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【ドラフト2018】西武のドラフト1位指名予想

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12球団のチーム状況と今年のドラフト候補達の情報を踏まえた上で、1位指名予想をしていきます。

ただ予想だけ知りたい場合は、目次の「1位指名予想」でジャンプをおすすめします。

1位指名以外で各球団おススメのドラフト候補についてはこちらに記載。

埼玉西武ライオンズ

目次

現状分析

1軍

野手陣評価

リーグNo.1打線だが、中村剛・栗山はそろそろ後継者が必要。浅村の去就も気がかり

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チーム打率 リーグ1位

1試合平均得点 リーグ1位

1試合平均本塁打 リーグ2位

チームOPS リーグ1位

打率が高く得点効率も良い、繋がりのある打線になっている。

規定打席到達は6名だが、ショートの源田以外の5名はOPS.800超えで、秋山・浅村・山川OPS.900台の成績。

源田OPS.700近い成績でショートとしては打撃が良く、打線の中に穴が無い状態だ。

気になるのは35歳を迎えている中村剛と栗山の後釜で、2人ともまだレギュラーで結果を残しているものの、そろそろ考えなければならない時期だろう。

そしてFA権を取得した浅村も、もし移籍となれば当然後釜を考えなければならないが、現実的に浅村の代わりができる選手はそうそうおらず、来年へ向けての懸念事項になっている。

 

[捕手]

森友哉(23)が1番手捕手として定着したことで、捕手の打撃力が高まっていて打線に穴が無くなっている。

は打撃を買われて指名打者での出場も多く、その場合は炭谷(31)・岡田(29)が捕手のスタメンで出ている形だ。

1軍捕手はこの状態で安定しており攻守において問題無いだろう。

炭谷も岡田もあと数年は1軍捕手として計算できるし、補強が必要なポジションでは無さそうだ。

 

[一塁手]

山川(26)がほぼ全ての試合をファーストのスタメンで出場していて、ずっと4番打者を任せれている。

本塁打数・OPSはチーム1で現在リーグトップの本塁打数で、文句無しの打撃力と言えるだろう。

まだ若く4番でもあり、外国人野手よりも打てる山川を一塁で起用するのは当然で、来年以降も安心して任せられるだろう。

補強の必要は全く無い。

 

[二塁手]

浅村(27)がほぼ全ての試合をセカンドのスタメンで出場していて、ずっと3番打者を任せられている。

チーム2位の打率でリーグでも4位に入っており、本塁打数もリーグ4位で、攻撃面において山川と並んで欠かせない存在になっている。

セカンドでこれだけ打てる選手はバリーグだと他にはおらず、重要なストロングポイントになっている。

浅村も打撃面で代わりがいないが、懸念がオフのFAだ。

残留するならあと数年はセカンドを任せて安泰だが、移籍となると代わりの選手を入れなければならず、ずっとセカンドを1人でやってきた浅村の代わりは現状いない。

ドラフトで即戦力二塁手を補強したとしても、打力低下は確実で、外国人野手を獲ってくるぐらいだろう。

 

[遊撃手]

源田(25)がショートで全試合スタメン出場中。

守備が高く評価されて任され、打撃面でもOPS.700近くでショートとしては高い方になっており、攻守両面でチームを支える2番打者だ。

去年ドラフトで入ってきてからショートを任され、攻守共に十分良い結果を残せているので、この状態ならあと数年は源田で任せていけるだろう。

世代交代を意識する必要はなく、当面即戦力ショートの補強は必要無さそうだ。

 

[三塁手]

中村(35)がずっとメインで起用されてきたが、今年は外崎(25)がサードに入る機会も増えてきた。

これまで打撃面において中村が主軸として起用されてきたが、他の若手が成長してきたことや外崎もサードを守るようになってきて、世代交代へ向けての準備ができつつある。

中村が衰えてきた時、外崎をサードで起用するのか他に補強が必要かで変わってくるが、色々選択肢を広げる意味でも、外崎以外のサードの後継者準備はした方が良いだろう。

焦る必要はなく、むしろ中村の後継者と考えたら、サードで主軸を任せられるぐらいの選手をしっかり育てて用意しておくべきだろう。

 

[外野手]

センターは秋山(30)で何年も固定されていて、今年も全試合センターでスタメン出場。打率リーグ3位・本塁打数リーグ13位と打撃成績も良く、1番打者として活躍している。

