各球団の育成指名選手について、どのぐらい支配下登録されているか、育成にかける期間はどれぐらいか、1軍戦力となっている選手はどのぐらいか、などを調べてみました。
末尾に各球団の歴代育成選手の一覧と、育成期間をまとめています。
では各項目について、ランキング形式でまとめた結果を載せていきます。
※高卒の場合育成に時間がかかることも踏まえて、直近3年以内(2015年指名以降)の選手については、各項目の対象から外しています。
育成選手を1度も指名していない日本ハムは対象外となっています。
支配下登録率
育成選手人数から支配下登録された人数を割って算出しています。
1位 西武 100.0%(3/3)
2位 横浜 54.5%(6/11)
3位 ソフトバンク 45.9%(16/37)
4位 楽天 41.7%(5/12)
4位 ヤクルト 41.7%(5/12)
6位 ロッテ 38.9%(7/18)
7位 中日 36.4%(4/11)
8位 広島 33.3%(4/12)
8位 オリックス 33.3%(2/6)
10位 巨人 31.0%(13/42)
11位 阪神 30.0%(3/10)
各球団育成指名人数に差があるため、支配下登録の数=支配下登録率の高さ、というわけではないですね。
1位西武は何と支配下登録率100%。2015年までに3人しか指名しておらず、その3人が全員支配下登録となっています。
西武の場合、支配下登録となるのを折り込み済みで育成選手を指名している感じですね。
2位横浜は半数以上が支配下登録されており、こちらも支配下登録へのハードルはそこまで高くない球団です。
3位がソフトバンクで、こちらは巨人に次ぐ大量の育成指名選手を保有しており、支配下登録された選手も16人という大人数です。
支配下登録率こそ3位ですが、支配下登録人数で見たら圧倒的に1位ですし、最も成果を出している球団と言えるかもしれません。
4位~8位までの楽天・ヤクルト・ロッテ・中日・広島・オリックスは3人に1人以上が支配下登録されています。
一般的な球団の育成選手の支配下登録率は大体この辺りに集約しそうですね。
10位が巨人。育成指名選手が12球団最多ですが、支配下登録率が低く効率が良いとは言えないですね。
11位が阪神。育成指名選手の人数が西武の次に少なく、支配下登録率も低いので、まだ育成選手制度をそんなに活用してないですね。
自球団で4年以上育成率
育成指名選手で4年以上自球団で育成した選手の割合を算出しています。
1位 西武 100.0% (3/3)
2位 阪神 70.0% (7/10)
3位 ソフトバンク 67.6% (25/37)
4位 広島 58.3% (7/12)
5位 ロッテ 55.5% (10/18)
6位 中日 54.5% (6/11)
7位 巨人 42.9% (18/42)
8位 楽天 41.7% (5/12)
9位 横浜 36.4% (4/11)
10位 ヤクルト 33.3% (4/12)
11位 オリックス 16.7% (1/6)
1位西武は支配下登録率ランキングに続きこちらもトップ。
3人中3人を支配下登録にして4年以上育てており、普通の支配下登録選手と殆ど変らない待遇と言えますね。
2位が阪神。支配下登録率は11球団最低でしたが、こちらは高いですね。
育成指名選手に対して時間をかけて育てていて、こちらも西武と似て少数の育成選手を支配下登録選手と変わらず育てようとしてますね。
3位がソフトバンク。育成選手を大量指名していますが、1人1人に対しても時間をかけて育てていて尚且つ支配下登録率も高く、育成制度をしっかり活用してると言えますね。
4位~6位が広島・ロッテ・中日で50%以上の育成選手を4年以上育てています。
この辺りの球団までが、育成選手に対してそれなりに時間をかけて育てようとしてますね。
7~10位が巨人・楽天・横浜・ヤクルトで、半分以上の育成選手が3年で退団しています。他球団と比べるとやや見切りが早いですね。
11位がオリックス。他球団と比べて圧倒的に少なく、殆どが2年で戦力外になってるので、見切るのが早すぎるようにも見えます。
1軍主力率
