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【ドラフト2020】横浜DeNAのドラフト考察(上位指名候補編)

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前回までの戦力分析記事指名傾向・優先度記事、に続いて今回は具体的な指名候補選手名を挙げていくことにする。今回は上位指名候補についてピックアップした内容になっている。

1位入札指名候補選手

ドラフトの1番の目玉でもある1位入札指名の選手についてだが、前回記事でまとめたようにここには2つのパターンの可能性がある。

①即戦力候補の先発投手

②今年のドラフト候補の中で実力が特に秀でた野手

これに該当する選手として、以下の3人を予想する。

・伊藤 大海 投手 苫小牧駒沢大

・牧 秀悟 内野手 中央大

・佐藤 輝明 外野手 近畿大

伊藤大海は今ドラフト候補の投手の中でもトップクラスの球威で、とても質の良い直球を投げることができる投手だ。DeNAのこれまでの上位指名投手の特徴として、直球の球威が良い投手が多く、伊藤は大学時代の山﨑康にも匹敵する球威を持っている。これに加えて奪三振が取れるスライダーと、カーブ・チェンジアップ・カットボールなどの多彩な球種を持っていて、投手としての引き出しの多さも武器になっている。先発投手としてこれ以上ない武器を持った投手で、今のDeNAの先発陣の中でもローテに割って入れるだけの力は十分に持っているだろう。また、球威と奪三振能力を考えると抑えとしても期待でき、山﨑康のMLB挑戦の可能性を考えるとどちらにもなれる点が補強ポイントとして合っている。

 

牧秀悟はセカンド守る大型内野手で、バットコントロールもパワーも持ち合わせて打撃のレベルが非常に高い。懐が広く球を呼び込んでから打つので、三振数がとても少なくミートしやすい打撃ができる点が、宮崎とよく似ている。元々ショートでフットワーク自体は悪くなく、セカンドなら最初から1軍でもいけるぐらいの守備力だ。DeNAにも打撃力が期待できる野手は多いが、伊藤裕・細川などはパワーはあっても打撃がまだ粗い部分があり、その点で牧は巧さもあるため、彼らをも凌ぐ打撃になる可能性を持っている。宮崎の後釜としても、セカンドのレギュラーとしても、どちらでも期待ができる選手だ。

 

佐藤輝明は打撃力が非常に優れた外野手で、粗さはあるもののそれを気にさせないパワーが武器になっている。大学では毎シーズンコンスタントに本塁打を打っていて、飛ばす力と技術は十分に備えている。打球音、打球速度が他のドラフト候補と比べても別格で、捉えたときの力強さは今ドラフトでもNo.1の野手だろう。打撃だけなら柳田や糸井クラスとも言われていて、早くも巨人が1位指名最有力と公表している。他にも複数球団が1位で入札してくる可能性は高い。攻守でやや粗さがあるが、そこは伸びしろとして考えることもでき、ロマンあるスラッガーと言えるだろう。DeNAには細川・蝦名などスラッガー候補の若手外野手はいるが、彼ら以上の打撃が期待できる佐藤を獲得して、外野の一角を埋めたり、三塁手としての守備を身につけさせれば、宮崎の後釜として期待することも可能だ。

 

即戦力候補の先発としては伊藤大海を挙げ、実力が特に秀でた野手としては牧秀悟佐藤輝明を挙げた。この3人は個人的に今ドラフトでも別格の選手と考えていて、入札1位指名にはこの3人が候補になる可能性は非常に高いと考えている。

 

早川を入れなかった理由

早川 隆久(早稲田大)が何故挙がらないのかという疑問がある方がいるかもしれないが、以下の点を考慮して少なくとも上記の3人より指名の可能性が低いと考えた。

①確実に競合すること

②先発として計算できるが、逆に抑えとして考えにくいこと

③(個人的な評価だが、)直球の球速と見た目の球威にやや差があると感じたこと

①に関しては誰が言うまでも無く、早川は今ドラフトNo.1左腕で即戦力投手としても文句なしの実力を持っているだろう。DeNAの吉田スカウト顧問も「間違いなく競合する」とコメントを残しており、3~4球団以上の競合の可能性がある。ただDeNAはこれまで競合を避けて1本釣り指名してきた傾向があり、ここまで競合の可能性が高いのは逆に指名の可能性が低くなると考えた。また左腕は他球団に比べるとそこまで必須というわけではなく、それなら早川を狙わずに投手なら右の伊藤を狙う可能性が強いと考えた。

②に関しては、DeNAは遠からず山﨑康のメジャー挑戦があるため、そこを考えて「抑え」も補強ポイントになってくると考えた。早川は直球の球威があり奪三振能力も高いが、先発を任せられるスタミナや制球の安定感も有していて、プロ入りした後も先発として見られるのは確実だろう。ただDeNAはできれば抑えの選択肢も持てる投手が欲しいだろうということを考え、伊藤の方を優先すると考えた。

