データで語るドラフト・育成論

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【プロ野球2019】横浜DeNAの戦力分析とドラフト指名予想

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ドラフトが間近に迫ってきました。

そこで各球団の戦力分析とドラフト指名予想をしていこうと思います。

今回は横浜DeNAベイスターズです。

現状の戦力分析

[先発投手]

エース今永とルーキー上茶谷の奮闘光り、先発指標はリーグ2位も後続が不安定

今季は今永がまさにエース級とも言える活躍で、防御率リーグ3位、勝利数リーグ2位、奪三振数リーグ2位と各種タイトルこそ逃したものの、リーグトップクラスの投手として活躍した。今永個人のWARは5.2でこれより上は巨人山口とソフトバンク千賀しかおらず、先発として最高位の貢献をしてくれたと言っていいだろう。チーム内でこの今永に次ぐのがルーキーの上茶谷で、規定投球回こそ到達しなかったものの今永と同じ登板数で134イニングを投げ、防御率は3.99・WARは2.4とルーキーとしては十分すぎる結果を残した。投打の違いはあるが、ヤクルトの村上がWAR2.1で、阪神の近本がWAR2.1、広島の床田がWAR1.2ということを考えると、WARのみで見れば新人王間違いなしになっている。(実際は注目度で村上や近本になってしまうだろうが…)

シーズン通して貢献できた先発はこの2人で、これによって先発の指標となるSP RARは巨人に次ぐリーグ2位になっている。ただこの2人に続く先発がなかなか定着しなかった。濵口・大貫・井納・平良らが10試合以上先発登板したが全員100イニングに満たず、シーズン後半になってからは不調・故障者が続出して9月は大変苦しい先発事情だった。濵口防御率3.17と良い内容もシーズン中に3度も登録抹消で、怪我絡みが多いシーズンだった。大貫は投球面で不安定なところがあり、打ちこまれる試合もあったが何とか抑える試合もあり防御率5.00ながら6勝を挙げWARも1.3になっている。ドラフト3位の新人としては十分な結果といえるだろう。井納も不安定な内容が多く、平良はシーズン中盤までは非常に安定していたが、8月終盤から急に制球面で苦しみだして成績を悪化させてしまった。彼らの中からもう少し安定する投手が出てくれば先発が3本揃って戦いやすくなっただろう。他にも京山・東などもあまり結果を残せず2軍暮らしが長いシーズンとなってしまった。そんな先発事情の中でリリーフ転向した石田を先発させる事態もあり、短期間だったがこれが良い結果をもたらしていた。先発陣の危機を救う活躍だったと言えるだろう。

2軍では高卒2年目の阪口中川虎がローテに入っていて、1軍での登板の機会もあったが、まだ結果を残すには至っていない。現状の先発指標が良いのは今永上茶谷のおかげであることを考えると、この2人が来年不調になれば一気に先発事情が火の車になってくるので、他の先発陣の奮起は必須になってくる。ドラフトでも安定感のある投手が欲しいところで、即戦力投手はまだ必要な状態だ。

ドラフト重要度:中(上位指名)

ドラフト指名対象:今永・上茶谷に次ぐ3番手以降のローテに入ってこれる即戦力

 

[救援投手]

エスコバー・三嶋・国吉・石田らが大健闘。抑えの山﨑もセーブ王で先発を救った

今季の横浜DeNAはリリーフ陣の奮闘が光るシーズンだった。先発で100イニング以上投げたのは今永と上茶谷の2人だけで、他の先発はあまり長いイニングを投げ切れなかったため、必然的にリリーフの登板数が増えた。リリーフ投球回は12球団で2番目の多さで、1番目がショートスターターの日本ハムと考えるとその多さが分かる。負担は大きいシーズンだったがその分好成績を残しており、RP RAR阪神に次ぐリーグ2位になっている。個人で見るとエスコバーWAR2.7で阪神のジョンソンと並ぶリーグトップ。国吉が1.7、山﨑康が1.5、三嶋が1.3で、彼ら全員がセリーグのリリーフTOP20以内に入っている。更に先発とリリーフで活躍した石田がWAR2.1の活躍でとても貢献した。彼らリリーフ主力陣の活躍で先発陣を救ったとも言えるだろう。他にも藤岡・武藤らが30登板台で好投して陰ながら支えていた。代わりに今季残念だったのがパットン砂田らだった。パットン防御率5点台で、思うような投球ができない怒りからベンチの冷蔵庫を殴るという、何とも自分勝手な理由で怪我してしまった。砂田は開幕から一向に調子が上がらず僅か16試合の登板に終わり、現1軍リリーフ陣との力の差がはっきり出てしまった。