1軍で規定投球回の半分 or 30試合登板 or 規定打席の半分 のどれかを満たしたことのある選手の割合。
1位 横浜 18.2%(2/11)
内訳:国吉・砂田
2位 楽天 16.7%(2/12)
内訳:中村真・内村
3位 ソフトバンク 16.2%(6/37)
内訳:山田・二保・千賀・甲斐・飯田・石川柊
4位 ロッテ 11.1%(2/18)
内訳:西野・岡田
5位 ヤクルト 8.3%(1/12)
内訳:徳山
6位 巨人 7.1%(3/42)
内訳:山口鉄・松本哲・星野
7位 西武 0.0%(0/3)
7位 オリックス 0.0%(0/6)
7位 阪神 0.0%(0/10)
7位 中日 0.0%(0/11)
7位 広島 0.0%(0/12)
1軍で主力になった選手の割合だと最高でも20%を切っており、とても狭き門であることが分かります。
1位は横浜で18.2%。国吉と砂田の2人を1軍主力まで育てました。
国吉は2012年に先発で100イニング以上登板。2014年にはリリーフで49試合登板。
砂田は2017年に60試合以上リリーフで登板。現在左のリリーフエースとなっています。
2位は楽天で、こちらは中村真人と内村を1軍主力まで育てました。
中村真人は2009年に楽天の右翼手のレギュラーを獲り、100試合以上出場しました。
内村は2011年には正二塁手を勝ち取り、翌年にDeNAへトレードされながらも両球団通算で400打席以上出場しました。
3位はソフトバンクで6人もの選手を1軍主力に育てています。
山田は2014年に148イニング登板。シーズンローテを守り、規定投球回に到達しました。
二保は2015年に44試合登板。現在トミージョン手術明けのリハビリ中です。
千賀は2013年にリリーフで51試合登板。2016・2017年は共に2桁勝利規定投球回到達で、ソフトバンクのエース格となっています。
甲斐は2017年に100試合以上出場。ソフトバンクの正捕手の座を勝ち取りました。
飯田は2015・2016年でそれぞれ30試合以上登板。今年は阪神へトレード移籍しました。
石川柊は2017年に先発で98イニング登板。今年は既に100イニング超えていてソフトバンク投手陣トップの投球回です。
4位はロッテで、西野と岡田を1軍主力に育てています。
西野は2013年に先発で139イニング登板。2014~2016年までは守護神を任されています。
岡田は2011年~2016年までの6年間ずっと100試合以上出場。ロッテのセンターを守り続け、ゴールデングラブ賞も受賞しています。
5位はヤクルトで、徳山を1軍主力に育てています。
徳山は2015年にリリーフで39試合登板。その後国指定の難病黄色靱帯骨化症を発症し、治療に努めたものの2017年に引退しています。
6位は巨人で、山口鉄・松本哲・星野の3人を1軍主力に育てています。
山口鉄は2007年にリリーフで32試合登板。その後2008年~2016年までの9年間、全て60試合以上登板し、まさに鉄人ともいえる偉業を成し遂げました。最優秀中継ぎ賞を3回受賞。育成選手のリリーフでは文句無しの最高成績を収めています。
松本哲は2009年に424打席出場、2010年にも350打席出場し、センターのレギュラーを獲り新人王も獲得しています。
星野は2010年に30試合以上リリーフで登板。その後は結果を残せず2014年に引退しています。
7位以降の球団はまだ指定した基準に則った1軍主力選手を輩出しておらず、これから主力となる選手が出てくることが望まれます。
あとがき
育成選手制度を活用してる球団として代表的なのはソフトバンクですが、こうして3つの基準で見てもどれも上位に入っており、本当に育成選手制度を有効活用しています。
育成選手はドラフトで支配下登録選手の指名が終わってから指名されるため、指名時の評価では支配下登録選手よりも劣っていると言わざるを得ませんが、プロ入り後に開花し、1軍の主力級やその球団の顔にまで育ってる選手がいますし、十分なチャンスを持ってると言えるでしょう。
育成選手制度はプロ入りへの門戸拡大にも貢献できていると思いますし、今後も1軍で活躍するよう育つ選手が増えてほしいと思います。