③に関しては完全な私見で、自分の見る目の無さを証明してしまうことにも繋がりそうだが、早川が155kmを投げた時、思ったほどの球威が来ていなかったように見えた。今永や山﨑康や東など、DeNAは過去に直球の球威が素晴らしい投手を指名してきたが、彼らと比べると総合力という点では早川も匹敵すると思うが、直球の球威に関しては正直彼らほどの驚きや威圧感を感じなかった。無論、これは素人の個人的感想なのであまりアテにできるものではない。総合力という点で早川は凄いし、それだけで3球団以上の競合クラスになるのは確実だと思っている。ただ直球の球威に関しては伊藤の方が上と感じたので、自分は1位入札なら伊藤と考えた。

以上が早川を1位入札に入れなかった理由だ。外れ1位には確実に残ってないと思うので、今ドラフトでは早川への入札の可能性は低いと考えた。

 

 

外れ指名候補選手

入札1位で上記3人にいったが、抽選で外した場合のリカバリーを行う場合、以下の3人が適任と考えた。

・木澤 尚文 投手 慶応大

・村上 頌樹 投手 東洋大

・元山 飛優 内野手 東北福祉大

木澤尚文は入札1位の伊藤大海と同じ球速の直球を投げる投手で、球威も負けず劣らず非常に質の良い球を投げれている。DeNAは直球の質の良さを意識している指名傾向があり、木澤の直球も十分評価が高いものになるだろう。加えて変化球のスライダーやカットボールが140km近くまであるのが特徴的で、直球とのコンビネーションが良い。DeNAの八馬スカウトも直球と変化球の使い分けができている点を評価しており、先発型としての引き出しが大きい投手になっている。入札1位に挙げなかった理由としては、リーグ戦での実績がやや弱い点で、特にリーグ戦での先発経験がそこまで多くない。制球面も若干荒れ気味で、4年の投球はまとまってきたが、安定感という点での不安材料がある。ただ伊藤に匹敵する直球の球威はやはり魅力で、外れ1位で指名する価値は十分にあると考える。

 

村上頌樹は直球の最速が149kmで伊藤や木澤と比べると球速は劣るが、ノビがあり非常に質の良い直球で内外角への投げ分けも上手く、丁寧な投球ができている。変化球の制球も良く投球術が光り、完成度の高さは今ドラフト候補の中でもトップクラスと言える。高校時代にはセンバツ優勝投手となり、大学でも1年から先発で投げ続けるなど実績豊富で引き出しの多い投手だ。入札1位にならない理由としては、150kmに達しない球速でプロの環境でも通用するかがネックになるところで、まとまってる分伸びしろにも不安なところがある。ただ逆を言えば、プロの環境でも安定して抑える力を持ってると判断できるなら、これほど即戦力向きな投手はおらず、外れ1位で指名する価値は十分にある。DeNAは近年、平良や大貫など制球力が安定してまとまってる右腕が台頭してきており、村上も同タイプと考えるとDeNAに合っている投手と言える。

 

元山飛優は守備の良い大学生ショートで、スカウトも守備範囲と送球精度を評価するコメントが多く、守備だけならプロでも即戦力として活躍が期待できる。打撃は大学のリーグ戦でも首位打者を獲ったこともあるなど、バットコントロールは悪くない。ただ安定した成績が残せてないので、守備に比べればやや不安な点はある。とはいえ攻守含めた総合的な評価として考えると、今ドラフト候補のショートの中でもトップクラスなのは間違いなく、打撃もプロの環境に慣れていけば安定してくる可能性を持っている。DeNAは昨年、高校生ショートの森を指名したがまだ1軍を考えるのは早い段階で、1軍ショートは大和や倉本など30歳以上の選手が守っていることを考えると、現1軍ショートと森らとの間の年齢層を強化したいところだ。ショートは後々他のポジションへコンバートしやすい利点もあり、DeNAスカウトがショートを獲得する際に守備を意識している傾向があるため、元山はDeNAが指名しやすい選手だと考える。

 

伊藤大海に代わる投手として、木澤尚文村上頌樹の2人を挙げた。伊藤の球威に匹敵する投手として木澤、即戦力として期待できる安定感として村上という形で、両者特徴が違う投手だが、どちらも個人的には1位指名として文句のない投手と考えている。