今季のリリーフは非常に頑張ったと言えるが、頑張るほど酷使となって疲労が溜まっていくのでなかなか長続きしないポジションになっている。そのため結果を残せる投手がこれからもっと出てきて欲しいところで、ドラフトでも積極的に指名する必要があるだろう。

ドラフト重要度:中(中位~下位指名)

ドラフト指名対象:現主力リリーフ陣が調子を落とした際に代わりに入れる即戦力

 

[捕手]

攻守の要の伊藤光が離脱した影響は大きかったが嶺井・戸柱で何とか運用

今季は開幕から伊藤光が正捕手として定着し、攻守で安定した結果を残していた。打撃面では打率.254 8本塁打 OPS.731で捕手としては十分な結果を残しており、守備面ではUZRは0.0だがまずまず安定した内容でチームを支えた。WARがチーム内で筒香に次ぐ1.4で4番目の高さとなっており、現状伊藤光の存在はとても大きいといえるだろう。ただ今季は伊藤光が試合中のファールチップで左手薬指の剥離骨折となり、1ヶ月以上離脱する事態となった。その間は嶺井戸柱が2人で正捕手の代役を務める形になり、2人とも代役としてはよく頑張ったと言えるが、どちらもOPS.600を切っていてWARも0.0前後でやはり攻守で離脱の影響は大きかったといえるだろう。

今季はこの3人で1軍を運用して乗り切った形で、ひとまず正捕手と控え捕手は揃っている状態だ。ただ伊藤光や山本の怪我で捕手人数が足りなくなり、急遽2軍のつる岡コーチを育成登録する事態もあった。捕手人数は6人と最低限のため、故障者が2人や3人になってしまうとこういう事態になってしまう。来年もこうなる恐れを考えると、ドラフトでも捕手指名の可能性は十分あり得る。山本が1軍で少ない打席ながら打撃で結果を残しており、2軍では益子が徐々に出場試合数を増やしていることを考えると、また若手捕手を指名するのも良いだろう。将来的なコンバートも考えた打撃型捕手も良さそうだ。伊藤光についてFA権を行使するかは分からないが、筆者の考えとしてはトレードの経緯や現在の起用状況、FA移籍先で正捕手として起用されるかの有無を考えると、残留する可能性がとても高いと考えている。

ドラフト重要度:(中位~下位指名)

ドラフト指名対象:チームに少ない打撃型で将来的なコンバートも視野に入れた捕手

 

[内野手]

大和は守備で貢献も打撃成績が厳しい結果に。セカンドは併用状態で固定せず

 ショートは大和がメインで守り、シーズン通して故障なしで出場試合数はキャリアハイのシーズンになった。ただそこまで出場数を伸ばした反面、成績はやや落ちていて特に打撃成績が厳しい内容と言わざるを得ないだろう。打率.237 0本 出塁率.298 OPS.583でこの成績だと下位打線としても厳しい。守備面での貢献はできていてUZRが4.5とまずまずの数値で安定感があるが、攻守両面で見たWARは0.1で、守備の貢献分を打撃で完全に打ち消されている。年齢的に大和はこれから守備力が落ちてくる可能性があり、そうなるとレギュラーとしても起用しづらくなってくるだろう。柴田大和欠場時に代わりにショートを守っていたが、その柴田はUZRが2.6と大和より若干下がるがプラスの範囲内で、WARは1.4とチーム内では上位の数値になっている。来年頃から大和→柴田へショートが移行する可能性もありそうだ。2軍では倉本・知野・大河らがショートで多く起用されているが、知野大河は打率.200以下になっていて守備もまだ安定しているとは言えない状態だ。倉本はもともと1軍ショートを守っていたが、今季は打撃不振で守備も精彩を欠き2軍にいる期間の方が長くなってしまった。このような状態でショートは2軍からの台頭もすぐには考え辛く、次期ショート候補は更に欲しいところだ。ドラフトでもショートを守れて結果を残せそうな選手は積極的に指名していくべきだろう。

