球春到来!
2019年のプロ野球春季キャンプが始まり、いよいよシーズンへ向けて各球団がスタートした。今年はどんなシーズンになるのか期待に胸を膨らませているファンも多いだろう。そこで各球団のオフの動きや既存戦力で予想される変化から、戦力分析と順位予想を行ってみた。今回は広島東洋カープの記事だ。
主な戦力補強・流出
【ドラフト】
1位 小園海斗 内野手 報徳学園高☆
2位 島内颯太郎 投手 九州共立大
3位 林 晃汰 内野手 智弁和歌山高
4位 中神拓都 内野手 市岐阜商高
5位 田中法彦 投手 菰野高
6位 正髄優弥 外野手 亜細亜大
7位 羽月隆太郎 内野手 神村学園高
【育成指名】
1位 大盛 穂 外野手 静岡産業大
ドラフトについての評価・考察は別記事に詳しく記載。
【FA・トレード・外国人補強】
獲得
長野 久義 外野手
カイル・レグナルト 投手
ケーシー・ローレンス 投手
菊池 保則 投手
流出
丸 佳浩 外野手
ジェイ・ジャクソン 投手
レオネル・カンポス 投手
ジョアン・タバーレス 投手
福井 優也 投手
丸佳浩がFAで巨人移籍。しかし代わりに長野を獲得
今オフFA権を取得した丸が巨人へ移籍した。丸の2018年の成績は打率.306 39本塁打 OPS1.096でチームで最も打撃成績が良い選手だった。この選手が同一リーグの巨人へ流出したのは広島にとっては大きな痛手だろう。しかし広島は人的補償で同じ外野手でベテランの長野を獲得。長野は昨年巨人で主にセンターを守り、426打席で打率.290 13本塁打 OPS.793という成績で、人的補償で丸と同ポジションのレギュラー級の選手を獲得することができた。もちろん丸流出の痛手はあるが、その痛手を最小限に抑えることができたと言えるだろう。長野は34歳でベテランの選手になってきたが、1・2年間広島のセンターでレギュラーを掴むことができれば、その間に後継者の準備ができるので、丸に代わるセンターをシーズン通して守ってもらいたいところだ。
外国人投手の入れ替えでレグナルトとローレンスを獲得
広島は昨年と外国人を入れ替え、ジャクソン、カンポス、エルドレッド、タバーレスを放出した。ジャクソンは昨年48試合に登板し防御率2.76のリリーフで、この投手を放出したのは勇気が要ったことだろう。他にもエルドレッドは広島に7年在籍し3連覇へ貢献したスラッガーだった。彼らを放出した代わりに獲得したのが投手2人でレグナルトとローレンスだ。
レグナルトは昨年3Aで48試合に登板した左のリリーフで、防御率は4.77とやや悪いが奪三振率が12.23と非常に高く三振を取る力が十分に備わった投手だ。ジャクソンと同じリリーフの役割で、右のジャクソンに代わって左腕強化のために獲得したと言って良いだろう。ジャクソンの年俸が11300万だったのに対してレグナルトは4400万+出来高で、コスト面でも抑えることができた。広島の主な左のリリーフはフランスアだけだったので、ここにレグナルトが入ることで継投のパターンも増やすことができるだろう。
ローレンスは右腕で昨年MLBでリリーフとして11試合に登板し、防御率7.33の成績だった。3A(PCL)では主に先発として登板し98回を投げ防御率3.31と好成績を残している。制球力が優れた打たせて取るタイプの投手と言えるだろう。これでエルドレッドを放出した代わりに先発を補強した形となった。これにより広島の外国人起用は投手3、野手1が基本線となりそうだ。
広島は格安で良い助っ人を獲得してくるのが上手く、レグナルトもローレンスも1軍での活躍が期待される存在だ。チーム的にも打撃力は十分に良い半面、投手力に不安のある状態なので、レグナルトとローレンスの活躍で投手陣の成績が改善することを期待したい。
投手力強化のためトレードで福井を放出し菊池保を獲得
昨年11月29日、広島は楽天と福井⇔菊池保のトレードを行った。福井は広島がドラフト1位指名して8年目の投手で、1年目こそ規定投球回に到達したがその後は1度も到達せず、昨年も3試合に登板し0勝3敗 防御率8.40と結果を残せなかった。その福井を放出し、楽天から菊池保則を獲得した。菊池保は楽天で先発・リリーフの両方で起用されてきた投手で2015年には先発で103イニングを投げ防御率3.76という結果を残し、昨年は3試合に登板し13イニングを投げ防御率1.38という成績だった。広島としては先発・リリーフどちらもできる菊池保を獲得して、投手陣の強化を図ったトレードだったと言えるだろう。広島の昨年のチーム防御率はリーグ4位で投手陣がやや弱いところがあり、ここに新たに新戦力を入れることでリーグ上位の投手陣になることが期待される。
既存戦力の変化
今年FA権取得予定の野村・今村・會澤・菊池涼介。彼らの後継者準備は必須
広島は昨年FAで丸が移籍したが、今年はFA権を取得する予定の主力が4名もいる。先発の野村、リリーフの今村、捕手の會澤、二塁手の菊池で、全員1軍主力の活躍をしている選手達だ。彼らがFA権を取得した場合、行使の有無については分からないが最悪の場合は流出も覚悟しなければならないだろう。年齢的にも全員30歳前後で、そろそろ後継者準備を考えなければいけない頃合いになっている。主力級の選手たちの後釜をすぐ見つけるのは難しいため、今年や来年のドラフトで即戦力の選手を獲得するなり、準備は必要だ。できることなら今年から彼らの後継者候補を1軍でも起用できる状態にしておきたい。