野手は牧秀悟佐藤輝明の2人とは守備位置が異なるが、個人的にショートとしてNo.1評価をしている元山飛優を彼らの外れ1位として挙げた。ポジションに違いがある元山にした理由として、現DeNAはポジションの制約をあまり受けない指名が可能になっていると考えた。牧を指名して活躍すれば、柴田がショートに入り伊藤裕と牧で二塁・三塁に定着できるし、元山を指名してショートで活躍すれば、柴田をセカンドに定着させてサードを伊藤裕にできる。佐藤輝を指名してサードの場合も、伊藤裕をセカンドで柴田をショートにできる。このように選手の起用に応用が効くため、どのポジションかよりも単純に能力重視で指名することができると考えた。話を戻すが元山は守備が非常に優れており、守備だけならすぐ1軍でも通用できる期待感がある。元山が入ることで大和や倉本の後継者のショートとして考えることができるし、1位指名に値する選手と言えるだろう。

 

2位指名候補選手

2位指名は1位指名が投手の場合と野手の場合で変わってくるので、どちらも2人ずつを指名候補として挙げた。他球団の動向も絡んでくるため、2位指名までに先に指名されている場合もあるが、投手も野手も1・2位合わせた中でそれぞれ1人ずつ指名できれば十分な形になるよう考えた。

・入江 大生 投手 明治大

・宇田川 優希 投手 仙台大

・中山 礼都 内野手 中京大中京

・五十幡 亮汰 外野手 中央大

入江大生は187cmの長身右腕で最速152kmの直球を投げ下ろす球威が武器で、DeNAの八馬スカウトが「左腕では早川が1番だけど、右での魅力は入江」とコメントを残すほどの評価をしている。球速や総合力では木澤の方が上だと考えるが、角度がある点で入江の方が木澤より上と評価する可能性もあり、どちらも担当している八馬スカウトの評価が重要になってきそうだ。

 

宇田川 優希は184cm95kgという大型の体格で、入江と同じ最速152kmの直球を振り下ろす投球が武器になっている。リリースポイントが高いのと肘の柔らかさを活かした投球は打者がタイミングを取りづらい。大学のリーグ戦では19年から先発で、奪三振能力が高く与四球率も低い安定した投球をしている。ただロッテ2軍との試合などプロレベルとでは失点する場面が目立った。体格自体も今だと体重がやや余分で、プロの環境でもっと引き締めていけば球威もキレも増していけるなど、現時点では素材型として見るスカウトもいる。

 

中山 礼都は高校生ショートで、ここへきて初めて高校生の名前を出したが、高卒ショートとしては森と競えるぐらいの身体能力を有していると考えた。次世代内野レギュラー候補として森や田部と競わせたい選手だ。ちなみに森の高校時代の身体能力として50m 5.8秒・遠投120m というのがあるが、中山は50m 5.9秒・遠投115mと森に準じる数値になっていて、調べた限りで今ドラフトではNo.1の数値だ。打撃面でも広角に打てるバットコントロールがあり、DeNAの河原スカウトが鳥谷タイプと評している。即戦力では無いものの、森や田部など次世代のレギュラー候補として獲得しておくのは将来的にチームにとってメリットが大きいだろう。

 

五十幡 亮汰は大学生外野手で、今ドラフトでは屈指のセンターの名手だ。172cm67kgとやや小柄な体格だが50m5.6秒という非常に足の速い選手で、タイムだけなら巨人重信・ロッテ和田・ソフトバンク周東のドラフト時よりも速い。全中で100m、200mの二冠を獲るなど、陸上選手としても通用するぐらいの脚力で外野を縦横無尽に駆け回る。肩も強くプロでもすぐにセンターを守れるだろう。当然盗塁も稼げる足で、大学3年までに20盗塁を決めている。小柄だが打撃面でも引っ張る打球で長打を打てるパワーを持っていて、決して守備だけでの選手ではない。DeNAには神里・桑原というセンターを任せられる選手がいるが、2人共今季はなかなか調子が安定せず、ベテランの梶谷にセンターを奪われる形となった。この2人の復調に期待したい気持ちはあるが、彼ら以外でもセンターをしっかり守れる選手は必要で、若手を見ても両翼タイプが多くセンターは不安になってきている。

2017年に桑原がセンターでレギュラーに定着していた時、ドラフトではしばらくセンターの選手を指名する必要は無いだろうと考えていたが、その年のドラフト2位で神里を指名した。当時は桑原がいるのに何故?という声が多かったが、2019年桑原が不調の時に、神里が結果を残して1軍センターにレギュラーとして定着した。このようにセンターは今レギュラーがいるとしても満足するのは危険で、上位でセンターを守れる選手を指名する可能性が十分あり得る。

 

まとめ

1・2位となる上位指名選手については以上の10名の選手を考えた。まだドラフトまで1カ月以上あるため、状況次第で指名傾向が変わる可能性もあるが、9月頭の現時点では自分はこのように考察している。

元々はこの記事で上位・中位・下位それぞれのドラフト指名候補を記載するつもりだったが、上位だけでかなり文章が長くなってしまったので、以降の指名については続編という形で紹介する。

 

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