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【ドラフト2020】広島のドラフト1位指名予想

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セ・リーグ5位に位置している広島。

昨年、3連覇からBクラスに転落したことで今季は佐々岡新監督の下、再起を期して臨んだシーズンだったが、なかなか結果を残せず、また主力の世代交代の歪みができつつあり投手・打撃・守備のどれもが課題が見えるシーズンになっている。

その広島が今年のドラフトでどんな指名をするか、考察してみた。

現状の戦力分析

9/28時点、広島32勝 44敗 8分 セ・リーグ5位の位置にいて、1位巨人とは20ゲーム差近く離されている。6位ヤクルトとは1ゲーム差で、目下最下位争いをしている状態だ。この原因としては3連覇したメンバーが衰えや故障による離脱・不調が相次いできており、またそれに代わる新戦力の台頭が伸び悩んでいる現状が伺える。佐々岡監督は投手整備を行いたいところだろうが、現状大卒ルーキーの森下が新人王争いで奮闘しているものの、森下に続く投手が少ない状態だ。

 

投手

昨年は先発防御率リーグ1位、QS率リーグ1位と先発投手陣が大きなアドバンテージになっていたが、今季は先発防御率リーグ5位、QS率リーグ4位と弱体化してしまった。昨年先発で活躍したジョンソン、大瀬良、床田、九里、野村らが今季は殆ど不調や故障離脱などがあって状態が良くないことが原因と言える。代わりに大卒ルーキーの森下が台頭して先発ではチームトップの勝ち星と防御率になり、遠藤もローテに定着するなど明るい材料もあるが、昨年主力の調子が落ちてきたのはそれ以上にダメージが大きかった。大瀬良・野村・九里らは30歳前後の年齢になっており、ジョンソンはもう35歳ということを考えるとそろそろ新しい世代の先発候補が出てきて欲しいところだが、今季は先発起用人数がとても少なく、新戦力は上記の森下と遠藤くらいで次世代先発候補の頭数をもう少し増やしておきたいところだろう。

リリーフ防御率はリーグ6位となっていて、こちらは先発以上に課題になっている。現在抑えを任されているフランスア防御率2点台前半で安定していて、中継ぎの塹江も良い結果を残していてチーム最多登板ながら防御率2点台と安定している。だが、この2人以外の状態があまり良くない。他に20試合以上登板している菊池保・島内・ケムナらは防御率4点台以上になっていて、リリーフで3点台と比較的安定していた薮田は先発起用されて炎上したことで2軍落ちとなってしまった。主力のリリーフ陣がこのような状態になっているため継投が上手く行かない場面が多く、この影響か先発を無理に引っ張る采配が多くなっている。D.J.ジョンソンを放出したことを考えると、オフに外国人のリリーフ補強は行われそうだが、ドラフトでもリリーフ強化を考えないと厳しい状態になってきているだろう。

 

野手

チーム打率、得点数、OPSなどはどれもリーグ中位に位置していて、昨年と比べると向上してはいないものの現状維持ができている。ライトの鈴木誠也や、セカンドの菊池、捕手の曾澤は今季も状態が良く安定した結果を残せていて、昨年、なかなか固定できず打力不足だったサードには堂林が定着したことで打撃面で大きくプラスになった。また昨年バティスタが守っていたファーストには松山が定着して、バティスタほどの打撃成績は残せてないものの大きなマイナスにはなっていない。松山や西川が守っていたレフトには新外国人のピレラが定着し、こちらもプラス要因とは言えないまでも、穴埋めができている。他にはセンターに西川の固定や、ショートの田中広輔が昨年に比べて復調してきている点など、配置換えが功を奏した形になっている。上記の通りレギュラー陣は上手い形でまわせていて、控えを見てもベテランの長野と若手の坂倉が良い結果を残せており、悪くない状態だ。

ただ今後の不安要素としては現レギュラー陣の殆どが30代を迎えてきており、徐々にではあるが世代交代の準備が必要になってくる。特に松山や長野らは守備面で衰えが見えてくる頃で、ショートの田中も堅実さはまだ冴えているが、守備範囲が狭くなりつつある。これらもあって今季は守備面であまり良い成績を残せておらず、若くて身体能力の高い選手の台頭が望まれる。

 

指名傾向・優先度

広島は3連覇中に高卒の獲得に力を入れその結果、高橋昂、坂倉、中村奨、山口翔、小園、林、中神らを指名して、次世代育成に取り組んだ。だが彼らが育ち切る前にレギュラー陣の戦力ダウンが見られるようになって下位に落ちている。そこで昨年は森下・宇草ら即戦力候補の選手を指名する方針に切り替えた。今年も下位が濃厚になっているため、ドラフトでもおそらく大学生や社会人など即戦力候補を狙う可能性が高い。

ポジションとしては投手陣が課題になっていて、特に先発は頭数の少なさもあるため今年も上位で指名されるだろう。リリーフも今季は成績が悪く、こちらも大学生・社会人から指名するのは確実と思われる。野手指名は投手に比べると現時点では優先度は下がるが、世代交代に備えて有望な選手を確保しておきたい気持ちもありそうだ。

 

入札1位指名予想

早川 隆久(投手・早稲田大)

昨年に続き今年もBクラスが濃厚になってしまっている広島だが、原因としては投手陣の不調が挙げられる。防御率がリーグ最下位にまで下がっているが、安定している先発を引っ張って打たれたり、勝ちパターンへ繋ぐまでのリリーフが崩れたりと、先発・リリーフどちらも頭数不足になってきており、昨年の森下と同様に即戦力投手の補強が必要だ。こういった投手事情に合致するのが早川だ。

広島は先発起用人数が他球団と比べてもかなり少なく、固定メンバーでローテをまわしているような形だ。この起用自体は先発が安定していれば有効だが、実際のところジョンソンの不調、大瀬良の怪我、遠藤・九里が不安定などであまり内容が良くない。大卒ルーキーの森下が好投してるものの、球数が多く2年目以降への影響が心配だ。このため先発の頭数をもっと増やす必要がある。

早川は1年目からローテに入る実力を持っており、先発を増やす意味でも打ってつけだ。広島の場合リリーフの補強も必要だが、まずは先発の頭数を増やすことから考える必要があり、そういう意味でも早川を指名するのが良いだろう。

 

 

その他1位指名候補

栗林 良吏(投手・トヨタ自動車

早川と並んで入札1位候補として考えられるのが、将来の抑え候補として期待ができる栗林だ。広島リリーフ陣の今季の不調を考えると、先発よりもリリーフ補強を重視する可能性が高く、その点だと栗林は即戦力リリーフとして十分期待できる。現在広島はフランスアが抑えを任されているが、日本人の抑えにした方が外国人枠が使いやすくなる利点もあり、抑え候補を模索している可能性は高い。

 

木澤 尚文(投手・慶応大)

昨年森下を一本釣りできたのはスカウトの勝利ともいうべき成果だが、広島は過去にも野村や岡田など一本釣りの経験がある。その流れで今年は早川・栗林に行かず一本釣りのパターンもあると考えた。木澤は広島の苑田スカウト統括部長が「抑えだけでなく先発も行ける。早川と栗林が1位で競合するとしたら『木澤で』というところも出てくると思う」とコメントを残しており、早川や栗林に次いで評価が高い。先発・抑えのどちらも欲しい広島にとっては木澤が即戦力で行けると考えるなら、一本釣り狙いの可能性も十分にあるだろう。

 

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