鈴木誠也・野間・西川ら20代中盤の世代が活躍。彼らが次の広島への基盤に
上記の通りこれからFA権を取得予定の主力が多いが、野手では若手でレギュラー獲りしている選手も出てきている。20代中盤の世代の鈴木誠也・野間・西川らがその選手たちで、鈴木誠也は4番打者を任されており、野間はレフト、西川はサードを昨年は任されレギュラーを勝ち取った。彼らの世代がレギュラーで定着してきたのはとても評価できることで、広島が今後も強さを維持していくために必要なことだろう。野間はセンターを守れるし、西川も二遊間を守ることは可能で、現センターラインが移籍したり衰えてきたとしても、彼らで新たなセンターラインを構築できれば新たに強い野手陣を形成できる。より長期的に優勝できる戦力にするためにも、新しい世代の台頭に期待したい。
次世代先発が伸び悩み。中村祐・高橋樹・高橋昂らの台頭が必要
野手陣に関しては次世代の核となる選手が出てきたが、投手陣がやや不安な状態になっている。現先発陣の大瀬良・岡田・九里らはまだ20代で若いが、彼らもこれから何年かするとFA権を取得するようになるだろう。その時までに次世代先発候補となる投手が何人か出てきて欲しいところだが、昨年の成績を見ると先発ではまだ出てきていないと言わざるを得ない。具体的には中村祐・高橋樹・高橋昂らだが、彼らは全員1軍登板したものの防御率5点台後半以上という結果で、1軍は厳しい状態になっている。まだ若いのでこれからの成長も見込めるが、他の先発候補でも加藤(矢崎)拓、塹江・横山などは2軍でも結果が残せておらず1軍は遠い。1軍先発はローテの頭数は揃っているものの控えとなると途端に成績が悪くなってしまい、先発ローテが怪我で離脱した場合は立て直しが難しいだろう。現有戦力の底上げのためにも若手の台頭は必須で、今年はそういう将来のローテ候補となれる投手が何人か出てきて欲しいところだ。
予想レギュラー
先発:大瀬良・ジョンソン・岡田・九里・野村・薮田
中継ぎ:アドゥワ・フランスア・一岡・今村・永川勝・レグナルト
抑え:中崎
※赤字は補強選手、緑字はドラフト指名選手
広島の先発は5人までは確定だが6人目が現状なかなか定められない状態になっている。昨年も中村・薮田・高橋樹・高橋昂らを起用していたが、どれも安定した成績を残せなかった。この状態を今年は改善したいところだ。予想としては薮田を入れたが、上記で挙げた4名の中から誰が出てきても良いし、ドラフト指名の島内や2軍で登板している加藤(矢崎)拓・塹江・横山などにもチャンスはあるので、競争して結果を出した者に定着して貰いたい。
リリーフは昨年のメンバーに新外国人のレグナルトを入れた形だ。永川勝はもう38歳で昨年も打ちこまれていたが、永川の代わりとなれるリリーフがまだ出てきておらず、こちらも新しい投手の台頭に期待したい。
先発もリリーフもここに挙がっているメンバー以外の投手があまり結果を残せて無いので、今年は新しい選手がこのレギュラー陣に割って入る形になって欲しいところだ。
【野手】
捕手:會澤
一塁:バティスタ
二塁:菊池
遊撃:田中
三塁:西川
左翼:長野
中堅:野間
右翼:鈴木誠
※赤字は補強選手。緑字はドラフト指名選手
丸が抜けたことで丸が守っていたセンターをどうするか考える必要があるが、現状だと野間が入る形になると予想する。人的補償で長野を獲得したが、年齢を考えると長野には守備よりも打撃に専念させた方が良いだろう。野間は守備力なら丸に劣らないと緒方監督の評価もあり、打撃面でも丸には及ばないにしてもセンターを守る選手としては十分な成績と言える。
他のポジションについては昨年と固定した状態で文句無しだが、會澤や菊池のFA権取得を考えると、捕手は磯村や坂倉の出番を増やしても良いだろう。二塁も西川や曽根を起用する機会も作っておけると良いだろう。
順位予想
上記の戦力分析を踏まえて広島の今年の順位を予想する。
2位
丸の穴は最小限に留められる可能性はあるが、来年以降の準備を
チームで最も打撃の良かった丸が移籍したことで打撃力低下は避けられず、4年連続優勝は難しいと判断した。だが長野の獲得や野間の成長などを考えると、抜けた穴を最小限に食い止めることが可能だろう。寧ろ広島としては来年以降に向けた準備を今の内からする必要があり、この準備ができないと来年から主力が一気に流出してAクラスどころかBクラス落ちもあり得る。今年優勝を狙うことはもちろんだとしても、来年以降を考えた起用もしていかないといけないだろう。レギュラーと控えの戦力差が大きい点も今は表だった影響は無いが、来年以降に深刻な影響をもたらす可能性が高い。常に優勝を狙えるチームで居続けるために、中長期的な視点でのチーム作りが不可欠だ。
上がり目
鈴木誠・野間・西川らの若手の成長に期待大。坂倉も3年目で台頭の可能性が
下がり目
レギュラーと控えの戦力差やFAの対策ができなければ、来年以降Bクラス落ちも
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