データで語るドラフト・育成論

プロ野球ニュース解説、ドラフト候補紹介、野球関連の持論・考察・寸評などを記事にしています。

【ドラフト2018】中日のドラフト1位指名予想

f:id:hamanontan:20180908134540p:plain

注) 5000文字近い記事で、全部じっくり読むと10分程度かかります。

指名予想だけ見たい方は、目次の「1位指名予想」を選択するとすぐに分かります。

 

12球団のチーム状況と今年のドラフト候補達の情報を踏まえた上で、1位指名予想をしていきます。

1位指名以外で各球団おススメのドラフト候補についてはこちらに記載。

中日ドラゴンズ

現状分析

現在リーグ最下位。6年連続Bクラスも秒読み段階になってきており、どうにか立て直したいところだが、なかなか光明が見えてこない現状だ。

1軍主力

野手陣評価

レギュラーメンバーは捕手を除いて固定。捕手がやや力不足

f:id:hamanontan:20180907235341p:plain

野手陣はレギュラーのポジションが固定化されて、ナゴヤドームを本拠地にしてるチームとしてはまずまずの打撃成績だ。

 チーム打率:リーグ4位

 チーム得点率:リーグ4位

 チーム本塁打率:リーグ5位

 チームOPS:リーグ5位

投手有利の球場で打率がリーグの中位まであるのは良いし、本塁打数・OPSも最下位ではないので許容範囲と言えるだろう。

ただチーム順位が最下位なので、打撃陣も改善できるところは改善していくべきだし、悪くないが良いとも言えないので、やはり強化していくべきだろう。

レギュラーの中で規定打席到達選手が7名で、捕手以外の全ての野手が規定打席に載っていて今年は1軍レギュラー陣の固定化ができている。

この中で打撃が良いのはビシエド(29)・アルモンテ(29)・平田(30)で、3名ともOPS.800を超えていて打線を引っ張る立場だ。

平田はFA権を既に取得して残留したし、ビシエドアルモンテもこの成績なら来年も残留は確実で、年齢的にもまだまだ活躍できるしこの3名はしばらく固定していけるだろう。

この3名以外も、大島(32)・福田(30)・高橋周(24)はOPS.700超えで悪くない打撃ができている。

年齢的に大島の後継者探しをそろそろ準備する必要がありそうだ。

大島のようにセンターを守れて打撃成績も良い選手はなかなか出てこないので、まだ急ぐ必要はなくても、そろそろ候補を育てておきたい。

福田・高橋周はどちらも今年2桁本塁打に到達しており、ビシエドアルモンテに及ばずとも打線で良い働きができている。

高橋周がセカンドに定着したことで打撃面でのプラスもあるし、守備もセカンド1年目としてはまずまずこなせていて、ようやく定位置が見つかったようだ。

打撃成績でやや弱いのはショートの京田と、捕手の松井雅・大野だろう。

だが京田(24)は今年殆ど全ての試合でショートを守っており、守備面での貢献が大きくレギュラーに欠かせない選手だ。

年齢的にもまだ若く、これから何年も中日のレギュラーショートを任させる可能性があり、中日にとって重要な選手と言える。

捕手の松井雅(30)・大野(31)は打撃面ではどちらも正直あまり良くないが、併用してることもあり競わせる形ができている。

捕手は守備面が重要になってくるが、2人とも盗塁阻止率が悪くフリーパスになりがちで、この辺りはどうにかしたいところだろう。

だが彼らの次の捕手となると、武山・木下だが打撃面に不安がある2人で、中日の捕手事情を改善させるのはなかなか難しそうだ。

現状だと今の戦力でやりくりして、その間に2軍で次世代の正捕手候補を育てるのが良いと思われる。

投手陣(先発)評価

ガルシアに頼りきりの先発陣。若手の笠原・藤嶋が先発として目処

投手陣の成績がやや厳しい。

チーム防御率:リーグ5位

先発防御率:リーグ3位

リリーフ防御率:リーグ最下位

特にリリーフ防御率はリーグ唯一の5点台になっており、投壊状態と言えるほどだ。

ナゴヤドームを本拠地にしているのにこの投手成績は厳しく、投手陣を立て直さないことにはチームの浮上は難しいだろう。

先発陣を見ると、ガルシア(29)が唯一規定投球回に到達している。

既に140イニング以上投げ12勝を挙げて防御率も2点台と、投球回・勝ち星・内容全て良い。

チームのエース投手とも言える素晴らしい活躍ぶりだ。

投球回の順だと2・3番手は吉見(33)と小笠原(20)で、2人とも100イニングに到達している。

だが吉見は防御率が3点台後半、小笠原は4点台とあまり良い内容とは言えず、イニングは消化しているものの勝てる投手にはなれていない。

他に先発だと笠原(23)・山井(40)・藤嶋(20)・松坂(37)・柳(24)などがいて、若い藤嶋の防御率が3点台中盤とまずまずだが、他の先発は4点台や5点台で先発陣のやり繰りにも苦労している様子が伺える。