セカンドはソトが最も多く起用されていて、次いで柴田・中井・石川・伊藤裕らがスタメンや守備固めなどで起用される流動的なポジションだった。打撃面ではソトが1人突出していて打率.270 43本塁打 108打点 OPS.905で本塁打王打点王のタイトルを獲得した。守備面ではUZRが-2.8でやや弱いが、WARは2.4で守備面の弱さを補って余りある打撃と言えるだろう。このソトをセカンドに固定起用しても問題なさそうだが、ライトも固定しきれない現状からセカンドとライトで起用されている。ソトがライトでスタメンの場合に柴田・中井・石川・伊藤裕らがスタメンで起用されていたが、攻守両面で成績を比較してみると以下の通りだ。

柴田  打率.259 3本塁打 出塁率.337 OPS.714 UZR2.3

中井  打率.250 3本塁打 出塁率.324 OPS.655 UZR0.0

石川  打率.208 2本塁打 出塁率.252 OPS.569 UZR1.9

伊藤裕 打率.294 4本塁打 出塁率.327 OPS.935 UZR-2.0

柴田が安定して攻守両面で好成績を残すことができた。中井柴田より若干劣るが対左打者で柴田が打率.146だったのに対して中井は打率.269で、データを重視するラミレス監督は左投手相手に中井を積極的に起用していた。石川は打撃では結果が残せなかったが、少ない出場数ながら守備で併殺処理の上手さなどで結果を残した。伊藤裕も少ない出場機会ながらソトと同じくらいの打撃成績を残しているが、守備がやや不安定だった。このようにそれぞれ一長一短あるため、場面に応じてそれぞれが起用されていたと言えるだろう。できることならレギュラーを固定したいが、そのためには個々で課題になっている部分を改善していく必要があり、ここは競い合って欲しい。将来的に柴田伊藤裕がセカンドでレギュラーが獲れると良いが、柴田はショートに移る可能性があり、伊藤裕もサードに移る可能性がある。先行きが見えづらいポジションでもあるので、今後もセカンドを守れる選手はドラフトで指名していく必要があるだろう。

ドラフト重要度:(上位~中位指名)

ドラフト指名対象:将来的にレギュラークラスの実力が見込める攻守両面優れた選手

 

宮崎が不調に加えて故障離脱、ロペスは年々成績が下がってきて後継者準備が必要

今季の野手の誤算は宮崎の不調と故障離脱だった。昨年まで打率3割越えでOPS.850以上の成績を残していた宮崎が、今季は4月までの成績が打率.165 OPS.487で完全に不調だった。その後5月以降は打撃成績を上げて調子を取り戻してきたものの、今度は8月に左手の有鉤骨を骨折し離脱となった。その後素晴らしい回復の早さで1ヶ月程度で1軍復帰してきたものの、トータルで打率.282 15本塁打 OPS.776の成績で本塁打数は盛り返したが打率やOPSは例年に比べてやや悪くなった。守備面でも今季は守備範囲がかなり狭くなり、UZRは-1.5と守備の良さが消えている。WARは0.9でスタメンで起用できる数値ではあるものの、一時は首位打者のタイトルを獲得したことも考えると物足りな過ぎると言える内容だ。宮崎は30歳で年齢的にはまだ衰えが出てくる頃では無さそうだが、こうして攻守で不調になると今後も心配になってくるだろう。宮崎が離脱している間はなんと筒香が5年ぶりにサードを守った。この筒香の起用に様々な意見が出たが、結果として悪くない内容だっただろう。サード筒香の打撃成績は打率.252 9本塁打 OPS.894でレフト時と殆ど変わらず、守備ではUZR-2.8と流石にマイナス値にはなったものの大きな破綻は無く、割と無難にこなせていた。とはいえ本職ではないポジションであくまで応急処置的な起用だったので、宮崎復帰後はすぐにレフトに戻った。今後筒香をまたサードで起用する場面があるかもしれないが、その時もおそらく緊急時の代役という形だと思われるので、本気でサード転向とはならないだろう。今季から見えてきたサードの課題は宮崎の代役・後継者となる選手が必要ということで、なるべく早いうちに準備したいところだ。他のサードを守れる選手だと柴田・倉本・中井・伊藤裕がいるが、柴田中井は守備面なら宮崎以上を期待できるものの打撃面では大きく劣る。倉本は攻守でやや厳しく年齢的にも後継者というのは難しい。伊藤裕が今季1軍で少ない打席ながらOPS.900超えの打撃成績を残していて、サードを守れれば良いが2軍でも失策が多くあまり守備が良くない。サードは打撃型のポジションなので伊藤裕のような打てる選手が入ってほしいが、仮に伊藤裕がセカンド適性があるならそちらに定着する可能性もあるため、サードの補強も考えなければならないだろう。筒香を育てたように、サードの高校生スラッガーを今のうちから育てるのもアリだ。