レフトは金子侑(28)栗山(35)が併用されている形で、栗山の負担を減らしつつ金子への世代交代を考えられているような起用だ。

ライトは外崎(25)金子侑(28)の併用で、外崎はサードと兼任・金子はレフトと兼任し、それぞれのポジションのベテラン中村(35)・栗山(35)を支えている形だ。

レフトの栗山の後継者に金子が入り、外崎がサードに入ることになれば、ライトを守る選手がいなくなるため外野手で1人は選手を準備しておく必要がありそうだ。

他の外野手だと木村文(30)・斉藤彰(29)が比較的多く出場していて、現状だと彼らがいざという時にスタメン入りしている。

だが将来的に考えたら木村も斉藤も年齢的には現レギュラー陣と同じくらいの年齢で、栗山の一時的な後継者になれるぐらいだろう。

次世代となると、もう少し若い選手が1軍に上がってこれる形にしたいところだ。

こちらも来年すぐに必要というわけではなく、長期的な目線で準備しておくところだろう。

 

投手陣(先発)評価

リーグ最下位の防御率。先発菊池はオフにメジャー挑戦もあり、立て直しが急務

チーム防御率 リーグ6位

先発防御率 リーグ6位

投手力についてはリーグで最も弱いと言われても仕方ない成績で、更にオフにはエース格の菊池がメジャーへ挑戦するのが濃厚で、早急な立て直しが必要だ。

主な先発は多和田(25)・菊池(27)・十亀(30)・榎田(32)で、多和田はリーグトップの勝ち星で最多勝を狙える位置にいて、菊池も2桁勝利を挙げている。

とはいえこの中で防御率2点台は誰もおらず、菊池・榎田が3点台だが多和田・十亀は4点台となっていて、あまり良い成績とも言えない。

あくまで打線に支えられて稼いだ勝ち星と言えるだろう。

5番手以降は前半戦だとカスティーヨ(29)が投げていたが、6月から守護神に配置転換された。

 後半戦から今井(20)がローテ入りしており、防御率5点台とあまり良い内容ではないが、2年目としては十分投げている方と言える。

あとはウルフ(37)が主に先発で投げているぐらいだ。

ここから菊池が来年いなくなるとすると、ローテに穴ができてしまう。ウルフについても高齢であまり防御率も良くないので、代わりを考える必要がありそうだ。

先発投手の補強は必須と言えるだろう。

 

投手陣(リリーフ)評価

リリーフ防御率もリーグ最下位。シーズン中に抑えが何度も変わる事態に

リリーフ防御率 リーグ6位

抑えが増田(30)→カスティーヨ(29)→ヒース(33)とシーズン中に2度も代わる事態となり、不調・故障者が続出している。

30登板以上投げているリリーフは平井(26)・野田(25)・ワグナー(34)・ヒース(33)・増田(30)・武隈(28)ら6人もいるが、防御率2点台は野田とヒースぐらいで、平井が3点台、ワグナーが4点台、増田・武隈は6点台という状態。

途中カスティーが抑えにまわってたものの、7月に故障離脱し、リリーフ陣で1番安定してるヒースに抑えがまわった形だ。

これに加えてシーズン途中でマーティン(27)を獲得し、勝ち継投はマーティン→ヒースという形で定まってきている。

新外国人や平井・野田など20台中盤の若手が割と安定してるので、起用次第ではもう少し成績を改善できる可能性はありそうだ。

ルーキーの伊藤(19)はまだ20登板にも満たないが防御率2点台前半で安定しており、来年の主力リリーフにこの伊藤も加わる可能性がある。

とはいえリーグ最低の防御率のリリーフ陣なので、何かしらの補強は必要になってくるだろう。

 

2軍

野手陣評価

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[捕手]

中田(28)・藤澤(28)・齊藤誠(28)・駒月(25)など、多くの捕手を併用していて、特定の捕手を育てているというわけではなさそうだ。

9/15時点の成績を比較するとこうなる。

中田(28) 111打席 打率.152 0本 OPS.386

齊藤(23) 90打席 打率.203 1本 OPS.554

藤澤(28) 85打席 打率.143 0本 OPS.499

駒月(25) 82打席 打率.257 2本 OPS.701

この中では駒月の打撃が良く、守備も失策が少ない安定した捕手になりつつある。

中田は打撃成績は良くないが守備の良さが評価。

藤澤は強肩だがフィールディングや守備面で課題がある。

齊藤は森と同世代で大卒ルーキーとして入ってきた選手で、これからの成長に期待。

4者それぞれ課題があるが、突出して良い選手がいるわけではないので、併用となっているのだろう。

1軍は森がレギュラー捕手になっており、現時点で後継者の必要はないが、炭谷や岡田については数年後には後継者が必要になってくるので、この中から上がっていけるよう育成は必要だ。

