリアハイの成績を残している。打率.300前後 10本塁打 OPS.800超えの活躍で、8月まで不動の1番打者として君臨してきた。8月終了時点で荻野WARはチーム内トップで、パリーグ全体でも10位に入っている。だがこの荻野が9月に入ってまた怪我で離脱する事態となってしまった。荻野は今年33歳で、年齢的にこれから衰えも見えてくるだろう。現状怪我がちな荻野に頼らざるを得ない状態をなんとか改善していきたいところだ。9月からは荻野の代役を務めている形で、打率はそこまで高くないものの選球眼の良さと1発を打てる打撃が活きた形になっている。2軍では高卒ルーキーの藤原を育成中でまだすぐには上がってこれないだろう。そのため来年は荻野と併用して結果を残せる形になると、良い世代交代ができそうだ。

レフトは角中がレギュラーで起用されているが、正直なところ微妙な結果と言わざるを得ない。打率.250前後 7本塁打 OPS700超えというところで、打撃重視のレフトとしては物足りないと言わざるを得ないだろう。もう32歳という年齢を考えると、ここから下り坂になっていってもおかしくない。レフトは他に清田菅野が任されたこともあったが、清田は5月までは調子が良かったもののそこから下り坂で、現在角中とほぼ変わらない打撃成績になっている。菅野は打撃面でなかなか結果を残せず7月に抹消となった。清田がもう33歳ということを考えると、レフトもここから昇り目がなかなか見えづらくなってきている。2軍では菅野・山口・和田・加藤らが主にレフトで起用されていて、その中でも菅野加藤は結果を残せているが、なかなか1軍では活躍できていない状態だ。山口和田はまだ育成段階で、1軍への昇格は難しいだろう。レフトは外国人を補強できるポジションだが、レアードやマーティンなどがいるためもう1人というのは難しい。補強するか自前で育てるかしてどうにか穴を埋めたい。

 ライトは前半戦は清田が起用されていたが、シーズン途中の7月後半からマーティンが加入してライトに定着した。マーティンは打率は.230前後とやや低めだが本塁打を打てるパワーがあり、まだ2カ月経っていないのに11本も打てている。OPSも.800超えで長距離砲として文句の無い選手と言えるだろう。ライトのUZRもプラスで、特に強肩ぶりが高く評価されている。このままなら残留は間違いなく、来年のライトは開幕からマーティンを起用していくことになるだろう。とはいえ外国人のマーティンにずっと頼ってばかりもいられない状態で、早く日本人でライトを任せられる選手が出てこなくてはならない。ライトで他に起用されている清田加藤がなかなか結果を残せず、2軍でも他の若手が伸び悩んでいる状態で、レフトと同様に補強ポイントになることは確実だ。

 

ドラフト重要度:中(上位~中位指名)

ドラフト指名対象:打力不足の両翼を任せられる即戦力と素材型の両方

 

1位指名予想

佐々木 朗希(投・大船渡高)

ロッテは現状投手陣は若手が成長しつつあり、特に高卒の二木・種市・岩下らの活躍が目立っている。割と高校生投手育成に成功しつつあり、現状若手の先発陣になってきていることを考えると、今年は歴代最高クラスの素材型投手である佐々木を指名しても良さそうだ。佐々木は1年目から活躍できる投手ではないが、2年目以降から球界のエース格の活躍も見込める素材型で、ロッテとしては涌井や石川歩の後継者として獲得しておきたいところだろう。奥川や森下ら即戦力として見込める投手もアリだが、せっかく先発が整いつつあって歴代最高クラスの投手を指名するチャンスがあるのだから、競合覚悟で佐々木を指名しに行って良さそうだ。

 

指名パターン予想(3位指名まで)

パターン①

1位 佐々木 朗希(投・大船渡高)

2位 東妻 純平(捕・智弁和歌山高)

3位 高部 瑛斗(外・国士舘大

超高校級投手の佐々木のクジを見事引き当てたら、2位指名ではロッテスカウト陣が最も注目している捕手を指名すると考えた。球団本部長が「捕手を2,3人獲りたい」とコメントを残しており、夏の甲子園でも重点的に捕手を見ているのが確認されている。特に東妻は高校生No.1捕手との評価をしていて、2位で指名する可能性がとても高いと考えた。東妻を獲得すれば田村の後継者として今のうちからしっかりと育成することができて、将来的に正捕手としての活躍を大いに期待できるだろう。3位では外野の強化として、こちらもロッテスカウトが評価している高部を指名すると考えた。東都2部とはいえ4年春時点で117安打も打てている打撃センスは素晴らしいと言えるだろう。ロッテは荻野や角中が年齢的に衰えてくる頃で、後継者として高部は打ってつけと言えそうだ。

 

パターン②

1位 海野 隆司(捕・東海大

2位 及川 雅貴(投・横浜高)

3位 小深田 大翔(内・大阪ガス

佐々木のクジを外した場合、外れ1位では大学生捕手No.1評価の海野を指名すると考えた。ロッテは捕手を重点的に見ていて、大学生捕手だとこの海野を1番良いと評価している。現在田村が正捕手だが、打撃面でもう少し打てて欲しいところはあり、それは現在の他のロッテ捕手陣も同様だ。海野は大学リーグ首位打者を獲った経験があるほどで、打撃も期待できる捕手と言える。2位指名では高校生左腕の及川を指名すると考えた。ロッテは現在先発左腕が不足していて1軍になかなか定着しない。及川はまだまだ粗削りだが素材としては一級品で、上手く育て上げればエース左腕に育つことも可能だろう。ロッテスカウトも夏の時点で及川を1位候補にしており、2位で残っていれば指名する可能性は十分ありそうだ。3位指名では社会人内野手の小深田を指名すると考えた。今年ショートが定着せず守備面で不安があることを考えると、小深田のように守備の上手いショートは欲しいところだ。

 

パターン③

1位 宮川 哲(投・東芝

2位 郡司 裕也(捕・慶応大)

3位 紅林 弘太郎(内・駿河総合高)

佐々木を外したパターンで即戦力投手を指名する場合、宮川がロッテに合ってそうだ。というのも宮川は最速154kmの速球派で、石川・種市・岩下ら150km超えの直球を投げる速球派揃いのロッテ先発陣に合ってる投手と言えるだろう。先発陣をより盤石にするために、チームに合った宮川を指名する可能性もある。2位では重要な捕手で、ここでは大学生捕手の郡司を指名すると考えた。慶応大の4番を任されていてパンチ力のある打撃が期待できる捕手で、田村と併用で起用できるようになればタイプの違う捕手として使い分けができるだろう。3位では将来のショート候補となる紅林を指名。現在1軍ショートがなかなか固定できていない状態で、できれば即戦力のショートが欲しいところだが、将来を見据えて紅林を今のうちから育てておくのはアリだろう。安田・藤原らと近い世代なので育て上げれば黄金時代を築ける期待もある。

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