一塁は今年もロペスがほぼ不動で定着していた。守備面では連続守備機会無失策のプロ野球記録を更新する偉業を達成し、外国人選手でここまで安定した守備を継続できたのは素晴らしい結果と言えるだろう。ただ6月に記録が途絶えてからは失策が増え、守備範囲も年々狭くなってきており衰えが見えてきている。UZRは0.9とプラスにはなっているが、もう守備を売りにできるほどではない。打撃面でも今年は衰えが見えてきて、打率.243 31本塁打 OPS.761と本塁打数の割りにOPSが伸び悩んだ。ロペスは四球をあまり選ばないので出塁率が伸び辛く、これまでは打率が.280以上をコンスタントに残していたが、今年はその打率が.250を切ってしまったため出塁率も.300を切ることになった。また走塁でも足の遅さが見えて打線が各駅停車になってしまっていた部分もあり、走攻守のいずれも衰えが出てきている。このためWARは0.2で、正直なところレギュラーとして来年も固定起用し続けるのは難しくなりそうだ。ただロペス本塁打を打つパワーはまだまだ健在で、打順を6・7番にしたり試合中盤以降に守備固めを出すなどしてロペスの負担を減らしつつ起用していくことは可能だ。チーム内最年長の35歳で今後も年齢との戦いになってくると思われるが、細く長く起用していけばまだまだチームにとって必要な選手であり続けられるだろう。ロペス以外だと佐野が3試合ほどスタメンで起用されたが、佐野もレフトやライトでの起用が多い選手なのでまだ後継者としては考えられて無さそうだ。打撃面では3割近い打率で、本塁打数はロペスにはまだまだ及ばないもののOPSロペスとほぼ同じの.760になっている。今後本塁打を増やしてOPS.800台の成績を残せるようになれば、ロペスの後継者としてファーストを任せる機会も増えてくるだろう。ドラフトでは一塁専の選手を獲るほどではなく、いざとなれば外国人での補強が効くので考える必要は無いだろう。

ドラフト重要度:中(上位~下位指名)

ドラフト指名対象:宮崎の後釜となれるスラッガータイプの三塁手

 

[外野手]

センターは神里が台頭。レフト筒香の後釜やライトのレギュラー準備が課題

DeNAのセンターはこれまで桑原がメインで守っていたが、今季の桑原は開幕から全く調子が上がらず、怪我でも無いのにシーズントータルで打率1割台という目を覆いたくなるような結果に終わってしまった。いくら守備が上手くてもこれほど打撃が不調だとレギュラーとして使うことはできなかっただろう。そんな絶不調の桑原の代わりに台頭してきたのが神里で、開幕からセンターを任されて今シーズンは規定打席に載った。打率.279 6本塁打 出塁率.323 OPS.731とセンターとしては打撃はまずまずで、盗塁は成功率が高く無かったものの走塁での貢献はチーム1になっており、守備面でも12球団のセンターの中でトップのUZR11.4という最高の指標になった。この結果WARも2.7でチーム内の打者のトップになり、走攻守併せればチームで1番貢献した選手と言えるだろう。今後の課題としては好不調での波を安定させることで、もっと成績を伸ばしていけるはずだ。まだ25歳で今後も伸びる余地が十分にあるため、ベイスターズとしても次世代のセンターとして期待するところが大きい。神里が怪我で2軍落ちしていた際は乙坂がよく起用されていて、神里に比べると攻守両面で劣るものの長打の割合が多く、勝負どころで結果を残していたので首脳陣からも良い印象が得られていただろう。レギュラーとしては難しいが、控えで頼りになる部分を見せることができた。センターは神里・桑原・乙坂と3人が守れて皆25、6歳と若い為、現状困っているポジションでは無い。外野の指名があるとすればレフトやライトのレギュラー候補として指名するぐらいだろう。