年齢的に見ると山井や松坂が来年も投げれる保証はなく、吉見も衰えが見えてもおかしくないので、先発投手陣の強化は急務と言えるだろう。

投手陣(リリーフ)評価

守護神・勝ち継投が崩壊。根本的な立て直しが必要

リリーフ陣は更に厳しい。

鈴木博(21)・祖父江(31)・又吉(27)・佐藤優(25)・岩瀬(43)・田島(28)らが30登板以上投げているが、又吉が防御率6点台、田島が防御率7点台で、まともに抑えることができていない。

鈴木博・祖父江・岩瀬が40登板以上だが、3人とも防御率3点台以上でこちらも安定してるとは言い難い。

佐藤優が唯一防御率2点台で安定してると言えるぐらいだ。

他の30試合未満の登板数のリリーフを見ても、安定してると言える投手は少なく、リリーフ全体として大きな問題になってると言えるだろう。

現状だと勝ちパターンで誰を出しても不安で、来年の勝ち継投も決められない状況になっていて、最優先で立て直さなければならないところだ。

岩瀬や祖父江以外は20代なので若い投手が多いが、戦力的には足りておらず、リリーフは入れ替えが激しいポジションなので、新しい投手を継続的に補強していく必要がある。

2軍の若手状況

野手陣評価

全体的に打撃低迷。現時点での昇格候補がおらず、2軍の立て直しは必須

f:id:hamanontan:20180908110325p:plain

2軍の野手の打撃成績は全体的に伸び悩んでいる感が見える。

2軍で200打席以上試合に出ている打者は9名いるが、そのうちOPS.700超えの打者が松井祐(31)しかおらず、OPS.600以上も溝脇(24)・野本(34)・石岡(26)の3名しかいない。

半数以上がOPS.600を切っていて、1軍に上げられる打者が少ない現状だ。

1軍主力に怪我や離脱があった場合に2軍から上げれる選手が少なく、層の薄さは深刻だ。

1軍野手陣でまだ年齢的な衰えが見えそうな選手はいないが、数年後という視点で見ると大島・平田・福田の後継者が必要になってくるし、捕手も次世代の選手を準備する必要がある。

大島・平田の後継者として候補に挙がるのは伊藤康(18)で、高卒ルーキーながら既に200打席を超えていて、重点的に育てているのが分かる。

だがこの2人の後釜候補となるともう少し候補が欲しいところだろう。

2人と伊藤の年齢差も大きいし、他の外野手も候補と言える選手が現状いないので、なるべく早めに補強が必要なポジションだ。

福田の後継者としては石垣(19)がいて、2軍で最も打席を与えられていて育て上げたい若手だ。石垣はまだ2軍で結果を残せてはいないが、フレッシュオールスターでホームランを打ち最優秀選手賞も受賞した期待のスラッガー候補と言える。

だがこちらも石垣のみでは不安だし、スラッガータイプが少ないので新たに補強しておきたい。

捕手の杉山(27)・加藤(26)は伸び悩んでおり、杉山は一昨年に一時は1軍正捕手も視野に入ったが、昨年から視力低下の影響で打撃不振となり、現在は2軍で捕手としての打撃や守備を取り戻している状態だ。

加藤はチーム1の強肩という評価だが、打撃面守備面など総合的な捕手能力がまだ発展途中で、1軍はまだ考えられない段階だろう。

桂(25)は2016年に膝を痛め、2017年は手術したことで1軍・2軍ともに全く試合に出ておらず、今年ようやく実戦復帰を果たした。

少ない打席数ながら打撃面で結果を残しており、膝の状態さえ万全になれば1軍への昇格もあるだろう。

こういう不安のある捕手陣なので、次の1軍正捕手を掴めそうな候補がまだ出てきておらず、次世代捕手の獲得や育成はかなり大事になってくると思われる。

投手陣評価

若手先発が活躍し昇格間近。リリーフは2軍で好投しても1軍で炎上と歯痒い

2軍の投球回数が多い投手は鈴木翔(23)・大野(29)・清水(18)・阿知羅(25)・柳(24)らで、1軍で実績のある大野と若手投手達がローテに入っている形だ。

この中でも大野・柳は防御率2点台で、2軍レベルではもう文句無しの状態になっている。ただ、大野は今年1軍で防御率8点台、柳も防御率5点台なので、2人とも2軍の成績よりも1軍を抑える力がついたかどうかが重要になっている。

