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【横浜DeNA】細川 成也の評価と今後について

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横浜DeNA 背番号52

高卒4年目の外野手、細川 成也

ドラフトでは5位と下位指名だった細川ですが、高校時代は身体能力の高い好素材として評価されていました。体格の大きさ、プロ顔負けの鋭い打球が打てるスイングスピードの速さ、中学生時代に槍投げの中学生記録を更新し、高校では投手としても最速146kmを記録した強肩など、こういった粗削りですが恵体の好素材として、ルーキー時から注目を集めていた選手でした。

高卒1年目は主に2軍でしたが、球団の方針で積極的に試合に起用されていました。三振数が非常に多く、2、3打席に1回は必ず三振をするというほどの扇風機ぶりでしたが、捉えたときの打球速度は凄まじく、1年目で10本塁打を打ちました。シーズン終盤には1軍昇格して打席に立ちましたが、ここでも6打席中2本塁打を打ち、1軍首脳陣を驚愕させる結果を残しました。三振か本塁打かというような打者で、この時点では良くも悪くも印象に残る選手になっていたでしょう。

高卒2年目も2軍が中心でしたが前年より三振数を若干減らし打率も上げてきて、まだ粗削りさは残ってるものの1年目より精度を上げてきました。この年も1軍昇格の機会があり22打席で4安打の成績でしたが、その内1つは二塁打、1つは本塁打と長打力を発揮しています。1軍でも11三振とまだ三振数が多かったですが、本塁打を打ててますし評価自体は悪くなかったでしょう。

高卒3年目は1軍で83打席を経験し、順調に出場機会を増やしています。ただ相変わらずの三振の多さと、本塁打が1本に留まり打撃成績がそこまで伸びなかったことで、良い結果を残すには至りませんでした。2軍では308打席で打率.293 15本塁打 OPS.904という成績を残しました。ここまでの成績なら2軍ではもう敵無しになってきたと言えるでしょう。2軍での三振率もまだ他の打者と比べたら多いですが、そんなに気にならない程度に減ってきています。

そして今年4年目を迎えました。現時点でのこの細川に対する首脳陣の評価や、今後の細川の展望についてデータを交えながら、ここから書いていきます。

 

細川の通算成績

まず始めに細川の打撃成績を見てみましょう。

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高卒1年目から1軍を経験していて、1年目には僅か6打席ながら2本塁打を打ち首脳陣へ強烈なアピールができました。

2年目も1軍の試合に出場し、22打席と少ないながらこの年も本塁打を1本打ち、スラッガーとしての評価を高めています。反面、三振数が打席数の半分という多さで、三振の多さも首脳陣に指摘されていました。

3年目は更に1軍での出場機会を増やしましたが、この年は打撃成績はやや悪い結果でした。本塁打も1本に留まって、三振は前年より割合は少ないとはいえ、3~4打席に1度は三振していて、課題が浮き彫りになっています。

このように順調に出場機会を増やしていますが、課題の三振数がまだ目立つことや、打率自体が低いことで確実性がまだ弱いですね。

打撃が注目されている打者ですが、この成績だとまだ1軍に置いておけるほどの内容にはなっていないでしょう。

次は2軍成績です。

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1年目から沢山試合に出場していて、3年目までで累計1000打席を超えました。球団が細川を積極的に試合に出して育てているのが伺えますね。そしてその起用に応えるように1年目から成績を上げてきています。

打率・三振数・本塁打数・出塁率長打率OPSなど記載の全ての指標が良化してますし、特に3年目は2軍でもトップレベルの成績で、もう2軍投手相手には問題ないぐらいになってますね。

なのでここから先は2軍での結果よりも1軍での結果にこだわる段階で、細川にとって1番重要な局面と言えそうです。

 

1軍の守備面の成績と指標を見てみましょう。

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まだ1軍での経験が少ないので、こちらは参考程度で考えた方が良いかもしれませんが、ひとまず細川は1軍で外野の全ポジションを守った経験はありますね。

その上で守備指標となるUZRを見ると、現状突出して良い部分はまだ見えていません。逆にセンターの守備が守備回の割にUZRのマイナスが大きく、やや不安があります。

起用頻度だとレフトとライトが多く、これらも含めて今後も細川はレフトかライトで起用されるようになりそうですね。

 

守備のデータをもっと細かくまとめてみました。

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こちらの指標の名称については以下に簡単に紹介します。

ARMが補殺や走者の進塁阻止での貢献値(いわゆる肩の強さ)

RngRが守備範囲の広さでの貢献値

ErrRが失策の少なさでの貢献値

こうしてみるとセンターでUZRが大きくマイナスとなっていたのはRngRで、守備範囲にやや不安があるように見えますね。両翼のRngRはそこまで悪くないので、この点を見るとやはり両翼の方に適正がありそうです。

レフトは2019年だけですが守備回が1番多く、ARMがちょっとマイナスになってます。ただこの程度のマイナスならそこまで気にするほどでもなさそうです。

ライトは2017年からずっと起用されてて、2019年がARMもRngRもマイナスになってますが、2017,2018は悪くないですし、無難に守れそうですね。

どれも守備機会がまだまだ少ないので、この指標だけで判断するのは早計かもしれませんが、現状だとそこまで守備をアピールできるほどでは無さそうです。なのでアピールするとしたら打撃の方になってくるでしょう。

 

細川の現在の立場とこれからの活きる道

攻守の成績・指標や1軍出場機会から見ても、細川はまだ1軍に置いておけるほどの信頼を首脳陣からは得られてないでしょう。まだ高卒4年目ということもあり、ここまでの起用は信頼というよりは、期待の大きさで与えられてきたと考えられます。ですが高卒4年目、5年目と経ていくにつれて期待感はどんどん減っていき、かわりに結果を求められる立場になっていきます。

とはいえ、ここまでの3年間の細川の成長は決して悪くは無く、むしろ順調と言えます。

 

同じ高卒で、5年目に1軍レギュラーを掴んだ桑原の2軍成績と比較してみました。

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桑原は元々内野手で、外野転向してセンターを守っているという違いがありますが、1年目から1軍昇格していることなど、期待度は今の細川とそこまで差は無かったと思います。

その桑原は1年目の2軍成績はOPSで見ると細川とほぼ同じです。

そして2年目、3年目と順調に成績を伸ばし、1軍での起用機会も増やしています。この点も現在の細川と同じような起用と言えるでしょう。

桑原の場合、4年目までは2軍に留まっていましたが、2軍成績は順調に伸ばしていましたし、5年目に1軍で133試合 522打席の起用で規定打席到達。打率.284 11本 OPS.769と文句なしの成績を残してセンターのレギュラーを勝ち取りました。その後桑原は6,7年目もセンターレギュラーを守り、8年目の2019年に成績を落として2軍落ちしましたが、実力的にはまた1軍レギュラー奪取できるものは持っているでしょう。

細川もこの桑原ルートで成長していくと仮定すると、5年目の2021年に1軍レギュラーとなれる可能性があると言えますし、そう考えれば順調に育っていると言えます。

今年は未だシーズン開幕が分からない状態で、この影響がどう出るかは心配ですが、今の時点の細川はまだ先を考えて期待が持てる段階ですし、焦らず課題をこなしていくことが大事になると思います。

また、細川はチーム内の外野手で1番若い年齢ですし、球団としても次世代のレギュラー外野手として成長を期待している段階でしょう。そういった期待を集めているので、今は焦らず1つ1つの課題をこなしていって欲しいと思います。

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