レフトは今季も筒香がチームの主砲として定着していた。だが苦難な道のりだったと言えるだろう。シーズン当初から4番打者を務めていたが、打撃面では選球眼が良かったもののチャンスで決めきれない印象が強く、7月には2番で起用される時期があった。2番打者になってからは打率が上がり本塁打数も増えてくるなど調子を持ち直してきたので、この打順変更には一定の効果はあったと言える。そのような経緯があって最終的な打撃成績は打率.272 29本塁打 OPS.899という結果で、チーム内ではソトに次ぐOPSで主砲としての結果は残せたと言える。守備面では成績がかなり悪く12球団のレフトでワーストのUZR(-12.8)だった。特に守備範囲の狭さが致命的なぐらい他球団レフトと差があり、今シーズンは足の調子が悪かったのかと疑ってしまうほどだ。この守備が打撃の貢献分を相殺する形になってしまい、WARは1.7になっている。これでもチーム内では3番目に高いが、守備をもう少し頑張ればもっと高い数値になっていただろう。メジャー挑戦を考えるのなら尚更守備も磨いていくべきだ。今季筒香はシーズン終盤に試合中の死球の影響で登録抹消になったが、それ以外でも状態が良くない時は何試合か欠場することがあった。その際に代わりにレフトのスタメンに入っていたのは主に佐野細川で、筒香の後釜候補として期待できる2人だ。佐野は今季代打での出場が多かったがスタメン時は4番を任されることもあり、その起用に応える成績を残したと言えるだろう。打率.295 5本塁打 OPS.764で本塁打のペースは筒香に及ばないものの3割近い打率で、コンスタントに結果を残せていたと言える。細川は100打席に満たず打率.222 1本 OPS.605という結果だった。レフトとしてはまだ打撃が弱い結果だったが、今季は選球眼の改善が見られ高卒3年目ということを考えると順調に成長してることが伺えた。守備では佐野UZR2.4で細川UZR0.0という結果で佐野は守備でも貢献できていた。佐野のWARは0.7でまだレギュラークラスにはなれていないが、控えとしては良い結果になりつつあり筒香の後釜のレフトとして期待できる選手になってきている。筒香の後釜の準備は必要で、現状だと候補はこの佐野細川になりそうだが、まだ筒香を脅かすほどになっていない。そのためドラフトでも主軸候補がいれば指名する可能性はあるだろう。逆に外野手は人数が多いため生半可な選手は指名したくないはずで、指名するとしたら上位で1人になりそうだ。

ライトはソトがメインで起用されていたが、他にも佐野・乙坂・楠本・桑原や終盤には梶谷も起用されていた。ソトの打撃力はセカンドの記述で記載したが、ライトの守備力はセカンドよりも悪くUZRは-15.8と12球団のライトでダントツの悪さだった。まだセカンドの方がUZRのマイナスが少ないため、セカンド向きとも言えるだろう。ソト以外の外野手もライトで大勢起用されていたが、その中で打撃が良いのは佐野梶谷だ。佐野はレフトの箇所で記載した通り打率3割前後でOPS.764の成績で、梶谷は打率.215 5本塁打 OPS.760の成績だった。佐野がアベレージ型でOPSを上げてるのに対して梶谷はホームランで上げた。守備面だと佐野・桑原・乙坂らがUZRがプラスで、特に佐野が2.4と1人だけ1.0以上になっている。こうして見ると佐野がレフトと同様にライトでも攻守両面でチーム内では上位でレギュラー奪取にも期待が持てる内容だ。他には楠本関根が外野全般で起用されていたが、攻守両面でなかなか結果を残せなかった。若い世代の彼らは今後もっと活躍して、外野の層を厚くしてもらいたいものだ。現状ライトのレギュラー候補だとソト佐野になってきそうだが、ソトはセカンドと兼任だし佐野はレフトと兼任状態になっている。そうなるとライトで固定できる選手がまだいない状態で、ドラフトでここに絞って指名してくる可能性はあるだろう。