この2人が1軍に上がって抑えるようにならないと、1軍の先発投手陣もなかなか改善してこないだろう。

鈴木翔・清水・阿知羅はまだ2軍の成績が良くない。新人の清水は育成中なので問題ないとはいえ、鈴木翔や阿知羅はそろそろ1軍でも結果を残さなければならない立場になっている。

リリーフだと木下(24)・三ツ間(26)・谷元(33)・浅尾(33)らが登板数多く投げている。

木下は防御率1点台と好投しているが、こちらも1軍に昇格したものの防御率5点台と結果を残せず、まだしばらく2軍で育成が必要だ。

三ツ間も防御率2点台だが1軍では炎上していて、2軍で好投しても1軍で炎上という投手が多い。

谷元は2軍でも防御率5点台で1軍は見込めず。

浅尾が8月から1軍昇格し好投しているが、この浅尾ぐらいしか2軍からの昇格組で結果を残せてる投手がいないのが現状だろう。

2軍から1軍への壁が大きく苦しんでる投手が多いので、コーチ陣の指導なども考える必要がありそうだ。

1軍のリリーフ陣の状態を考えると、2軍の育成環境を整えることが最も重要と言えるかもしれない。

 

指名ポイント

上記の考察を踏まえた上で、中日の指名ポイントを3つ挙げてみる。

 ①即戦力で1年目から抑えを任せられる力を持った投手

 ②次世代の主軸候補のスラッガー型野手 (三塁・外野)

 ③打撃良く将来の正捕手を任せられる素材型捕手

①は、現状のリリーフ陣の崩壊を考えると、やはり抑え候補は1番重要だろう。

ここが固定されないことには勝ちへの繋ぎ方が決まらないし、チームの上昇も難しい。

田島や又吉の不調が今年1年限りのものかもしれないが、岩瀬がもう高齢だし2軍の投手陣も1軍の壁に苦しんでるところを見ると、即効性のある補強が求められる。

鈴木博や佐藤優など若いリリーフもいるので、彼らで新たに勝ち継投を組める形にしたいところだ。

②は、1・2軍を見ても主軸候補の不在が感じられる。

1軍の主軸はビシエドアルモンテの外国人2人で、日本人だと本塁打数2桁は福田と高橋周しかいない。

2軍では2桁本塁打どころか全員5本以内に収まっていて、ナゴヤドームということを考えてもあまりにも少ない。

外国人だけでなく日本人でも打てるスラッガーは準備しておく必要があるだろう。

③は、現状の捕手陣の状態を考えると将来的な計算が立てづらく、次世代の候補として強力な捕手を1人育てておく必要があると考えた。

FAで大野を獲得したものの、打撃や肩などで満足できる評価にはなっておらず、中日の捕手陣事情の悩みはまだ解決してない状態だ。

高校生や大学生で打撃や肩が期待できる捕手を獲得し、しっかり育てあげて将来の1軍正捕手候補としたい。

 

1位指名予想

これまでの考察を踏まえて、中日の1位指名はこの選手と予想する。

甲斐野 央(投・東洋大

中日は既に1位指名を根尾と公言していてこれが変わる可能性は低いが、管理人が独自で現状の戦力を考察した結果、甲斐野が1位指名に相応しいと考えた。

現状の守護神不在の状況、リリーフ陣の不調を考えると、甲斐野が最も適任と思われる。

抑えを任せるのに文句のない球威を持っていて、大学でもリリーフとしての実績が豊富。

DeNAの山﨑康のように1年目から抑えを任せることも可能だろう。

まず抑えを固定することで、継投の計算がしやすくなり他のリリーフの役割も明確になるので、ここが最も重要な補強ポイントと考える。

甲斐野でない場合は、公言通り根尾が相応しいだろう。

次世代のスラッガータイプだし、根尾なら内野も外野もできるので将来的な補強ポイントに当てはめやすい。

チームとしては大島・平田・福田の後継者を準備しておきたいところで、根尾はどこにも相応しい選手と言える。

中日が根尾を公言したということは、来年のリリーフ陣については何かしら目処が立っているということなのかもしれないので、それなら根尾1位で納得と言える。

 

【スポンサーリンク】