若い捕手が多いので、補強を考える必要は無いだろう。

 

[一塁手]

戸川(22)がメインで起用されている。

2軍打率は.200少しであまり良いとは言えないが、本塁打7本と長打力のある打撃でスラッガー候補として期待がかかる。

育成出身の高卒4年目で、打撃面を更に磨いていけばスラッガータイプとして1軍にも呼ばれるようになりそうだ。

2軍で1番打席を与えられており、首脳陣からも期待が高い選手だろう。

 

[二塁手]

水口(29)が1番多く起用されていて、金子(23)・呉(25)がそれに続く形だ。

水口は打率.280台でOPS.600超えとセカンドとしてはまずまずの打撃成績で、昨年は1軍で51打席立っていて経験を積んできている選手だ。

だが年齢的なことを考えるとそろそろ1軍で開花しなければならない時期で、1軍内野陣が固定されてしまっているのもあり、なかなかチャンスが来ていない。

守備面が高く評価されていて、浅村がFA移籍した場合は1軍セカンドに入る可能性が高い選手だ。

ただその場合、希望としてはもう少し打撃成績を上げて欲しいところだろう。

金子は内野全般を守っていて、春先は好調で1軍昇格を果たしホームランを打つなど活躍した。その後2軍に下りてきたが、そこから成績がやや下がって現在は打率.250程度で留まっている。

1軍に出て刺激になったと思うので、来年以降は2軍でしっかり結果を残していつでも1軍に上がれるようになっていて欲しい。

守備面では内野全般を守れるが、守備職人といえるほどではなくやや器用貧乏になりつつあるので、改善が必要だろう。

OPS.700台と打撃が良く、大卒3年目だがルーキーイヤーから毎年1軍に上がっている選手だ。

ただ1軍定着までは至らず、2軍から1軍への壁をなかなか超えられずにいる。

守備機会では二塁・三塁が多く、1軍では去就未定の浅村や、後継者が必要な中村などがいるので、そろそろ1軍定着し彼らの後継者になってほしいところだ。

 

[遊撃手]

山田遥(21)がメインで起用されていて、OPS.700台と順調に力をつけている。

守備面は元々身体能力を活かしたアグレッシブな守備が特徴で、ショートとして広い守備範囲をカバーできており、攻守において期待が持てる若手と言えるだろう。

年齢もまだ若く、次世代の西武内野レギュラーとして期待が高い選手だ。

1軍を考えると源田がショートレギュラーでなかなか越えにくい壁だが、二塁・三塁の後継者としても考えられるので、このまま順調に育っていけば1軍で活躍するのもそう遠くないだろう。

他には金子(23)・永江(25)がショートを守っているが、2人とも内野全般を守るユーティリティ的な起用をされていて、ショートとしてメインで育てているのは山田遥のみな状態だ。

 

[三塁手]

サードは主に5人もの選手が併用されていて、誰かを固定して育てているわけではない形だ。

呉(25)・綱島(18)・水口(29)・山田遥(21)・金子(23)が主に起用されていて、どの選手も他のポジションとの掛け持ちになっている。

綱島は高卒ルーキーで、まだ2軍で80打席程度しか試合に出ていないが、打率.280超えでOPSも.700を超えて打撃面で期待が持てるルーキーだ。

来年以降、出場機会が増えてくると思うので、順調に育ってほしいところだ。

綱島以外の選手に関しては他のポジションで紹介してるので省略するが、20代前半の選手を併用していて、競争させる形になっている。

1軍サードレギュラーの中村はもう35歳で、後継者が必要な段階にきておりそろそろこの中から1軍で活躍する選手が欲しいところだ。

呉・水口・山田遥・金子などは2軍で良い成績を残していて、1軍にも上がってきつつあるので、あまり外部から補強するのではなく彼らの成長を期待したい。

 

[外野手]

高卒2年目の鈴木将(20)と3年目の愛斗(21)が主に起用されていて、育てようとしてるのが見える。

鈴木将OPS.600切っているが20盗塁以上できて、しっかり育てれば俊足の上位打者にもなれるだろう。

愛斗OPS.700に届かない程度だが、本塁打がチーム最多の10本で育てればスラッガーとしての期待が持てる内容だ。

2人ともまだ1軍を考えれる内容ではないが、それぞれ持ち味がありしっかり育てて次世代の1軍外野手候補としていきたいところだろう。

他には高木渉(18)・戸川(22)・斉藤彰(29)が起用されていて、高木渉は高卒1年目の育成選手だが200打席でOPS.800近い成績を残していて、打撃センスの高さが伺える。