ドラフト重要度:中(上位~下位指名)

ドラフト指名対象:佐野やソトと比べても見劣りしない攻守両面で優れた右翼手

 

1位指名予想

石川 昂弥(内・東邦高)

ここ数年横浜DeNAは1位指名が大学生投手になっているが、昨年から入札1位で高校生内野手の小園を指名しており、次世代へ向けた指名を意識した傾向になりつつある。そうした状況で今年の1位指名は誰かと考え考え考え考え抜いた際、出した結論が今年の高校生No.1スラッガーの石川昂弥だ。5年後のチームの状態を考えた際、現在の主力ホームラン打者の殆どが30代後半になっており、筒香もメジャーに挑戦する可能性が高い。それを考えると今のうちから次世代の主砲候補を確保しておく必要があるだろう。現時点で佐野・伊藤裕・細川ら次世代主砲候補はいるが、まだ彼らは実績が乏しく現時点で彼らに託すには不安が大きい。佐野・細川が外野を守り、伊藤裕がセカンドを守る形になれば、サードに石川昂を入れる形もできるし、石川昂が筒香と同じように外野転向となった際でも、佐野をファースト起用してレフトに石川昂を入れることも可能だ。

今年のBIG4や大学生・社会人投手などに行かなかった理由としては、現状のDeNAの投手陣が質・量的にも揃いつつあると考えた。2015年から今永・濵口・東・上茶谷と4年連続で大学生投手を1位指名しており、全員が揃って1軍で活躍したことはまだ無いものの彼らは1度はローテに入って結果を残しており、今後も結果を残す力は十分に備えているだろう。他にも平良・石田・井納らローテの脇を固める投手がいて、飯塚・京山・阪口・櫻井・中川虎など今後が期待できる投手も多い。彼らは5年後でもまだ主力で居られる年齢で野手に比べると衰えの心配が少ない投手ばかりだ。だから大丈夫と簡単に判断するわけではないが、このまま投手を1位で継続していくと野手への補強が手薄になるリスクが高く、そろそろ1位野手指名が必要なタイミングだと考えた。

ハマスタの利点はその狭さにありホームランを打てる打者が活躍しやすい。外国人選手のホームランバッターは多いが日本人選手だとなかなかおらず、特に1位指名レベルでないと難しいのが現状だ。それは巨人坂本・岡本、ヤクルト山田・村上らを見れば分かることで、彼らが1位指名選手が今年の本塁打ランキングの上位にいる。DeNA筒香以来1位指名のホームランバッターを指名してきていないが、その筒香が近いうちにメジャーへ挑戦と考えると、同じようなホームランバッターはやはり1位指名でないと獲得できないだろう。

これらを全て考えた上で、石川昂を1位指名すると判断した。尚、現時点でDeNAのスカウト視察情報などで石川昂についてのコメントは特に見当たらず、おそらく直前のスポーツ紙の1位指名予想でもDeNA石川昂というのは無いだろう。だがそういった紙面の予想をことごとく裏切ってきたのがDeNAのドラフト戦略であり、今回もそういった形になると期待している。

指名パターン予想(3位指名まで)

パターン①

1位 石川 昂弥 (内・東邦高)

2位 武岡 龍世(内・八戸学院光星高)

3位 岡野 祐一郎(投・東芝

石川昂を1本釣りできた場合の2位指名では、同じ高校生内野手でショートを守れる武岡を指名すると考えた。武岡に関しては8/12の八戸学院光星智弁学園の試合で、DeNAスカウトが総出で甲子園で視察していたのを目撃しており、更にそのスカウトの目の前で内角を捌いてホームランを打っていた。ホームランを打ったことで評価が上がった可能性は高く、更にその時の欠端スカウトの表情が忘れられないぐらいの笑顔だったことを鮮明に覚えている。またこの試合で武岡は守備でショートのゴロを捌けずエラーとなったが、その時の欠端スカウトが「アチャー」と声を出しかねないような残念な表情だったのも非常に印象的だった。この実際見てきた生のスカウトの表情を考えると、上位で指名を考えているのは確実で2位でないと難しいだろう。武岡は身体能力の高さが評価されていて、昨年のドラフト1位の小園にも似ているとの声もある。DeNAとしては昨年小園を1位指名したがクジを外してしまった経緯があり、同じようなタイプの武岡は指名したいはずだ。3位指名では上位で野手を指名したことを考えて即戦力タイプの投手を指名すると考えた。岡野は非常に安定感のある投手で140km後半の直球と多彩な変化球、それらをまとめる制球力や崩れないスタミナなど、安定した試合運びができる能力が非常に高い。DeNAとしては毎年ドラフトで投手を指名しているものの安定感が欠ける投手が多いため、岡野みたいな投手は欲しいタイプだろう。

 

パターン②

1位 杉山 晃基(投・創価大)

2位 武岡 龍世(内・八戸学院光星高)

3位 柳町 達(外・慶応大)

石川昂が仮に競合してクジを外した場合、外れ1位では最速154kmの速球派右腕の杉山を指名すると考えた。杉山は直球の球威が素晴らしく大学レベルではこの球威でグイグイ押して抑えることができる投手だ。これに加えてスライダー・フォークなど変化球を駆使して奪三振率も高く、先発としても抑えとしても期待できる投手と言えるだろう。DeNAは山﨑康が昨年オフに球団にメジャー挑戦の希望を伝えており、数年後には移籍する可能性もある。そうなった際のことを考えて杉山を指名しておく可能性は十分あるだろう。2位指名ではパターン①と同様に武岡を指名すると考えた。やはり高校生ショートは指名しておきたいところで、仮に武岡が先に指名されていた場合でも韮澤・紅林など他の高校生ショートを指名する可能性は高い。次世代ショートは重要視していると考えて2位指名とした。3位指名では東京六大学で100安打を打った柳町を指名すると考えた。柳町の打撃技術の高さは100安打達成したことから高いレベルにあるのは間違いなく、本塁打を打てるパンチ力もある。守備では大学4年春にサードを守っており、外野以外でもサードを守れる可能性を示したのは評価対象になるだろう。DeNAとしてもサード・外野ができる打撃の良い選手は選手は欲しい為、補強ポイントに合った選手と言えそうだ。

 

パターン③

1位 森 敬斗(内・桐蔭学園

2位 伊勢 大夢(投・明治大)

3位 宇草 孔基(外・法政大)

1位で石川昂も杉山も外した場合、最終的に指名する可能性がある選手を考えると、U-18で活躍した森を指名する可能性が高くなってくるだろう。高校生ショートの中ではスケールも身体能力も非常に高いレベルでDeNAの稲嶺スカウトが高校生No.1ショートと評価している。U-18では1番センターで起用され、打率.320で本塁打は無いものの三塁打を2つ打つなど結果を残した。センターを守ったのは外野を守れる選手の少なさからだが、森の身体能力と肩の強さを考えるとセンターでも十分守れるとの判断があったからだろう。ショートでもこの身体能力は十分活かせるため、むしろセンターを守ったことで評価は更に高まったと考える。2位指名では明治大の2番手投手の伊勢を指名すると考えた。明治大は森下の方にどうしても注目が集まるが、伊勢は最速151kmでサイド気味の投球フォームで球威が高く評価されている。奪三振能力も高くプロでも早い時期から戦力になるだろう。DeNAとしては先発・リリーフどちらもできるタイプが欲しいところで、伊勢はそのどちらも可能な投手と考えると補強ポイントに当てはまる。3位指名ではセカンド・外野を守れて打撃ではスケールの大きい宇草を指名すると考えた。1番打者で高い打率とパワーのある打撃ができ、盗塁できる足もあって積極的な攻撃ができる打者だ。高校時代ではセカンドを守っていて大学では3年秋から外野のレギュラーとなっており、外野手としての伸びしろも評価できるだろう。DeNAとしても宇草がライトで定着できればソトや佐野の起用に困らずに済むため、欲しい選手と言える。

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