陽(日本ハム→巨人)や近藤(日本ハム)のルーキー時代よりも成績が良く、将来1軍の上位打線を任せるようになれそうな期待がある。

戸川(22)はファーストがメインだが、外野手も守っていてこちらも将来打撃が期待できる選手だ。

斉藤彰(29)は既に1軍で100打席以上出場していて、2軍は調整で1軍の控えという立場だろう。

高卒ルーキーの西川(18)も外野手で、今年は高校時代の怪我の影響で指名打者としてのみ出場しているが既に200打席与えられ、OPSは.600を切っているが期待が持てる外野手だ。

すぐに1軍で通用するような選手は少ないが、若手が多く良い育成環境になってると言える。

 

投手陣評価

投球回数が50以上なのは高木勇(29)・佐野(25)・南川(26)・本田(25)の4名。

4人とも今年1軍で登板しているが、結果を残せず定着できなかった投手達だ。

1軍投手陣が不調だが、2軍で主に起用されてる投手たちもこうなってるので、なかなか投手陣の立て直しができない状態になっている。

2軍の内容的には本田(25)防御率2点台で状態が良いので、来年は1軍定着を目指してほしいところだ。

若手の伊藤(19)・相内(24)・高橋光(21)らは40投球回前後だが、伊藤は1軍で防御率2点台、相内と高橋光は2軍で防御率2点台で、状態は悪くない。

彼らからも1軍の先発で投げれるような投手が出てきて欲しいところだ。

リリーフだと中塚(23)が40登板以上で防御率2点台と好投している。

今年は1軍に昇格したが制球難で炎上し、2軍に戻っており1軍の壁を突破するのに苦戦してると言えるだろう。

他のリリーフだと福倉(27)・田村(23)・松本(27)・大石(29)などが多く登板しているが、大石が防御率5点台、他の3人が防御率4点台で1軍を考えるのは難しい。

現時点で1軍リリーフに入っていける投手がいない状態になっている。

 

指名ポイント

現状分析をした上で、西武が今ドラフトで指名するポイントを挙げてみる。

 ①来年から先発ローテに入っていける即戦力投手

 ②来年から1軍で投げて活躍できる即戦力リリーフ

 ③中村剛・栗山の後継者候補となる打撃の良い高校生野手

チームの状態を考えたら投手陣の立て直しが第一なのは、西武ファンの多くの人が思っていることだろう。

仮に今年優勝したとしても、打撃力頼みの優勝で投手陣が課題山積な状態なのは変わらない。

おまけにオフに菊池がメジャー挑戦となれば、の先発ローテの補強は必然と言える。

現状2軍から上がってこれそうな先発も少なく、若い投手の成長を待つ余裕もあまり無いので、できれば来年の開幕ローテから入ってこれるような投手が欲しいところだろう。

リリーフについても先発と同様、リーグ最下位なので補強ポイントと言えるだろう。

ただリリーフは外国人の2人のマーティン・ヒースが良い状態になってるのが救いで、この2人を勝ちパターンで固定しつつ他のリリーフ陣を立て直せる可能性はある。

2軍のリリーフ陣を考えたら補強は必須だが、先発よりは重要度は低そうだ。

③は次世代のスラッガータイプで、これは栗山・中村が高齢なことから今のうちに2軍で育てておきたいと考えた。

とはいえ西武の場合は1軍の野手陣が優秀な選手揃いで、2軍にも将来楽しみな若手が多く、彼らの成長に期待しても良いところだ。

ただ打線頼りの今のチーム状況を考えたら、打線が生命線なのでここを将来に向けてもしっかり備えておくことは大事になってくるだろう。

 

 

1位指名予想

ここまでのまとめをふまえて、西武の1位指名はこの選手と予想する。

上茶谷 大河(投手・東洋大

今年のドラフト候補から、来年開幕から先発ローテで活躍できそうな投手となると、この上茶谷になってくるだろう。

上茶谷は制球良く変化球が多彩で、大怪我しにくく計算が立てやすい投手と言える。

おまけに大学のリーグ戦でも4年から出てきた投手なので、肩の消耗や疲労の心配が他のドラフト候補投手より少なく、プロで活躍できれば長期に渡って安定してローテを守り続けることも可能だろう。

西武にとっては来年のローテを決めるのが1番の課題で、菊池がいなくなると頭数が足りなくなってくるので、この上茶谷はうってつけと言える。

今年は根尾・藤原・小園など高校生野手に注目が集まっているが、現在の2軍野手陣には若手が多く将来期待できる選手もいるため、高校生野手にいくよりは即戦力投手狙いで良いだろう。

 

 

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